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【前編】面接力向上のポイントと注意点とは?|採用すべき人財 の見極め方

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採用活動において大きな比重を占める面接。中小企業の採用担当者からよく聞かれるのが、「面接の仕方がわからない」「見極めがうまくいかない」「魅力づけができない」「社内の協力を得られない」といった悩みです。

そうした悩みを解決する「面接力向上のポイントや注意点」を、生和コーポレーション人事部で採用を担う横川翔様が解説。

今回は前編として、面接に向けた心構えをはじめ、面接の方法、人材の見極め方をお伝えします。

面接に向けた面接官の心構え

まずは、面接実施に向けた心構えを確認しましょう。

人事のミッションは、社員が楽しく活躍すること

私は、人事のミッションは「社員が楽しく、活躍すること」に尽きると考えています。採用活動をしていると、少しでも多くの人に選考を受けてもらって、何人採用しなくてはならない、といった目先の目標に目が行きがちですが、入社した人が活躍できなければ意味がありません。

この会社に入れば楽しく活躍できるというメッセージが伝われば、最終的に入社を決めてもらいやすくなると感じています。

面接は粗探しではなく、相互理解の場

そこで、面接に臨む際に心がけてほしいのが、面接を粗探しではなく、相互理解の時間にすることです。私も面接を始めた頃は、つい求職者 の粗探しをしてしまいました。

しかし、悪い部分を中心に見てしまうと、本当に見極めるべきポイントを見落とし、結果的に知識や技能を身につければ活躍できる人や、本当の良い”人財”を見逃すおそれがあります。面接では、求職者の強みに注目するのが基本です。

相互理解のためのアプローチとは?

では、相互理解のために何をすればよいのかというと、「関係を築く」「活躍の仕方を提案する」の2段構えのアプローチが効果的です。一般的な採用面接では、求職者と関係を築く際に、面接官が求職者に関して興味を持った点について質問していきます。

しかし、より深い関係を築くためには、求職者が興味を持っていることに面接官が興味を持つところからスタートすることが重要です。たとえば「最近、こだわっている趣味はありますか?」「休日はどんな過ごし方をされていますか?」といった質問から入るとよいかもしれません。

もう一つのアプローチが、活躍の仕方を提案することです。まず求職者の強みを把握したうえで、求職者が社内でどんな活躍ができるかを考え、実際に活躍する際のポジションや活躍の仕方を提案します。

面接の方法

心構えができたところで、面接の基本や実施方法を確認しましょう。

基本的な面接の流れ

下の表は、よくある面接の流れを示したものです。面接のプロセスごとに、面接官が取るべきアクションを紹介しています。

あくまで一例ですが、面接の手順・内容を考える際の参考にしてください。

面接の2つの役割

面接の役割は、大きく下記の2つに分けられます。

求職者の強みの見極め

強みの見極めは、自社に合う人材を見抜くためにも、求職者がどうすれば自社で活躍できるのかを一緒に考えていくためにも欠かせません。

相手ごとの魅力づけ

求職者から選んでもらうためには、自社の魅力づけが不可欠です。求職者の興味を知ったうえで、相手に合わせた魅力づけをしていくことが重要です。

選考における求職者の心理

相手の考え方に気づくためには、求職者心理を理解する必要があります。下の表は、選考フローにおける心理変化をまとめたものです。

横軸に選考のプロセスを記載し、縦軸には上から「受験者に期待するアクション」「受験者 (求職者)」心理」「採用担当者がとるべきアクション」の順に記載しました。

まずは、選考フローの各プロセスの求職者心理を見てみましょう。説明会や1次面接の段階は、受験した企業についてよく知らない段階です。興味度はかなり低いので、少しでも相手が興味を持っているポイントを見つけて、より詳しく話をしていかなければなりません。

そして、1次面接を突破して2次面接に参加する求職者は、自分をもっとアピールしていきたいという心理状況に変わってきます。そのため、2次面接と最終面接では、話を聞いてほしい、この会社で活躍すると信じてほしいという求職者心理への対応が必要になってきます。

さらに、最終面接を突破した求職者のなかには、内定を受諾すべきかどうか迷っている人が少なくありません。そういった求職者に対しては、お祝いの言葉をかけて、安心して内定を受諾できるように後押しする必要があります。

