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女性・シニアの中途採用で解決しよう 2040年問題を厚労省の資料をもとにわかりやすく解説

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厚生労働省の展望によると、2040年には高齢者の人口の伸びは落ち着くが、労働力となる現役世代は急減するとされています。そのため、企業としては働き手を確保することが必要です。

そこで本記事では、2040年へ向けて企業が行うべき対策として、シニアや女性の中途採用を進めるなど雇用の見直しについて解説します。

2040年問題とは

2040年問題とは、少子化による人口減少と高齢化が進行することにより、2040年に表面化するとされているさまざまな社会問題の総称を指しています。

ここでは、2040年問題の一つである「労働力不足」について解説していきましょう。

2040年になると「20〜64歳」の現役世代がスリム化

厚生労働省の資料(下図1)によれば、2040年になると、1971年~1974年の第二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が高齢期になるため、高齢者の割合が多くなる見込みです。

2019年における「65歳以上」の高齢者は28.5%ですが、2040年には35.4%になると試算されています。

一方、その後はベビーブームは起きなかったため、2040年の人口ピラミッドは高齢期に膨らみをもった縦に細長い形となり、「20〜64歳」の現役世代がスリム化します。

そのため、高齢者層を支える現役世代の層が減少しており、社会保障費など社会を存続するための制度が懸念されています。

深刻な労働力不足に陥る可能性がある 

下図2も厚生労働省の資料です。参照すると、高齢化率は2019年(令和元年)は28.4%でしたが、2040年(令和22年)には35.3%に増えるとされています。現役世代である「20〜64歳」の人口は、日本の総人口と同様に年々減少する見込みです。

そのため、2040年を迎える頃には現役世代の人口が減少することにより、深刻な労働力不足に陥る可能性があります。

国民が長く元気に活躍できるような取り組みを進めることが必要

団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を迎えるために、国民が長く元気に活躍できるような取り組みを進めることが必要です。

厚生労働省では、2040年を展望した社会保障・働き方改革について以下のような取り組みを進めています。

  • 多様な就労・社会参加の環境整備
  • 健康寿命の延伸
  • 医療・福祉サービスの改革による生産性の向上
  • 給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保 *1

現役世代の人口の急減という新たな局面に対し、多様な就労・社会参加では「70歳までの就業機会の確保」、健康寿命の延伸については「地域・保険者間の格差の解消」など、さまざまな対策を掲げています。*1

従業員100人以下の企業では、中途採用で正社員を確保している割合が高い

従業員100人以下など規模の小さい企業では、新卒採用より中途採用で正社員を確保している割合が高くなっています。

厚生労働省の調査では、正社員の確保は企業規模が小さいほど困難となり、全体の約2割の企業が「確保できていない」と回答しました。(下図3)

今後は生産年齢人口が減少する傾向にあり、企業においては人材の確保が大きな課題となることが予測されます。

多様な就労・社会参加には女性・シニアの中途採用が有効

今後は人生100年時代に向けて、高齢者や女性なども含めたさまざまな人が、それぞれの状況に応じて多様で柔軟な働き方を選択できることが求められています

そのためにも、中途採用の拡大や、副業・兼業の促進に向けた環境整備を進めていくことが必要です。*2

ここでは、女性やシニアの中途採用が有効である点について解説します。

働く女性は年々増加、貴重な労働力

働く女性は年々増加しており、労働力人口総数に占める女性の割合の割合は、令和元年には44.4%となりました。*3

労働力人口総数に占める女性の割合は過去最高を更新しており、労働人口の約4割を女性が担う状況です。したがって、女性は日本経済を支えている貴重な労働力といえます。

全ての年齢階級で女性の労働力率は増えており、上昇幅が最も大きいのは「60~64 歳」で、令和元年は平成21年より15.3 ポイント上昇しています。

現役世代の層でも増加傾向にあり、「30~34 歳」では 10.3ポイント、「35~39 歳」では 11.2ポイント上昇しています。(下図4)

女性の中途採用は再就職にあたっての不安を取り除くことが必要

30歳代の女性で働く人が増えていますが、子育て世代ということもあり、女性が中途採用で再就職するにあたっては、さまざまな不安を取り除くことが必要です。

下図5は、出産・育児等を機に離職した女性の再就職に関する不安をまとめたグラフです。

参照すると、「子育てとの両立」「仕事についていけるか」「職場の人とうまくやっていけるか」などが再就職前の不安として挙げられていました。

実際に働いてみると、約4割の人が「心配なかった」と答えていますが、このような心配事を取り除くことが、子育て世代の女性にとっては必要な対策といえます。

家庭と仕事を両立できる環境整備のポイントとしては、時差出勤制度やフレックスタイム制度、在宅勤務制度、育児・介護休暇制度など、「勤務時間・勤務場所・休暇」に関する取り組みが有効です。*4

