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中途採用に取り組む前の「採用準備」完全ガイド

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採用を成功させるためには、事前の採用準備が不可欠です。準備が不足していると、応募者とのトラブルになったり、選考段階で迷いが生じて判断が遅くなったりすることで、選考辞退につながる可能性があります。また、採用できたとしてもミスマッチによる早期離職に繋がるかもしれません。

本記事では、中途採用を検討している採用担当者に向けて、採用準備を整えるメリットをお伝えするとともに、準備の進め方を6ステップでわかりやすく紹介します。

中途採用における採用準備とは

中途採用における採用準備とは、具体的にどのような準備を指すのでしょうか。

中途採用の場合、たとえば既存社員の離職による欠員補充や、新規事業立ち上げなど、採用の目的や背景があるはずです。そして、その背景に応じて、求める人材像や期限(いつまでに採用したいか)を決め、採用手法や選考方法を決定し、募集をかけます。あわせて募集時点で明確にしておくべき「労働条件」なども確認しておく必要があります。

実際に募集を開始するまでのこれらのさまざまなプロセスを「採用準備」といいます。

採用準備が整ったら、その後は採用選考を行い、人材を採用し、人材ができるだけ早くに新しい環境で活躍できるように、定着支援を行います。定着支援によって、その人材が新しい環境に順応でき、力を発揮できるようになれば、中途採用の目的達成といえるでしょう。

自社の求める人材を、スケジュール内に、予算の範囲内で採用し、採用後に活躍してもらうために、採用準備は不可欠です。

中途採用と新卒採用における準備の違い

新卒採用と比較して、中途採用においては以下のポイントが特に重要です。

中途採用では、募集時期に合わせた戦略が求められる

新卒採用では、入社するタイミングが決まっているため、一定時期に一斉に選考を行うことが基本です。一方中途採用では、欠員が出たタイミングや新規プロジェクトが発足したタイミングにあわせて採用を行うケースが多いことから、企業によって募集時期が異なります。

求職者の転職活動が活発な時期と、そうでない時期も考慮して、中途採用では募集をかける時期によって戦略を変える必要があります。時期による戦略の立て方について、詳しくは後述する「採用準備を整える6ステップ」の章で説明します。

また、新卒採用では、会社説明会にはじまりグループ面接や個人面接、筆記試験など、長期間かけて採用フローを進める一方で、中途採用では採用を急ぐ理由があるケースも多く、募集から採用までを1か月~2か月程度で完結させることが多くなります。

中途採用では、「求めるスキル」の明確化が重要

最近では新卒採用でも、職種やコース別の採用が進んでいます。しかし、新卒採用では職務経験がない人材を採用することから、入社後、数週間~数か月の教育期間を経たうえで、配属先が決まる場合もあります。また募集の際も、新卒採用では「求めるスキル」などの人材要件が設定されていないケースがあります。

一方で、職務経験のある「即戦力人材」を求めることが多い中途採用では、配属先や求めるスキル、必要な実務経験を、募集時点で明記するケースがほとんどです。採用基準も新卒採用とは異なり、実務経験や実績、スキルをより重視して選考を行います。

このように、中途採用では人材要件において「求めるスキル」をできるだけ具体的に定めた方が、より望ましい人材とマッチングしやすくなります。求職者にとっても、具体的に人材要件が定められていることで「自分の能力を発揮できる環境かどうか」を判断しやすくなるといえるでしょう。

中途採用では、早期離職を防ぐためのフォローや定着施策の策定が大切

入社前の期待の高さと、入社後に感じる現実とのギャップは、早期離職に至ってしまう原因の一つといわれています。このギャップを和らげるためのフォローである「RJP(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)」を、新卒採用の場合は、内定から入社までの約半年間かけて行うことができます。

しかし、中途採用の場合は、採用決定から入社までに2週間~1か月程度しか確保できない場合が多く、ギャップが解消されないまま入社し、結果的に早期離職に繋がるケースもあります。

また、中途採用では、ほとんどの場合スキルや経験をもとに配属先が決まり、本人と配属先との相性が考慮されないケースもあり、これも早期離職に繋がりやすい原因の一つとなります。

