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【読者アンケート】どう始める? 何をすべき? 新卒採用SNSの使い方

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今や、SNSは「流行」から一歩踏み出して、ひとつの重要な情報源として社会に受け入れられています。もちろん、学生にとっても状況は同じです。

そのため、採用活動の一環として学生からの認知を獲得したり、コミュニケーションを取ったりするための場としてSNSを活用する企業も増えてきましたが、HUMAN CAPITALサポネットが実施したアンケートによれば、その実態はまだまだ少数派のようです。
そこで今回は、採用領域におけるSNSプロモーションを得意とする株式会社ZOOOGの小見健太郎さんに、アンケート結果から読み解く採用SNSの始め方、使い方を伺いました。


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【調査概要】

新卒採用におけるSNSの活用に関する調査
調査手法:WEB調査
調査期間:2023年5月23日~5月24日
回答数:合計338名
調査対象:「HUMAN CAPITAL サポネット」にご登録いただいている新卒採用担当者

― 今日はよろしくお願いします。この度、HUMAN CAPITALサポネットで読者アンケートを実施したところ、約75%の読者(企業)で「新卒採用にSNSを活用していない」という結果となりました(上図グラフ)。
その理由について、どのように分析されますか?


小見さん:はい。大きく2つの理由があると考えます。1つは、採用領域において決裁権を持つ方が「SNSは若者のもので、手を出しにくい・理解しにくい」と考えていること。もう1つが、「SNSを使った結果、採用にどのような成果が出るのかが分からない」ということです。

この2つはつながっていて、「SNSが分からないから、成果を予測しにくい」という課題に集約されると思われます。

― とはいえ、学生はもちろん、今や社会全体においてSNSは欠かせないインフラとも言える存在となっています。まずは、今までまったく活用していなかった企業がどのように始めたらいいのでしょうか。

小見さん:正直、個人的には「始めない理由がない」と思ってしまいますね。新卒採用をしている企業の皆さんは、マイナビをはじめとした就職情報サイトに情報を掲出するなどして露出面の確保・拡大を行っていると思います。その一環として捉えていただけると、理解しやすいかも知れません。

先ほどおっしゃっていただいたように、SNSはもはや社会にとって欠かせないインフラです。それだけの人数が利用しています。そのような場に、無料で露出面を増やすことができるのに、やらない理由はないのではないでしょうか?

― 露出面を増やすとはいえ、SNSの場合は「フォロワー数」や「リツイート数」「いいね数」といった数字でアカウントの評価が可視化されてしまいます。それが理由で二の足を踏んでしまうというのは理解できるような気がしますが、いかがでしょうか。


小見さん:はい。採用担当者の方とお話をしていると、「まずは3,000フォロワーを目指したいですね」や「1万フォロワーいたら目立ちますよね」など、やはりフォロワー数を追いかける傾向はあると思います。

しかし、そこまでフォロワー数を追いかける理由がそもそもあるのか? ということをまずは冷静に考えてみてください。

いま、就活生の人数を仮に100万人ほどとします。その全員がフォローしたとして100万フォロワー、1割がフォローしたとして10万フォロワーですね。
しかし「就活生の全員が知っている企業」「就活生の10人に1人が入社を目指す企業」というものは、想像しがたいです。フォロワーが必ずしも入社志望者ではないのです。

― 確かにそうですね。10万人がエントリーシートを提出した企業というのは聞いたことがありません。

小見さん:一方で、皆さんがよく目にする「インフルエンサー」と言われる人たちは10万、100万といったフォロワーを抱えていることがあります。しかし、彼ら・彼女らのフォロワー数は「SNSユーザー全体」を母数とした人数です。
採用におけるSNSとは前提がまったく異なります。

就活生100万人のうち、自社がターゲットとする学生は何名いるのか。そのうち、どのくらいの人数が自分たちのSNSをフォローしてくれる可能性があるのか、その数字をまずは冷静に計算しましょう。

― SNSを始めようと成功事例を探すと、どうしても「バズっている」例が目に付きます。そういったものに意識を引っ張られないことが大切ということですね。


小見さん:そうです。そもそも「バズる」必要が本当にあるのでしょうか。それよりも、自社がターゲットとしている学生にきちんと情報が届き、認知され、コミュニケーションが取れている状態を目指していただきたいと思います。

― SNSを「使い慣れていない」という場合、いまおっしゃった「情報が届き、認知され、コミュニケーションが取れている状態」をどうやってつくればいいのかが分からないという課題はありそうに思えます。そのあたりはいかがでしょうか。


