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ポテンシャル採用とは?メリット・失敗しないためのポイントを解説

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「経験やスキルだけでは、これからの人材を見極めきれない気がする」と感じる場面が増えていませんか。

今、採用の現場では「ポテンシャル採用」に注目が集まっています。ポテンシャル採用は、目に見える実績だけでなく、将来性や成長意欲といった「これからの伸びしろ」に着目して人材を見極める手法です。

当記事では、人事担当者や経営者の方に向けて、ポテンシャル採用の基本的な考え方や注目される理由、導入のメリット・デメリット、成功のために押さえておきたいポイントなどを分かりやすくご紹介します。

1. ポテンシャル採用とは?

ポテンシャル採用とは、応募者の現在のスキルや職務経験ではなく、将来的な成長性や学習能力、人柄といった「潜在能力(ポテンシャル)」を評価して採用を行う手法です。経験が少ない人材であっても、将来的に活躍できる見込みがあれば選考の対象となるのが特徴です。特に第二新卒や20代の若手を中心に実施されており、人材不足が深刻なIT業界や、ベンチャー企業などで活用が進んでいます。

新卒採用が主に学生を対象とするのに対し、ポテンシャル採用は第二新卒や既卒者など、幅広い層にアプローチします。また、職務経験を前提とした中途採用(キャリア採用・ジョブ型採用)とは異なり、業界未経験者の採用にも門戸が開かれているのが特徴です。

なお、ジョブ型雇用について、詳しくはこちらのインタビュー記事でも紹介しています。
関連記事:中小企業が知っておくべき「ジョブ型雇用」の導入適性と実践のヒント


2. ポテンシャル採用に注目が集まる背景

近年、ポテンシャル採用に注目が集まっている背景には、大きく分けて2つの理由があります。

1つは、採用市場の激化です。出生率の低下や生産年齢人口の減少により、日本の求人倍率は年々上昇しており、人材獲得競争はますます激しくなっています。特に即戦力人材の採用は難航しており、企業は将来性のある若手人材を確保し、自社で育成していく「ポテンシャル採用」へと戦略を転換しつつあります。

もう1つの理由は、既存の採用方法では出会えない多様な人材にアプローチできることです。ポテンシャル採用は、第二新卒や海外大学卒業者、留学・ワーキングホリデー経験者など、従来の新卒・中途採用の枠組みに当てはまらない人材をターゲットにできる柔軟性があります。

実際にマイナビの調査によると、新卒採用では37.6%、中途採用でも12.9%の企業がポテンシャルを重視した採用を行っています。第二新卒に対しては「社会経験」や「即戦力」「適応力」などの期待が高く、基本的なビジネスマナーや職場への順応力を備えている点が評価されています。また、「若さ」や「やる気」といったフレッシュさも加わり、企業にとっては新卒よりも早期の戦力化が見込めることも、ポテンシャルを重視した第二新卒の採用が注目される理由です。

出典:マイナビキャリアリサーチLab「2025年以降の第二新卒採用ニーズは8割超-境目が曖昧になる新卒採用・中途採用」
出典:マイナビキャリアリサーチLab「企業人材ニーズ調査」


3. ポテンシャル採用は何歳まで?

ポテンシャル採用には明確な年齢制限があるわけではありませんが、一般的には20代から30代前半までの求職者が対象とされることが多いです。特に第二新卒や20代の既卒者は、長期的に育成していく前提でポテンシャルを見込まれやすく、企業にとって柔軟に対応しやすい世代とされています。

ただし、「既卒で就業経験がある場合はその限りではない」といった柔軟な対応をしてもよいでしょう。あくまでも年齢は目安であり、重要なのは本人の姿勢や可能性、成長意欲です。

4. ポテンシャル採用のメリット

ポテンシャル採用では、職務経験やスキルだけでなく、応募者の人柄や学習意欲などを評価するため、これまで出会えなかった多様な人材と巡り合える点が大きな魅力です。ここでは、企業がポテンシャル採用を導入することで得られる主なメリットを解説します。

4-1. 多様な人材を確保できる

ポテンシャル採用の大きな魅力の1つは、さまざまなバックグラウンドを持つ人材と出会える点です。職種や業界経験にとらわれない採用手法のため、第二新卒、海外大学卒業者、留学経験者、異業種からの転職希望者など、通常の新卒・中途採用では見つけにくい人材の応募が期待できます。