さらに、中途採用では「同期」がいないケースが多いため、仕事以外のことを相談できるような関係を同僚と築くことが難しく、「組織に受け入れられている」という感覚を持てないまま早期離職に繋がってしまうこともあります。

このように、中途採用では特に採用準備の段階から、早期離職を防ぐためのフォローを検討しておく必要があります。

中途採用において採用準備を行うメリット

採用準備を整えておくことで、以下のメリットがあります。

採用ミスマッチの改善につながる

中途採用の目的や、人材要件を明確にして、採用に関わる関係者の間で認識のすり合わせを行っておくことで、採用関係者同士の齟齬が少なくなります。採用担当者によって応募者の評価にブレが生じることを防ぐことで、ミスマッチが低減され、早期離職の防止にも役立つでしょう。

「歩留まり」の改善につながる

採用準備が不足していると、以下のような問題が起こりやすくなります。応募者の選考辞退につながりやすくなり、歩留まりの低下を招きます。

  • 内定を出すのが他社よりも遅れる
  • 労働条件や就業規則などが、求人情報と面接で異なっている

特に中途採用では、転職を急ぐ求職者もいるため、内定を出すスピードが重要です。採用準備の段階で、選考基準を明確にしてスピーディーに内定を出せるようにしたり、労働条件・就業規則などを決め、面接官との認識を統一したりしておくことで、候補者体験(採用CX)を向上させ、選考辞退率の改善につながります。

採用準備を整える6ステップ

ここからは、実際に中途採用における採用準備ですべきことを6ステップに分けて紹介します。

ステップ1:採用目的の明確化

中途採用の目的は企業によって異なりますが、主に以下のパターンに分けられます。

  1. 「企業の変革」が目的の場合

  2. 採用すべき人材の例:「新規事業の立ち上げ」や「社内風土の改革」などを行える人材

  3. 「中核人材の確保」が目的の場合

  4. 採用すべき人材の例:即戦力として活躍してもらえる人材や、将来の幹部候補として育成するための人材

  5. 「欠員補充」が目的の場合

  6. 採用すべき人材の例:採用ハードルが低くすこし育成することで早期活躍が期待できる人材

上記のように、目的によって採用すべき人材が変わりますし、この後のプロセスで決定する「評価項目」や「定着支援の内容」なども変わります。

ステップ2:採用計画の立案

採用の目的を明確にしたら、その目的を達成するための採用計画を立てます。採用計画は、「いつ」「どのような人材を」「何人」「どのような方法で」採用するかを策定した計画です。

採用計画の重要性や、採用活動を立てる前にやるべきこと、採用計画の具体的な立て方について、詳しくは下記の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。


ここでは、採用計画において決めるべき項目を見ていきましょう。

採用人数(何人採用するか)

前のステップで決めた採用目的は、自社の経営戦略を実現するためのものです。経営戦略を考慮したうえで、「期日(いつまでに)」「配属先(どの部署に)」「採用人数(何名必要か)」を決定します。

このプロセスは「要員計画」「人員計画」とも呼ばれます。「経営戦略を実現するためにいつまでに何人必要か」を決定した要員計画と、「どの部署にどのような人材が必要か」を決定した人員計画は、異なる内容ですが、いずれも経営戦略を実現するという目的は同じです。

要員計画と人員計画について、詳しくは以下の記事もご覧ください。


人材の要件(どのような人材を採用するか)

ステップ1で明確化した採用目的にあわせて、人材に求める能力を決定します。ここでは、ステップ1で紹介した採用目的ごとに、人材に求める能力の一例を紹介します。

  1. 「企業の変革」が目的の場合
  2. 自社の既存社員が持っていない特定のスキル・専門性を持った人材や、事業の立ち上げ経験の有無などを求めるケースが多い。

  3. 「中核人材の確保」が目的の場合
  4. 前職で同じような業務に携わった経験や、既存社員と同じ程度の能力などを求めるケースが多い。

  5. 「欠員補充」が目的の場合
  6. 特定の能力やスキルよりも、社会人としてのマナーや、コミュニケーション能力、成長するポテンシャルなどを求めるケースが多い。該当する業務経験があるとなお良い。

