適切な人材採用基準とは?法律上の問題点やNG例も解説
人材採用の基準は、各企業が自由に設定できるのが原則です。
しかし、差別的な採用基準を設けることは、各種法律によって禁止されています。コンプライアンスの観点も踏まえて、適切な人材採用基準を設定しましょう。
本記事では、男女雇用機会均等法や職業安定法などのルールを踏まえて、人材採用基準を設ける際の注意点を解説します。
人材採用に関する差別を禁止する法律のルール
人材採用に当たって、候補者を不合理に差別することは、職業安定法、男女雇用機会均等法および労働施策総合推進法などの法律で禁止されています。
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新規採用人材を選考するに当たっては、上記の差別禁止規定を踏まえた上で、候補者の能力や適性に焦点を当てた選考基準を設けましょう。
人材採用基準のNG例・OK例|違いを解説
新規人材の採用基準を設けるに当たっては、不合理な差別に当たらないかどうかを慎重に検討すべきです。
特に、法令との関係で妥当性の判断が難しい場合がある以下のケースについて、NG例・OK例と両者の違いを解説します。
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性別によって採用基準を変える場合
性別によって採用基準を変える場合は、職業安定法および男女雇用機会均等法で禁止されている性差別に当たらないかどうかを検証しなければなりません。
NG例 |
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特に合理的な理由がないのに、男女どちらかに限って求人募集を行うことや、男女の内訳をあらかじめ決めておくことはNGです。
また、どちらかの性別だけに不利な採用条件を設けることも認められません。
身長・体重・体力を募集要件とすることも、間接差別に当たるため不適切と考えられます。
OK例 |
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一方、合理的な理由があれば、採用基準について男女差を設けることも認められます。
演劇の男性キャストとして男性だけを募集する場合や、ボディーガードとして体力のある男性だけを募集する場合などが一例です。
また、職場における男女比率を改善するため、どちらかの性別だけに絞って求人募集を行うことは「ポジティブ・アクション」と呼ばれ、男女平等に資するものとして認められることがあります。
学歴や職歴を採用要件とする場合
一定の学歴や職歴を採用要件とすることは、比較的柔軟に認められます。学歴や職歴は、候補者の能力や適性を判断するに当たって、重要な参考情報となるケースが多いためです。
OK例 |
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「大卒以上」などの学歴要件を設ける例は実際に多数見られますし、募集するポジションに関連する職歴を求めることも問題ないでしょう。
NG例 |
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ただし、信条や性別による差別の要素を実質的に含んでいる場合には、学歴や職歴によるフィルタリングが違法となることもあり得ます。
たとえば特定の宗教を信仰する学校や、男子校または女子校を卒業している人を採用選考の対象から除外することは不適切と思われます。
年齢を採用要件とする場合
労働者の求人に当たっては、原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません(労働施策総合推進法9条、同法施行規則1条の3)。
したがって、募集・採用に当たって年齢要件を設けることは、原則としてNGです。
NG例 |
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上記の例はいずれも、年齢基準だけで能力や適性がある人を除外してしまう可能性があるので、不適切と考えられます。
年齢だけで区別するのではなく、求める能力や適性の内容などを明示すべきです(例:年齢不問、重労働なので筋力と持久力のある方を求めています。)。
OK例 |
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上記のケースでは、例外的に年齢によるフィルタリングが認められます。
定年制や法令の規制との関係でやむを得ない場合には、年齢を採用要件とすることもやむを得ません。
長期勤続によるキャリア形成を目的とした若年者(おおむね35歳~45歳未満)の正社員募集も認められており、新卒採用などはこれに該当します。
また、技能・ノウハウの継承を目的とした、労働者が少ない特定の年齢層(30歳~49歳で5~10歳幅)に限定した募集も認められています。
そのほか、芸術・芸能の分野で役どころに合った年齢の人を募集することも問題ありません。
さらに、高齢者(60歳以上)・就職氷河期世代(1968年4月2日~1988年4月1日生)に限定した募集も、政策的観点から認められています。
まとめ
人材採用基準は原則として自由に設定できますが、差別的な基準を設定すると、職業安定法・男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法などの規定に違反する可能性があります。
コンプライアンスの重要性が高まっている昨今では、法令の規定に則った適切な基準によって人材採用を行うことが大切です。自社の人材採用基準を再点検し、不適切な点があれば是正しましょう。
- 人材採用・育成 更新日:2024/07/09
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