特定のスキルや実績に縛られず、将来性や人柄を重視して評価することで、柔軟な発想や新たな視点を持った人材を採用できます。さらに、ポテンシャル採用は「スキルは入社後に習得すればよい」という前提のため、潜在能力と意欲を重視して選考できます。これにより、応募者の可能性を最大限に引き出し、採用の間口を広げられることも大きなメリットです。

多様な人材を採用する場合は、ポジションごとの募集ではなく、オープンポジションでの採用がおすすめです。オープンポジションは組織のイノベーションを促進する手法としても効果的です。

なお、オープンポジションについて、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
関連記事:オープンポジションとは?中途採用におけるメリットと採用戦略の立て方

4-2. 組織の活性化とイノベーションを促進できる

ポテンシャル採用は、組織に新たな刺激をもたらし、社内の活性化やイノベーション創出に貢献します。多様な価値観やバックグラウンドを持つ人材が加わることで、これまでになかった視点や発想が生まれ、停滞した組織に風穴を開けるきっかけになります。

特に、年功序列や同質的な人材構成が根強く残る組織においては、新しい人材は変化を促す重要な要素です。柔軟な思考を持つ人材が社内に加わることで、課題解決の方法や業務改善へのアプローチが変化し、従来の慣習にとらわれない行動が期待できます。

また、ポテンシャル採用は、ダイバーシティ推進の観点からも有効です。年齢・性別・経験・国籍などに関係なく、多様な人材が協働することで、多角的な思考と創造性が育まれ、企業の競争力向上にもつながります。

4-3. 世代交代と年齢構成の是正が進められる

多くの企業では、過去の採用抑制や若手社員の離職により、年齢構成の偏りが課題となっています。特に中高年層に偏った組織では、将来の幹部候補や現場の担い手不足が懸念されています。ポテンシャル採用は、こうした課題を解消する手段として有効です。

若手人材を積極的に採用すれば、組織内の年齢バランスを整えられ、次世代のリーダー育成にもつながります。また、早い段階から責任あるポジションを任せることで、若手に自信と成長機会を与え、将来的に会社をけん引する人材への育成が可能になります。

特に製造業や技術職などでは、熟練者から若手への技術継承が重要です。企業のノウハウや現場力を維持する上でも、ポテンシャル採用による世代交代の推進は、組織の持続性を高める重要な施策です。

4-4. 即戦力人材の採用で教育・育成コストを抑制できる

ポテンシャル採用の対象には、社会人経験を持つ第二新卒や既卒者も多く含まれています。そのため、基本的なビジネスマナーや社会人としての常識、適応力といった土台がすでに備わっている場合が多い点もメリットです。

また、報連相(報告・連絡・相談)や社内コミュニケーション、時間管理といったビジネスの基礎が身についている人材は、新卒採用に比べて教育・育成コストがかからずに済みます。限られた人材育成リソースを有効活用する上でも、ポテンシャル採用は戦略的な採用手段です。

5. ポテンシャル採用のデメリット

ポテンシャル採用は将来性に期待して人材を確保できる一方で、「結局、意味がなかった」と言われてしまう場面も少なくありません。ここでは、ポテンシャル採用に潜む主な課題やデメリットについて詳しく解説し、採用活動のリスク管理の方法を解説します。

5-1. 採用基準が曖昧になりやすい

ポテンシャル採用は、応募者の「将来性」や「人柄」といった抽象的な要素を重視するため、どうしても採用基準が曖昧になりやすい傾向にあります。経験や資格といった客観的な評価項目が少なく、採用担当者ごとに判断基準にブレが生じてしまいます。

また、実務経験がない応募者を、面接時の受け答えや自己PRの印象だけで判断してしまうケースも珍しくありません。その結果、話を誇張して伝える応募者を見抜けず、入社後にミスマッチが発覚するリスクが高まります。企業は「自社が求めるポテンシャルとは何か」を明確に定義し、選考の軸を可視化しておくことが不可欠です。

5-2. 見極めに時間と労力を要する

「ポテンシャル」は見えにくく、測りにくいものです。そのため、ポテンシャル採用では選考の初期段階から、応募者の成長意欲や適応力、学習能力といった内面的な要素を多角的に見極めなければなりません。

