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中途採用で女性の応募者を増やそう|効果的な採用活動と国の施策について詳しく解説

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少子高齢化による労働力の減少を補うためにも、これからはさらに女性が社会で活躍することが望まれています。しかし、女性の社会進出には「女性ならではの事情」が多く存在するため、なかなか男女平等というわけにはいかないのが現実です。

そこで本記事では、女性の活躍を阻む要因をご紹介し、女性が応募しやすい採用活動について解説します。

これからの労働市場は女性の雇用がカギに

少子高齢化が改善される気配が一向に見当たらないのが、現在の日本が置かれている状況です。こうしている間にも、着々と生産人口は減り続けています。

ここでは、女性の雇用がこれからの労働市場のカギを握るという点について解説しましょう。

将来的に生産年齢人口は減少していく見通し

下図1は、日本の生産年齢人口の見通しを表したグラフです。
参照すると、生産年齢人口の割合は2000年頃から年々減少していく傾向が見られる一方、高齢化率は年数が経過するほど増えています。

「15〜64歳」のいわば働き盛りである層も減り続けていき、「65歳以上」の層と大きな開きがなくなることが示されました。

人口が減少すると、もらえる年金は実質的に減っていくことが避けられないため、これからの高齢者は一昔前のように、「還暦過ぎたら安心の年金生活」というわけにはいきません。

高齢になっても働きやすくなる「高年齢者雇用安定法」の一部が改正され2021年4月に施行されたこともあり、高齢者も働く能力があるうちは、どんどん社会で仕事をすることが求められています。*1

労働力人口総数に占める女性の割合は 44.4%(令和元年)

下図2は、総務省がまとめた「労働力人口及び労働力人口総数に占める女性割合の推移」を表したグラフです。

参照すると、令和元年における労働力人口総数に占める女性の割合は、44.4%となりました。昭和60年と比較すると4.7%増加、年々比率も上がっており、男性の割合と大差ありません。

女性を多く雇用している産業で特に多いのは、「医療・福祉」の 625万人で、「卸売業・小売業」の519万人が続いています。*2 女性ならではのきめ細やかなサービスが喜ばれる職種においては、さらなる女性の活躍が期待されます。

女性の活躍にはさまざまな「壁」がある

現代では男性も女性も同等の教育を受けており、「能力」という点においてはいうまでもなく、性別による差はありません。とはいえ、現実的に女性が働くにあたっては、さまざまなハードルがあるのが現実といえるでしょう。

ここでは、女性が働く際に感じやすい「壁」について解説します。

女性が「採用されない」「育たない」「続けられない」環境が定着気味

2016年4月に女性活躍推進法が施行され、女性が働きやすい社会が目指されてはいますが、現実では女性が活躍することはそう簡単ではありません。*3

下図3は、厚生労働省がまとめた「女性の活躍の壁」のグラフですが、以下のような4つの要因に心当たりがある女性が多いのではないでしょうか。

  • (女性のことを)「採っていない」
  • (女性のことを)「育てていない」
  • (女性にとって)「続けたくない」「続けられない」
  • (女性にとって)「昇進したいと思えない」

4割弱の企業は、そもそも女性の採用を行っておらず、総合職採用の競争倍率も男性より約1.5倍ほど高いのが実情です。女性社員を育てる環境も構築されているとはいえず、「営業」「生産」などの部門は約7割の企業が「男性9割以上」で男性中心の社会です。

日本では妻が妊娠・出産すると、夫より妻のほうに子育ての負担がかかるため、「仕事を続ける気になれない」「仕事を続けられる状況ではない」女性が少なくありません。事実、妊娠・出産前後で退職した女性の約1/4は「仕事と育児の両立の難しさ」で辞めています。

ただでさえ、仕事と家庭の両立で、家でも会社でも限界まで働いている女性たちは、これ以上ハードな環境になることを望みません。そのため、会社で昇進したいと思える女性は少なく、課長以上の昇進希望を持つ女性は1割程度にすぎません。(下図3)

女性の応募者を増やすために効果的な採用活動

これからの時代は、企業が女性の雇用を積極的に行うことにより、人手不足の解消を期待できます。

ここでは、女性の応募者を増やすために効果的な採用活動について解説しましょう。

まずは女性が働きやすい環境を整備する

まずは、女性が働きやすい環境を整えることが必要です。
長時間労働の抑制や育児休業・短時間勤務を選択しやすい職場環境を構築します。

例えば、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 短時間勤務
  • 時間単位の有給休暇
  • テレワークの普及
  • ノー残業の実施  *4

これらの取り組みは、男性でも利用できるようにするのがポイントです。
男性・女性を問わずに、全ての社員が利用しやすい環境に整えます。

育児中に短時間勤務をする社員に関しては、会社全体でのフォローを実施しましょう。
「子持ちだけ早く帰れてズルい!」ということがないように配慮します。
社員それぞれの状況に合わせて柔軟に対応できる制度も必要です。