募集方法

募集方法を検討する際は、求める人材(ターゲット)を考慮して、そのターゲットがよく使用する媒体を募集において活用することが大切です。それぞれのメリット・デメリットを把握して採用手法を選びましょう。

ここでは、中途採用における代表的な採用手法と、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

求人広告

自社に興味を持った応募者からの応募を待つ、Web媒体もしくは紙媒体への広告掲載を指します。媒体によっても変わりますが、登録者数の規模が大きいため、母集団を形成しやすいメリットがあります。また、複数名を採用しても掲載料金は変わらないため、多くの人材を採用したい場合にはコスト面のメリットが大きくなります。

一方で、求人数が多いなかで自社の求人が埋もれないようにするための工夫が必要になる点は、デメリットといえるかもしれません。

人材紹介

自社が求めるスキルを持った人材を、人材紹介会社に探してもらう手法です。母集団形成にかかる工数を大きく削減でき、効率よく採用を進められる点がメリットです。

一方で、採用が成功した場合に人材紹介会社に支払う報酬が、想定年収の30~35%程度と、他の採用手法と比較してコストが割高になる傾向がある点がデメリットです。

自社の採用ページ

採用に特化したサイトやページを自社で運営し、自社の魅力を伝えたり、応募への誘導を行う手法です。求人広告などだけでは伝えきれない仕事内容や魅力を伝えられ、他社との差別化につながる点や、すでに自社サイトがある場合は無料で作成できる点がメリットです。

一方で、サイトやページ自体が検索されないとターゲットの目に触れづらい点がデメリットといえます。サイトやページが上位に表示されるように工夫したり、他の採用手法と組み合わせたりすることが必要です。

ダイレクトリクルーティング

求める人材からの応募を待つのではなく、企業側からスカウトメールを送るといった直接的なアプローチをする採用手法です。採用を効率的に進められ、転職活動を積極的に行っていない「転職潜在層」にもアプローチできる点がメリットでしょう。一方、スカウトメールの作成やアプローチする人材の見極めをおこなう工数が担当者にとっての負担増につながる可能性がある点はデメリットといえます。

ハローワーク

各都道府県の労働局によって運営される「公共職業安定所」のことです。その地域の求職者に対して職業紹介を行います。

ハローワークの大きなメリットは、求人の掲載が無料であるという点と、ハローワークが管轄する地域の求職者に向けて情報発信できるため、自社周辺の地域から採用したい場合に強みがある点です。一方で、広い地域から採用したい場合などには不向きといえます。

リファラル採用

自社の社員の人脈を利用して、知り合いを紹介してもらう手法です。紹介してくれた社員に対してインセンティブを支払うケースもありますが、外部に依頼する採用手法と比較して大幅にコスト削減が可能で、自社の雰囲気や魅力を伝えやすいことからミスマッチが起こりづらいというメリットがあります。

一方で、社員の人脈やリファラル採用への積極性といった不確定要素に左右されるため、多くの人材を採用したい場合や、すぐに人材を採用したい場合には向かない点がデメリットといえます。

選考方法

決定した人材の要件を正しく評価するための選考方法を選びます。「書類選考」「筆記試験」「面接」など、何を実施するのか、面接は何回実施し、どの担当者が行うのかなども決めておきます。


採用スケジュール(いつまでに採用するか)

「採用手法」や「採用の難易度」「選考方法」によっても、採用までにかかる期間が異なるため、採用人数(いつまでに何名必要か)から逆算して、全体の採用スケジュールを立てておきます。

また、中途採用においては、求職者の転職活動が活発になる時期と、そうでない時期を考慮する必要があります。転職情報サイト「マイナビ転職」に2022年に応募があった件数を見てみると、6月(116.5%)3月(104.6%)5月(104.1%)の順に応募件数が多いことがわかります(調査月の前年月の値を100%とし、各月の増減率を算出)。また、掲載された求人情報の数を見てみると、12月(153.5%)7月(149.4%)11月(148.8%)の順に求人件数が多くなっており、この時期は採用における競合が多くなることがわかります。