もし選考過程で求職者がどう考えているのかがわからないと感じたときには、この表を見返して、相手が今どの心理状況にあるのか、それに合わせてすべきアクション確認しましょう。

採用すべき”人財”の見極めポイント

続いて、面接で自社が求める人材を見極めるためのポイントを解説します。

まずは採用要件定義

これまでに、採用担当者が「きっと活躍する」と思った人が入社後にすぐに辞めてしまう、入社はしても仕事に熱心になってくれないといったケースを多数見てきました。

こうした状況を改善していくために、まず求められるのが採用における要件定義です。つまり、どんな人材なら自社で活躍できるのかを明文化する必要があります。

要件定義の目的は、主に下記の2点です。

  • ミスマッチ防止自社にマッチする人材像を明確にすることで、ミスマッチを防ぎます。入社後に活躍できなければ、求職者側も採用側も不幸になってしまいます。
  • 社内外の円滑なコミュニケーション採用要件がはっきりすると、求職者とのコミュニケーションが円滑になるうえ、他部署の社員に採用活動に協力してもらう際にも、うまく連携できるようになります。

要件定義を作る際のポイント

要件定義を作る際に重要な点は、次の2点に大きく分けられます。

必須要件(Must要件)/尚可要件(Want要件)

当然ながら、全てを揃えた人材は見つけにくいものです。そのため、最低限これを備えておかなければいけないという要素を洗い出して優先順位をつけなければなりません。

採用担当者は面接をしていると、つい話がうまい人や、雰囲気がよい人に惹かれがちです。しかし、その人に必須の知識と技能が欠けていれば、実際に入社しても活躍するのは難しいでしょう。

求めているポジションにおいて、求職者に一番重要な要件(必須要件)は何で、プラスアルファのポイント(尚可要件)は何なのか。この2つの要件を切り分けて求職者を見ることが重要です。

一つ例をあげると、営業職の場合の必須要件は、共感力、自我力の2つといえます。言い換えると、相手と仲よくなる能力と、決めたことをやり抜く能力です。特に幼少期になにか説得をした経験のある方は、営業職でも説得力を活かして成果に向き合う傾向が非常に高いです。

要件を備えた求職者の見抜き方

では、要件を備えた求職者をどうやって見抜けばよいのでしょうか。その方法として、「コンピテンシー面接」を紹介します。コンピテンシー面接を一言で言い換えると、”思い出してもらう”面接です。
※コンピテンシー:再現性のある行動特性や思考特性のこと
※コンピテンシー面接:コンピテンシーに着目して要件に合う人材を見抜いていく面接

コンピテンシー面接では、求職者に、これまでの経験の中での工夫や行動を思い出して話してもらいます。そこから行動特性や思考特性を読み取り、それらが自社で再現されれば活躍できるのかという観点で求職者を見極めます。

一方で、よくある面接のやり方は、“考えてもらう”面接です。「志望動機は何ですか」「転職したい理由は何ですか」といった質問に、頭の回転が速い人や口が達者な人は、スラスラと答えられるかもしれません。

しかし、そういった人が必須要件を備えているとは限りません。“思い出してもらう” 面接であるコンピテンシー面接を取り入れることで、求める人材を見抜きやすくなります。

コンピテンシー面接の4つの工程

  • これまでの経験で特に力を入れたことを聞く
  • そのなかでの工夫と苦労を尋ねる(自発的な問題提起をしているかどうかに注意)
  • 1日の場面を切り取って行動を確認する
  • 判断や工夫を確認する(イメージできるまで質問する)

コンピテンシー面接には、上記の4つの工程があります。工程1では、「これまでに特に力を入れたことは何ですか?」と質問 して、経験にフォーカスを当ててください。続く工程2では、「その中で工夫したことや苦労したことをイメージしたいので、具体的に教えてくれますか?」と質問するとよいでしょう。

このときに注意したいのが、求職者が回答した行動が自発的だったかどうかです。面接で求職者が「こういうことを頑張りました」と答えたとします。しかし、行動を起こした理由が「誰かに言われたから」であれば、再現性があるかどうかわかりません。求職者自身がどんなことを考えて行動に移したか、つまり自発的な問題提起をしたかどうかを見抜くことが重要です。