いきいき働く女性の姿をホームページなどで積極的に伝える

就職活動をする際は職場環境を知るために、会社のホームページで社員が働く様子をリサーチするのが一般的です。

そのため、いきいきと働く女性の姿をホームページなどで積極的に伝えるようにしましょう。女性が生き生きと働いている様子がわかると、女性の求職者は安心して応募できます。
自社のホームページや募集資料で、女性社員の勤務状況や意見を紹介します。

特に建設業や運送業など、男性のイメージのほうが強い業種では、自社と仕事の魅力について活躍する女性社員の意見を紹介すると効果的です。*5

「えるぼし認定」で女性が働きやすい企業であることをアピール

「えるぼし認定」とは、女性活躍推進法のシンボルマークです。
一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業として認定されたことを表します。

主な認定基準は以下の5点です。

  • 採用
  • 継続就業
  • 労働時間等の働き方
  • 管理職比率
  • 多様なキャリアコース *6

最高ランクは「プラチナえるぼし」で、えるぼし認定」は1,134社、「プラチナえるぼし認定」は3社が認定されています。(令和2年9月末時点)*6

えるぼし認定を受けた企業は、「女性にやさしい企業」というイメージを与えるため、女性からの応募が増える可能性があります。

女性の活躍・両立支援に取り組む企業事例

女性が働きやすい社会にするには、雇用する側である企業の取り組みが欠かせません。

ここでは、女性の活躍・両立支援に取り組む企業の事例をご紹介しましょう。

中途採用で女性を採用する際のヒントとしてご活用いただけます。

亀田製菓株式会社(製造業)

最初にご紹介する女性にやさしい企業は、新潟県に本社がある亀田製菓です。
ロングセラー商品である「柿の種」は、小さい子どもからお年寄りまで年齢を問わず愛されています。

亀田製菓が取り組んでいる主な制度・取り組みは、以下の通りです。

  • 子どもが3歳の年度末まで、午前9時から午後4時まで(うち1時間は休憩)の6時間勤務
  • 産前休暇前及び育児休業復帰前面談の実施
  • 配偶者出産特別休暇(有給)を3日付与(出産翌日から56日以内に利用可)*7

女性社員が仕事・家事・育児がしやすいように在宅勤務やフレックス勤務を活用し、柔軟な働き方ができるのがメリットです。例えば、子どもの事情で数時間休んだ場合でも、1ヶ月内で勤務時間の帳尻が合えばよいとされています。*7

子どもは突然、熱を出すなど体調不良を起こしやすいものですが、勤務時間を調整できれば気兼ねなく病院に連れて行けます。授業参観に行く時間も取れるので、無理なく子育てと仕事を両立できます。

子育てする際は、小さなストレスでも溜まっていけば大きなストレスとなってしまいます。
亀田製菓のように、母親が周囲に過度な気遣いをしないで済むような職場環境をつくることが大切です。

大成建設株式会社 (建設業)

次にご紹介するのは東京都に本社がある大成建設です。
大成建設は、いわずと知れたスーパーゼネコンであり、「男性の職場」というイメージが強いといえます。

大成建設が取り組んでいる主な制度・取り組みは、以下の通りです。

  • 育児休業は2才まで取得可
  • 研修開催時の託児所の開設や保育料の補助
  • 男性の育児休業取得率100%を目指す取組を実施
  • 勤務時間の短縮措置(4・5・6・7時間)は、小学校3年生修了まで可能
  • 育児や介護を理由に退職した社員の再雇用制度の導入 など *8

育児休業は2才まで取得可能なので、一番手がかかる時期である「赤ちゃん」時代を育児に集中できます。勤務時間の短縮措置(4・5・6・7時間)は、小学校3年生修了まで利用できるので、巷で問題になっている「小1の壁」にも有効です。

小1の壁とは、子どもが小学校に通い始めると学校から帰ってくる時間が早いために、保育園に預けていたときにはできていた仕事と子育ての両立が難しくなることを指しています。

特に小学校3年生くらいまでは下校時に一人になったり、子どもだけで留守番させたりするのは心配なものです。

短時間勤務をしやすい環境を会社が率先して整えておけば、働くお母さんたちは安心して仕事に打ち込めます。その他にも育児や介護を理由に退職した社員の再雇用制度の導入など、女性のライフスタイルに合わせて働ける制度が用意されています。

まとめ

女性が働きやすい社会を実現するには、雇用する側である企業の取り組みや支援が欠かせません。これから生産人口がますます減少していくことが予測される中、女性の労働力が求められています。

女性社員を増やすことに成功している企業は、さまざまな取り組みを長年コツコツと継続しています。女性応募者が少ない場合は、その理由を認識・分析してみましょう。

  • Person 矢口 美加子

    矢口 美加子 -

    ライター・宅地建物取引士・整理収納アドバイザー。宅建・整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を取得済みです。不動産・リフォーム・不動産投資・転職・整理収納関連の記事を複数のメディアで執筆。ライター業の他に、家族が経営する投資用物件の入居者管理もこなしています。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/03/05
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