出典: 2023年1月度 正社員の求人件数・応募数推移レポート|マイナビキャリアリサーチLab

このように、求職者が増える時期・企業側の求人数が増える時期にあわせた戦略が必要です。特に、採用における競合が増える時期(求人掲載数が多い時期)には、自社の求人が埋もれないように工夫する必要があるでしょう。

例えば、求人広告を利用する場合は、求める人材に対して適切な訴求内容になっているか確認することが大切です。よく見かける「風通しの良い職場」や「社員の仲が良い」といったアピール文ではなく、企業のミッションやバリュー、得られるスキルなどを明確に表記し、求める人材に合わせてできるだけ具体性のある表現にしてみましょう。また、媒体によっては自社の情報が埋もれないように上位表示させる課金オプションが利用できる場合もありますので、検討してみるのも一案です。

ステップ3:労働条件の決定

職業安定法では、自社ホームページでの募集や、求人広告の掲載などを行う際に、少なくとも以下の事項を明示しなければならないとしています。

  • 業務内容
  • 契約期間
  • 試用期間
  • 就業時間・休憩時間・休日・時間外労働
  • 賃金
  • 加入保険
  • 募集者の名前(企業名)
  • 雇用形態(派遣労働者として雇用する場合)

採用を行う前に、自社の労働条件を整理しておきましょう。

ステップ4:就業規則の確認・認識のすり合わせ

就業規則の作成は企業に義務付けられているものです。しかし、面接などで求職者から就業規則について質問された際、認識に齟齬があると候補者体験(採用CX)を損なう可能性があります。

すでに就業規則が定められていても、改めて採用担当者同士で認識を統一しておくことが大切です。

ステップ5:入社後フォローアップ施策の検討

採用活動は、必要な人材を採用できたら終わりではありません。入社した人材が新しい環境に馴れ、その人の持つパフォーマンスを発揮することができるようになって初めて、採用成功と言えるでしょう。そのためには、入社後のフォローアップが欠かせません。

特に中途採用の場合、即戦力として採用されるケースが多く、プレッシャーを感じて本来のパフォーマンスを発揮できないことも少なくありません。入社後の早い段階で、採用担当者と新入社員のフォローアップ面談を実施し、仕事以外の話題でもコミュニケーションがとれるとよいでしょう。また、入社時に採用担当者が新入社員のキャリアプランニングの相談に乗ることも効果的です。

入社後に実施したいフォローアップ施策について、詳しくは以下の記事もご覧ください。


ステップ6:採用広報を行う

売り手市場が続き「採用難」ともいわれている現在。求人広告などを利用してスポット的に募集をかけても、募集要項を公開するだけでは、求職者が本当に知りたい情報や、職場のリアルなイメージや魅力が伝わらず、応募が集まらない可能性があります。

ここまで紹介してきた採用準備のステップとあわせて、日ごろから自社で働く魅力を訴求していく「採用ブランディング」を進めることが大切です。そのために、まずは自社の魅力を改めて整理し、ターゲットに向けて情報発信していく「採用広報」に取り組んでみましょう。

採用広報では、ターゲットに発信すべき自社の魅力を整理し、適切な媒体で発信していきます。例えば、求人広告や自社の採用サイト、採用パンフレット、自社ブログ、SNSなど、さまざまな媒体の中から、ターゲットに対して効果的にアピールできるものを発信方法として選びます。

採用広報に取り組むことで、母集団形成に効果があるだけでなく、応募者の選考中の離脱を防いだり、自社への理解が深まることで入社後のギャップを低減し、定着率向上にもつながります。

まとめ

自社の求める人材を、期限内に、予算内で採用し、採用後に早期活躍してもらうためには、採用準備が欠かせません。また、採用準備を整えておくことで、採用ミスマッチの改善や、採用歩留まりの改善にもつながります。

本記事で紹介した6つのステップを踏まえて、採用を成功させるための準備を進めていきましょう。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2024/01/09
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