具体的にイメージできるように、求職者の回答例を1つ紹介します。

「チーム内で協力関係が十分にできていなかったので、私が皆に声をかけてコミュニケーションをとることで関係を深め、協力し合える環境を作りました」

この話には、具体的にどんな場面で、周りがどのように考えていて、どんな会話があったから、自分がどんな会話をしたのかといった情報が抜けています。

ですから次の工程3では、1日のある場面を切り取って、たとえば「周りの人はどのようにおっしゃっていたのですか?」「それに対してどんなことを伝えたから関係を築くことができたのですか?」と聞くとよいでしょう。

さらに工程4で判断や工夫を確認する際には、「例えばどのようにされていたのですか?」というフレーズを活用すると、より具体的な回答を得やすくなります。

面接のプロセスごとのポイント

ここからは、1次面接、2次面接、最終面接の順に、どんなことを意識すればよいのかを解説していきます。

1次面接

1次面接は、求職者が企業に何を求めているのかを確認する面接です。1.現在、2.過去、3.未来の順に話を聞いていくことで、相手が答えやすく、思い出しやすくなります。そのなかでも特に、過去の経験にフォーカスを当てて、前出のコンピテンシー面接を実施します。

最近の出来事(1.現在)については、一番記憶が鮮明なので、答えやすいです。次に、これまでの仕事やバイトなどの経験の一場面(2.過去)を思い出しながら話してもらいます。さらに、今後、求職者がどうしていきたいのか(3.未来)について聞いてみてください。

一口に経験といってもさまざまで、その経験に対する価値観は人によって異なります。求職者がこれまでの経験の中でどんな価値観を大切にしていて、どんなことに対して積極的に動けるのかを意識して考えましょう。

2次面接

2次面接では、求職者が仕事のイメージを掴めるように対話を展開します。相手の価値観や強みに合わせて話をするために、改めて求職者の強みや企業選びの軸を確認した後、「仕事に対するイメージを発表していただけますか?」と投げかけてみてください。

すると、仕事についてもう少し理解を深めたらよいのか、仕事のイメージは十分にできているから自社で働けるポジションについて説明すればよいのかがわかってきます。そのうえで、不足している情報を補いながら、やりがいや入社後の活躍イメージを伝えましょう。

最終面接

最終面接は、入社への最終的な後押しをしていく段階です。求職者が複数社受けていた場合、魅力の差で負けると、内定を受諾してもらえません。そのため最終面接では、見極めよりも求職者の期待感を高めることを重視しましょう。

ストレス耐性の見抜き方

ここまで能力面の見極めについて話してきましたが、せっかく採用しても、入社後に新人がストレスに耐えられずにうまく活躍できないケースもあります。そこで、求職者のストレス耐性の見抜き方についてもお話しします。

求職者のストレス耐性が低い場合、逃避行動や回避行動が多くなる傾向があります。一方、ストレス耐性が高い人は柔軟なメンタルを持っていて、ストレスに対して、問題解決や相談という対応方法をとることで向き合っていきます。

ストレス耐性の確認方法

  • 精神的なプレッシャーを感じたことがあるか
  • そのように感じた原因は何だったのか
  • どのように対処したのか

求職者のストレス耐性を見抜くには、まず「精神的なプレッシャーを感じた経験はありますか?」と質問します。続けて、そのときにどう感じたのか、原因は何だったのかを確認してください。そのうえでどのように対処したのかを聞くと、より詳しく求職者のストレス耐性がわかります。

まとめ

中小企業にとって面接は採用フローのなかでもハードルの高い業務ですが、ノウハウを身につけて面接力を磨けば、採用すべき人材をより多く入社につなげることができるようになります。
前半では主に、面接方法と見極めのポイントについてお伝えしました。後編では、魅力づけのポイントを中心に解説します。

  • $タイトル$
  • 生和コーポレーション株式会社
    人事部係長
    横川 翔様

    大学卒業後に豆腐屋を開業。並行してMBAを修める。卒業後デロイト トーマツ グループにて主に人事領域のコンサルティングに従事。現在は生和コーポレーションにて経営企画室兼人事部係長としてマーケティングや戦略的な組織開発を担っている。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/06/13
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