通常の中途採用であれば、職務経歴やスキルである程度の判断が可能ですが、ポテンシャル採用ではそうした明確な指標が乏しいため、面接回数を増やしたり、グループワークや適性検査などを取り入れたりする必要が出てきます。その結果、採用プロセスが長期化しやすく、採用担当者の負担も大きくなります。

また、見極めを誤った場合、入社後のミスマッチが発生しやすくなるため、精度の高い選考手法を準備することが求められます。

なお、面接時の見極めの方法について、詳しくはこちらのインタビュー記事でも紹介しています。
関連記事:未経験者の中途採用面接では何を確認すべき? その難しさと見極め方

5-3. 即戦力になりにくい

ポテンシャル採用の多くは未経験者や経験の浅い若手が対象となるため、即戦力としては機能しづらい傾向があります。たとえ社会人経験があったとしても、職種や業界が異なる場合、業務の基本から学び直す必要があり、短期的な成果は期待しづらいのが実情です。

たとえばITや営業、マーケティングなど専門知識や実務経験がものを言う職種では、現場に慣れるまで時間がかかることが多く、教育・サポート体制が整っていない企業は注意が必要です。

採用時には「いつから成果を出せるか」ではなく、「どれだけ育てて将来戦力にできるか」という長期的な視点が欠かせません。即戦力を求める職場環境とミスマッチが起きないよう、導入前に体制を見直しましょう。

5-4. 育成にコストがかかる

ポテンシャル採用では、職種未経験者や業界知識が乏しい人材が対象となることが多いので、業務に必要な知識やスキルを一から習得してもらう必要があります。

また、新卒採用のように研修内容が画一化されていないため、入社者一人ひとりに合わせた柔軟な教育が求められます。たとえば、コミュニケーション力はあるが業界知識がゼロの人材と、知識はあるが実務経験がない人材では、教えるべき内容も異なります。

ポテンシャル採用では、OJTやメンター制度など、段階的かつ個別対応が可能な育成体制を事前に構築しておくことが成功のカギです。

5-5. 早期離職や転職のリスクがある

ポテンシャル採用の対象となる若手人材は、キャリア形成の途上にあり、自分に合わないと感じた場合には早期に転職を決断する傾向があります。特に20代は転職への抵抗が少なく、「もっと自分に合う職場があるのでは」と新たな機会を探す意欲が高い世代です。

また、職種未経験で入社した場合、理想と現実のギャップが生じやすく、業務内容や職場環境が想定と違っていたことで離職につながるケースもあります。同期が少なく孤独を感じやすいという点も、定着率の低下要因となります。

早期離職のリスクを軽減するには、採用前から企業文化や仕事内容を丁寧に開示することが大切です。同時に、採用時のターゲット設定をきちんと行い、マッチする人材の採用につなげる工夫も行いましょう。

6. ポテンシャル採用で失敗しないためのポイント

ポテンシャル採用を成功させるためには、採用前から入社後までを見据えた仕組みづくりが不可欠です。ここでは、ミスマッチを防ぎ、採用した人材の定着と成長を促すために企業が意識すべき3つのポイントを解説します。

6-1. 求めるポテンシャルを明確化する

ポテンシャル採用では、スキルや経験よりも将来性が重視されますが、「ポテンシャル」とひと口に言っても、その中身は企業によって異なります。そのため、まずは自社にとってどのような素質や能力を持った人材が活躍しやすいのかを明確にする必要があります。

たとえば、「リーダーシップがある人」「新しいアイデアを出せる人」「環境の変化に柔軟に対応できる人」など、理想とする人材像を定義し、それに基づいた面接設計や評価項目を整えることで、採用基準の属人化を防げます。

また、人物像は求人票や自社採用サイト、SNSなどを通じて積極的に発信すると、マッチする人材からの応募を集めやすくなるほか、ミスマッチの防止にもつながります。明文化と社内共有を徹底することが成功の第一歩です。

6-2. キャリアビジョンを共有する

ポテンシャル採用では、入社時点でのスキルよりも将来の成長や活躍を期待して採用を行います。そのため、応募者本人がどのようなキャリアを描いているかを把握し、それが自社の成長イメージと合致するかを丁寧に確認する必要があります。

具体的には、面接時に「将来どのような業務に関わりたいか」「どのような働き方をしたいか」などをヒアリングし、企業側も「自社でどのようなキャリアが築けるか」をしっかり伝えることが大切です。どちらか一方の思いだけで進めると、入社後のギャップによってモチベーション低下や早期離職を招くリスクがあります。