シニアは豊富なノウハウや高いスキルが期待できる

少子高齢化が進み、労働力不足が懸念される日本にとっては、シニア世代も貴重な人材です。2016年に日本人材紹介事業協会が行ったアンケート調査では、シニア人材が活躍している企業は4割を超えていました。*5

シニア人材の雇用において今後期待できるメリットとしては、「豊富なノウハウや高いスキルが期待できる」(75.7%)が最も高い割合となっており、事業の戦力として重要視されています。

ただ、労働時間の調整を重視するシニアワーカーには、労働時間と業務量に配慮することが必要です。できるだけ業務量に対して多めの人員を確保し、無理のない雇用環境を構築しましょう。*6

女性の中途採用に対する企業の取り組み事例

女性が中途採用で無理のない働き方を実現するには、フレキシブルな勤務体制が整備されているかどうかがキーポイントです。

ここでは、女性の中途採用に対する企業の取り組み事例をご紹介しましょう。

コストコホールセールジャパン株式会社

コストコホールセールジャパン株式会社は、性別、年齢、子どもの有無に関わらず、働く意欲のある人を中途採用している会社です。新卒採用よりも中途採用を重視しており、倉庫店、物流センター、本社などで、社会人として働いていた人や実務経験者を対象に中途採用を実施しています。

募集した要件(小売業なので土日勤務)を満たす人ならば採用し、子どものいる女性の採用実績も多く見られます。*7

日本ロレアル株式会社

日本ロレアル株式会社は、社員の多様性を尊重する会社です。年齢、性別、子どもの有無等に関係なく、適性のある人材を採用しています。

採用にあたっては、将来にわたりキャリアを築いていける人であるかというポテンシャル面を重視するのが特徴です。直属の上司と部下との間で年2回の定期的な面談を実施しており、今後のキャリア形成について話し合いをします。*8

シニアの中途採用に対する企業の取り組み事例

令和3年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法において、65歳から70歳までの就業機会の確保について、企業は努力義務を設けられました。*9

現代のシニアは働く意欲があり、能力が高く経験豊富な方がたくさんいますので、企業にとって有益な人材が少なくありません。

ここでは、シニアの中途採用に対する企業の取り組み事例をご紹介します。

株式会社 人形町今半

明治28年に創業したすき焼きの老舗「人形町今半」では、定年を過ぎても多くの社員が仕事を続けています。理由は「お客様の高い要望に応える」ためです。

シニア雇用の事例としては、予約センターで異なる業種のシニアを採用しており、人生経験を活かした電話対応をしてもらっています。

シニア人材は人生経験が豊富なので、柔軟に対応できるのが魅力です。

勤務体制は5時間の勤務を週4回など、無理のない働き方を実践しています。

今半ではシニアが活躍する予約センターに若い社員をチームリーダーとして投入し、仕事をサポートしています。職場の雰囲気が良くなるように声かけする、新しい情報を都度知らせるなどして、シニアが仕事をしやすい環境を作り上げています。*10

フューテックス 株式会社

フューテックス 株式会社は、東京都昭島市で産業向けの高圧電源を開発販売している会社です。前任の担当者が高齢で引退するにあたり、60歳代以上のシニアを募集しました。

社長には、もともとシニアを積極雇用すべきという持論があり、会社には70歳以上の方が4人おり、年齢での区別はしていません。

フューテックスはシニア社員に対しては体調不良や老老介護などにも配慮しており、体調や家庭を優先して働ける環境を整備しています。若手とシニアのバランスに配慮しながら日々の業務を進めているのがポイントです。

また、漠然と「あなたの知識を活かしてください」というのではなく、「何をしてほしいのか」をはっきり伝えるようにしています。仕事の内容を具体的に示すことにより、シニア社員もチームの一員として他の社員と協働しながら業務に取り組めます。 *11

まとめ

日々が過ぎ去るのは早いもので、2040年もいずれ到達します。現状では少子高齢化のめどは立たず、このままの状況が続けば、日本の労働人口は減少するでしょう。

これからは女性や高齢者が生きがいをもって、働ける社会を作ることにより、2040年問題を乗り越えていけます。

  • Person 矢口 美加子

    矢口 美加子 -

    ライター・宅地建物取引士・整理収納アドバイザー。宅建・整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を取得済みです。不動産・リフォーム・不動産投資・転職・整理収納関連の記事を複数のメディアで執筆。ライター業の他に、家族が経営する投資用物件の入居者管理もこなしています。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/01/16
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