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御社の面接は大丈夫? 面接力を向上させるポイントを解説!

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今や面接官の対応によって志望度が上下するなど、新卒採用において「面接」は重要なステップです。特に年次の若い方や面接官経験が少ない方は、その難しさを実感している方も多いかもしれません。

では、年次を重ねれば、そのうち正確な面接と見極めができるようになるのでしょうか。

多くの企業の採用コンサルティングを手掛けるシーズアンドグロース株式会社の代表・河本英之さんによると、必ずしもそうとは限らないそうです。
むしろポイントを押さえることで、年次にかかわらずどんな方でも「面接上手」になれる可能性があると言います。

具体的なノウハウも交えながら、詳しくお話を伺いました。

面接がうまくいかない2つの理由

— 自分自身や自社の面接官の「面接力」に疑問や不満を抱いている方は多いと思いますが、具体的に何が悪いのかが分からないという方もまた、多いのではないでしょうか。


河本さん: はい、そう思います。面接は「人と人」が話して分かり合い、互いにマッチングするかどうかを見極める場というのが本来的な意義ですが、「ただ話し合えば相手のことが分かる」というものでもないからです。

面接がうまくいかない、つまり「自社が採用したいはずの人が面接で落ちてしまう」とか、その逆の場合、問題は以下の2つに集約されることが多いですね。

  • 評価基準の理解不足(準備不足)
  • コミュニケーション方法の問題

それぞれ解説していきましょう。


1.評価基準の理解不足(準備不足)


河本さん: 自己流で面接をしてしまっている面接官は、かなり多くいらっしゃいます。それ自体が良くないということではないのですが、自社の成長に必要な人材を見極めるために、必要な視点が抜け落ちてしまっている場合には問題です。
また、採用担当者側が面接官に任せきりにしてしまい、明確な評価基準を作れていないというパターンも、時々見られます。

まずは経営層も巻き込みながら、自社に必要な人材の条件を考え、その条件に合致するかどうかを見極められるよう評価基準を作成し、面接官としっかり共有・認識合わせをすることが大切です。


2.コミュニケーション方法の問題


河本さん: 先ほどもお伝えしたように、面接の場は対話の場、つまりコミュニケーションの場と言えるのですが、その方法に課題があることも多いようです。

例えばベテラン面接官の場合、現在の採用市場を正確に認識できていないということがあります。
自分たちが入社した当時のように、「企業が学生を選ぶ」という姿勢を引きずってしまい、高圧的な質問をするなど、学生を尊重できていないことがあるのです。

しかし、この記事をご覧になっている多くの方がお分かりのように、今の採用市場は売り手有利(学生有利)の傾向が強くなっています。
そのような環境では企業も学生に選ばれなくてはならないので、先ほどもお伝えしたように、今の面接はお互いが対等に「マッチング」を図る場となるべきです。

また、逆に中小企業の面接官や若手の面接官にありがちな例として、学生に配慮しすぎて正しく見極められないという場合もあります。

選考(見極め)という意識が薄れ、とにかく学生の気持ちを害さないように、選考辞退や内定辞退にならないように配慮し過ぎてしまうと、本来すべき質問ができずに正しい見極めができません。

また、今の学生の多くは就職先だけでなく、選考過程においても「成長実感」を求める傾向があります。例えば面接官とのコミュニケーションの中で、今まで認識していなかった自身の強みや弱み、志向や価値観を発見するなどです。
そのような面接では、面接官の意図とは逆に、学生のモチベーションを下げてしまう結果になりかねないことにも、注意が必要です。

面接の肝は「見極め」と「動機形成」

— では、具体的に面接官を育成したい場合、何をすればいいのでしょうか。


河本さん: 採用選考における面接の役割は、大きく分けて2つ。「見極め」と「動機形成」です。
それぞれに対する、目的を達成するためのポイントは以下のとおりです。

見極め力向上のポイント

  • 見極めのポイントと評価基準の明確化
  • 面接の流れをつくる
  • データ分析による改善

動機形成のポイント

  • 傾聴
  • 積極的な情報提供
  • 適切なフィードバック

では具体的に何をすればいいのか、それぞれ解説していきましょう。


見極め力向上のポイント1:見極めのポイントと評価基準の明確化


河本さん: 先ほども少し話しましたが、まずは見極めのポイントをしっかりと整理し、それに従って評価基準を組み立てましょう。

具体的には、人材要件を作成する必要があります。採用担当者が経営層と連携し、まずは採用したい人物像を明確化してください。


見極め力向上のポイント2:面接の流れをつくる


河本さん: 面接では一般的に「アイスブレイク」から始まり、だんだんと質問で深掘りをしていき、見極めを行います。
この流れをきちんとつくれているか、学生にとって不自然だったり緊張させてしまったりしていないか、確認しましょう。
そのためには、面接のロールプレイをするのがお勧め。その際、学生役からのフィードバックをもらったり、面接をする自分自身の動画を撮影することが有効です。やってみると、単に一問一答が繰り返されているだけで肝心なことが聞けていなかったり、意外と高圧的に聞こえる質問をしていたりといった改善点が見えてきます。