採用は「マッチング」であるという意識を持ち、応募者のビジョンと企業の方針がすり合わせられるよう、対話を重視した選考プロセスを構築しましょう。

6-3. 教育・育成体制を整備する

ポテンシャル採用の成功には、採用後の育成体制の整備が欠かせません。OJTやメンター制度、定期面談などを通じて、段階的に成長を支援する環境を整えましょう。新しい職場では誰でも不安を感じやすいため、手厚いサポートがあることで「ここで頑張ろう」と思える土壌を作れます。

また、育成体制が明確であることは、採用時にも強みとしてアピールできます。入社後の成長イメージが明確に伝われば、応募者も安心してチャレンジしやすくなり、企業と求職者の信頼関係構築にもつながります。

7. ポテンシャル採用における応募者のチェックポイント

ポテンシャル採用では、即戦力となるスキルや経験がない分、面接時に「この人が将来的に活躍できるかどうか」を見極める力が求められます。その判断基準として有効なのが、学習姿勢・目的意識・情報収集力の3点です。

ここでは、ポテンシャルの高い人材を見抜くために、企業側が注目すべきチェックポイントを紹介します。

なお、面接における見極めの方法について、詳しくはこちらのインタビュー記事でも紹介しています。
関連記事:現場担当者が身に付けるべき面接力とは? 採用を成功に導く「見抜く」「惹き付ける」の極意

7-1. 自主的に学習しているか?

ポテンシャル採用において最も重視されるのが「自主的に学ぶ姿勢」です。スキルや知識は入社後に習得できますが、学ぶ意欲がなければ成長の見込みは期待できません。

たとえば、ITエンジニア志望者であれば、何かしらの資格取得を目指している、プログラミング学習をしている、成果物としてポートフォリオを作っているなど、実際の行動が伴っているかを確認しましょう。

さらに、「なぜその学習を始めたのか」という背景を掘り下げることで、本人の志向性や問題意識の深さも見えてきます。やる気の有無は言葉よりも行動から見極めることが大切です。

7-2. 目的意識を持っているか?

キャリアチェンジを目指す求職者の中でも、明確な目的意識を持って転職活動を行っているかどうかは、ポテンシャルの高さを判断する重要な材料になります。「前職が合わなかった」「なんとなく転職を考えた」といった理由だけでは、再びミスマッチが起こるリスクがあるため注意が必要です。

一方で、「〇〇の分野で専門性を高めたい」「将来的にマネジメント職を目指したい」といった具体的なビジョンがある人材は、自らの成長方向を理解しており、目標達成に向けた行動ができる可能性が高いです。

面接では、これまでの行動がその目的にどう結びついているか、筋道を立てて話せるかどうかもチェックしましょう。目的意識は成長の原動力であり、長期的な定着にもつながります。

7-3. 最新の情報をキャッチアップしているか?

変化の激しい現代社会では、業界や職種を問わず、最新情報にアンテナを張っているかどうかもポテンシャルの1つです。特にITやマーケティングの分野では、トレンドの移り変わりが速いため、日頃からSNSや専門メディア、勉強会などを通じて情報収集を行っている人材は、業界に対する関心や主体性が高いと評価できます。

情報収集力は単に知識量を増やすだけでなく、「今後のキャリアにどう生かしたいか」といった視点を持っているかも大切です。面接では、「最近気になった業界ニュース」や「注目しているサービス」などを聞いてみましょう。発信された情報を受け取るだけでなく、それを自分の中でどう咀嚼しているかを確認することで、深い思考力や応用力の有無も見えてきます。

まとめ

ポテンシャル採用は、スキルや経験に依存せず、応募者の成長意欲や柔軟性を評価する新しい採用手法です。人材不足が深刻化する中、多様なバックグラウンドを持つ人材との出会いや、組織の活性化、将来を見据えた人材育成など、多くのメリットがあります。

一方で、選考基準の曖昧さや育成コスト、早期離職のリスクなど、導入には慎重な準備と体制の整備が必要です。また、採用したい人材のターゲットを明確にし、効率的な採用を行えるように工夫しましょう。

※当記事は2025年6月時点の情報をもとに作成しています

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2025/07/24
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