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上位5つのうち3つが「健康関連」 転職者が魅力を感じる福利厚生制度を薬剤師が解説

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求職者が転職先・就職先を選ぶ際に重視するのは、給与額や業務内容だけではありません。
特に、すでにいくつかの職場を経験している転職者は、福利厚生の内容もきちんと精査して次の職場を探す傾向があります。

実際、転職経験者を対象とした調査では、福利厚生の充実度が入社決定に大きく影響することが示されています*1。

また、働くうえで「自身の健康状態」を大切に思っている転職者も多く*2、健康関連の福利厚生の必要性を実感している人も少なくありません*3。

一方で、企業が求職者の応募や入社意欲向上のために意識して伝えている労働条件以外の情報は「専門性のある仕事に集中できる」ことがトップとなっており*1、転職者のニーズと企業の意識に若干のずれがあることがわかります。

そこでこの記事では、人材確保を考えるうえで、健康関連の福利厚生施策を充実させる重要性についてみていきます。
また転職者や従業員が必要と考えている福利厚生・必要性をあまり感じていない福利厚生についても、確認していきましょう。

人材確保のために健康関連の福利厚生が重要な理由

健康関連の福利厚生を充実させると、求職者が集まりやすくなるだけではなく企業経営にも良い影響があります。

企業イメージが良くなる

福利厚生を充実させるためには、それなりのコストがかかります。
逆にいえば、充実した福利厚生は企業の経営が安定していることを裏付けるものともいえます。
また、従業員の健康に配慮した福利厚生が充実していると、経営側が従業員を大切にしているというメッセージ性を伝えることにもなります。

このような施策は、企業のイメージアップにも直結するといってよいでしょう。

転職希望者が集まりやすくなる

福利厚生を通じて「経営基盤がしっかりしている」「従業員を大切にしている」と評価されるようになれば、求職者からも魅力のある企業ととらえられるようになります。
転職希望者が集まりやすくなるため、優秀な人材に出会うチャンスも増えてくるでしょう。
競合企業にはない魅力をアピールできることは、大きな強みとなります。

従業員の満足度が向上する

充実した福利厚生で健康的に、安心して働ける職場環境が整えば、従業員の満足度が向上して仕事に対するモチベーションもアップします。
職場の居心地が良くなれば定着率も上がるため、求職者へのアピールポイントにもなります。
優秀な人材の社外流出も防げるため、企業の成長にもつながるでしょう。

労働生産性が上がる

健康面に不安があると、仕事において十分な能力を発揮することが難しくなります*4。

「能力を充分、発揮できている」と感じている人の割合は、健康不安がない人ほど高く、不安のある人ほど低くなる傾向が顕著です。 自然、「能力を発揮できていない」人の割合は、健康に不安のある人ほど高まります。

健康関連の福利厚生制度を活用し、従業員の健康を維持することは、会社にとっても大きな見返りがあるといえるでしょう。 病気などによる欠勤・休職を減らすだけではありません。
活力を持って日々の仕事に取り組むことができる、プラスの効果が大きいのです。

離職者が減る

福利厚生の導入で従業員の満足度が向上すれば、「この企業で働き続けたい」と考える従業員が増えるため、離職者の減少が期待できるでしょう。
健康面に関するサポートが充実していれば、病気などでやむを得ず退職する従業員を減らすこともできます。
福利厚生の充実にはコストがかかりますが、従業員の定着率向上は採用コストの抑制に繋がるため、充分にペイする投資とみることもできるでしょう。

転職者や従業員のニーズに応える福利厚生とは

それでは、転職者を惹きつけ従業員のニーズに応える福利厚生とはどのようなものなのでしょうか。 あまり評価されない福利厚生の施策と併せて、みていきましょう。

転職者や従業員が必要と考える福利厚生

従業員が特に必要と考えているのは、健康管理や休暇制度に関連する福利厚生です*5。

健康関連の福利厚生で特に求められているのが「人間ドック受診の補助」です。
「病気休職制度」や「病気休暇制度(有給休暇以外)」とあわせ、健康関連の福利厚生が上位5つのうち3つを占めていることは、注目に値します。

そのほか、「治療と仕事の両立支援策」を求める声も少なくありません。
これらの福利厚生について、必要性が高いと考えている人の割合は性・就業形態別で大きな差がない*6ことから、全従業員共通のニーズといえます。
同様の傾向は、求職者においてもみられると考えるのが妥当でしょう。

なお、企業が福利厚生として定期健康診断や人間ドッグを導入する場合は、民間団体による補助金を受けられる場合があります。補助金の対象や支給の条件、支給額などは団体により異なりますが、中小企業を対象とした補助金もあるため、導入を検討している場合はこのような制度の利用も考えてみるとよいかもしれません。

転職者や従業員が必要性を感じない福利厚生は?

転職者や従業員があまり必要性を感じていない福利厚生は、社員旅行や運動会などのレクリエーションイベント、保養所の保有や利用の補助、従業員持株会などです*7。

社員旅行やレクリエーションイベントは、「従業員の費用負担がないので得した気分になる」「気分転換に良い」と考える従業員がいるかも知れません。
しかしその一方で、「休日がつぶれる」「上司や部下に気を使わなければいけない」などの理由で、若い世代を中心に不満に感じる人が多くなっている可能性が考えられます。

保養所については、「行きたい場所に保養所があるとは限らない」「ほかの従業員に利用状況が筒抜けになりそうで不安」と考える人もいるでしょう。

持株制度については、「給料が目減りするようでイヤだ」とならないことが重要です。
資産形成全般の福利厚生についていえることですが、会社の指定する金融商品を”買わされている”という印象になれば、制度の目的から外れてしまいます。

人気のない福利厚生に共通していえるのは、「時代に合った制度ではない」と受け止められている可能性が考えられるでしょう。

いったん取り入れた福利厚生を変更・廃止するのは容易なことではありません。
しかし、だれも利用しない・喜ばない福利厚生を維持し続けることはコスト面でも好ましくありませんし、企業価値を下げることにも繋がってしまいます。

福利厚生を有意義な制度にするためにも、定期的に見直して転職者や従業員にとって魅力のある内容へと転換していくことをご検討下さい。

有意義な福利厚生で「選ばれる」企業になる

充実した福利厚生は、従業員の満足度と企業の生産性を向上させるだけでなく、転職希望者を惹きつける重要な要素にもなります。
特に健康関連の福利厚生は、自己の健康を重視する転職者にとって魅力的な要素となります。
逆に、時代に合わない福利厚生や転職者・従業員のニーズに応えられない福利厚生では、優秀な人材を集めることもできず、採用後の定着率の向上にもつながりません。

有意義な福利厚生を戦略的に選択して、転職者に「選ばれる」企業になることを目指しましょう。

  • Person 中西 真理

    中西 真理 薬剤師

    公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

  • 労務・制度 更新日:2024/11/12
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