見極め力向上のポイント3:データ分析による改善


河本さん: 採用担当者がすべきこととして、面接官ごとの傾向を把握し、必要であれば個別にトレーニングを行ったり、面接官から外したりといったこともまた、必要です。

例えば面接の評価シートなどを素材にして分析し、「一次での評価が高い学生を落としている」とか「採用担当者として期待していた学生を落としている」、または「一緒に面接を行った面接官と評価の乖離(かいり)が大きい」といった傾向の強い面接官には何らかの対策を行いましょう。

— ありがとうございます。続いて「動機形成」ですね。先ほどもお話しいただいたように、今の採用市場は売り手有利(学生有利)の傾向が強いので、面接でも学生の動機形成を図る必要があるのは理解できます。


河本さん: そのとおりです。今の学生は面接に来た段階ではまだ動機形成がしっかりとできていないことも多いので、「面接を通じて一緒に動機をつくっていく」くらいの気持ちで向き合っていきましょう。


動機形成のポイント1:傾聴


河本さん: まずは学生の話をよく聴き、興味を示すことです。自分に興味を持たない人には興味を持ちづらいというのは誰しも持っている感情で、もちろん学生も例外ではありません。

面接を「見極めだけの場」だと思っていると、なかなか相手の話を聴こうとは思えませんので、傾聴の姿勢を持つことを徹底しましょう。


動機形成のポイント2:積極的な情報提供


河本さん: 「面接に来ているのだから、自社のことは当然理解しているだろう」という姿勢ではなく、学生と話す中で相手の興味分野が見えてきたら積極的に会社の情報を提供していくことも重要です。

ワーク・ライフ・バランスに興味のある学生であれば自分自身の働き方について話してみたり、成長環境に興味のある学生には自分が成長を感じたエピソードや社内研修制度について話してみたり、といった方法ですね。


動機形成のポイント3:適切なフィードバック


河本さん: 最後に、面接の内容について面接官や採用担当者からフィードバックをすることも有効です。今の学生は「成長環境」を求める傾向が強いので、他社の選考やこれから社会人になる上で重要な示唆を得られたと思えば、会社に対する好意につながり、結果、動機形成ができるということがあります。

ただし、ネガティブフィードバックで心が折れてしまったり、逆に自信を付けすぎて選考に落ちた際に自社に悪感情を抱かれたりする原因にもなり得るので、言葉遣いには十分気を付けましょう。

ベテラン面接官、若手面接官 それぞれにアドバイスすべきこと

— 最後に、面接官の年次によってアドバイスすべきことがあれば教えてください。


河本さん: はい。ベテラン面接官と若手面接官では、確かに知っておくべきことや心掛けるべきことが違います。


ベテラン面接官の場合


河本さん: 今の採用市場の環境、学生の志向など、面接官として学生と接する際に必要な情報のアップデートが必要です。
採用担当者が主導して積極的に提供していく必要がありますし、面接官自身も真摯(しんし)にそれを受け止める必要があります。

また、当然のこととも言えるのですが、学生に敬意を払って面接を行う必要性を十分に伝える必要があります。

今は企業側が選ばれる時代なので、面接はあくまでも「マッチング」の場であることをしっかりと理解するよう促してください。

— 逆に若手の面接官ではどうでしょうか?


河本さん: はい。若手面接官の場合、時代感覚は合っていることが多いのですが、一方でコミュニケーション能力や質問力に課題を持っていることが多いと思います。


若手面接官の場合


河本さん: ずばり、面接においてはコミュニケーション能力がものを言うことを認識してもらいましょう。とはいっても、場を盛り上げたり笑いを取ったりする必要があるわけではありません。
ただ、面接は「コミュニケーション」であり、互いに言葉をキャッチボールすることが重要であることは、しっかりと伝える必要があると思います。

若手面接官の場合、ベテランと比較して会話や質問の引き出しが少ない傾向にあり、一問一答になってしまいがち。その場合、相手の話を聴き、必要な情報をしっかり話していくトレーニングがお勧めです。

また、社会人経験が浅くまだまだ「質問力」に自信がないという場合は、「構造化面接」といわれる手法を取り入れましょう。これは面接の中で聞くべきこと、見極めるべきポイントを事前に明確化しておき、それに沿って話を聞いていく方法です。なので、少なくとも「何を聞けばいいかが分からない」とはならないはずですし、面接の流れ全体をしっかり把握することができます。

— 具体的なアドバイスをありがとうございました!


面接は「マッチング」の場。対等な会話を大切に

河本さんが取材中に何度もおっしゃったのが、「面接はコミュニケーションの場」ということ。

相手に話させるばかりではなく、面接官側もしっかりと必要な情報を提供しながら会話のキャッチボールをし、コミュニケーションを取ることができれば、お互いに相手のことが理解しやすくなります。
結果、企業側から見れば「見極め」がしやすく、学生側から見れば「志望動機の形成」がしやすい環境が生まれるようです。

マイナビでは、面接官のトレーニングに特化したカリキュラムも提供しています。自社内での解決が難しいと感じた場合は、ぜひご相談ください。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2024/12/18
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