小見さん:はい。そこはPDCAを回しながら検証していく必要があると思われます。ただ、思っているほど難しいことでもないかもしれません。

私が過去に担当した、ある企業の採用アカウントでは、毎朝とにかく「おはようございます」と投稿することを続けていただきました。説明が難しい仕事内容の企業さまだったので、まずは親近感を持ってもらうためにです。

雨なら「おはようございます。今日はすごい雨ですね。皆さん傘をお忘れなく!」、何かの記念日なら「おはようございます。今日は○○の日なんだそうです。○○について思い出はありますか?」など、一言を添えて、とにかく毎日、朝の挨拶を欠かさずに行ったのです。

結果として、だんだん挨拶に対してリアクション(いいねなど)が付くようになり、時には学生から返信が届くようにもなりました。
1万人、10万人というフォロワーのいる「バズっている」アカウントにはならなくても、ターゲット学生のいるSNSを選び、投稿の内容を日々調整しながら投稿を続けていけば、確実にファンをつかんだアカウントになることができます。

― なるほど。こうして伺っていると確かにいい方法だと思うのですが、一方で採用担当者として上司に「SNSを使って毎朝、挨拶をします」とアカウント作成の了承を得るのは難しそうですね。


小見さん:そうですね(笑)。もちろん「挨拶をするためだけのアカウント」を作ると言ったら、難しいでしょう。
しかし、挨拶はあくまでもコンテンツの1つであって、どのような投稿に反応があるか、どのような内容なら学生に届くか、一つひとつ検証をしながらたどり着いた「解」の一つに過ぎません。

その解は企業ごと、ターゲットとしている学生ごとに異なりますので、「まずはいろいろな種類のコンテンツを試して、学生にアプローチできる方向性を探りたい」と上席の方に説明して始めるのがいいと思います。

最初に企業が採用SNSを始めにくい理由として2つ挙げましたが、さらにその奥には「説明会やインターンシップなど、より重要な施策にリソースを割きたい」という考えも見え隠れします。
これまで伝統的に使われてきて、一定の効果がすでに検証されている採用広報施策と同列で並べて考えないことが大事です。各種広報施策から選考に進んだ人数に目標数字を置いた場合、「説明会から」と「SNSから」だと、どちらの方が選考に進みやすそうかは……容易にイメージできるのではないでしょうか。
SNSだけで採用は完結しないため、“採用広報の広報”くらいの立ち位置で何を目標に置いて何をしたいのかを検討していくと良いでしょう。

しかし、SNSのいいところは、制作工数は必要となるものの、費用をかけずにさまざまな施策を試すことができる点です。学生と自社との接点を探すためにSNSを使って様々なコンテンツで検証をすることは、採用戦略全体にとっても重要な示唆を与えてくれる可能性が十分にあると思います。

― 冒頭で引用したアンケート結果に戻りますと、新卒採用にSNSを活用している企業の中では「Instagram」が圧倒的なシェアを持っています。
Twitter、LINE、YouTubeがそれぞれ約40%のところ、Instagramは約60%です。

小見さん:はい。数あるSNSの中でも、Instagramは採用との相性がいいもののひとつだと思います。
その理由は、
  • ストック型のSNSであること
  • アカウントページにおいて世界観を表現しやすいこと
  • 画像、動画、テキストと扱えるコンテンツの種類が多いこと
です。1つずつ解説します。

― ありがとうございます。まず「ストック型のSNS」とはどういう意味でしょうか?


小見さん:例えば、Twitterはストック型とは対になる存在です。リアルタイム性と瞬発力が求められ、うまく使えば瞬間風速的に話題が拡散することもありますが、情報の鮮度が長持ちしないという特徴があります。

一方のInstagramは「投稿を見て気になったら、アカウントページを見に行く」というユーザー行動が浸透していますので、1つの投稿がそれだけで完結せず、アカウントページを通じて他のコンテンツも見てもらいやすいのです。

これは、2つ目として挙げた「アカウントページにおいて世界観を表現しやすいこと」にもつながります。

― ぜひ具体的に教えてください。


小見さん:はい。Instagramのアカウントページはグリッド上にコンテンツが並ぶ構造になっていて、一覧性が非常に高いですよね。そこに「社員インタビュー動画」や「社内ツアー」「業界解説」といったカテゴリごとにまとまったコンテンツ群を投稿しておくと、アカウントページに訪れる理由となった投稿に関連する内容を見てもらいやすいのです。

そうして自社の情報やターゲット学生が欲している情報をストックしておくことで、第2の採用サイトのように機能させることができます。
よくある使い方としては、オンラインの会社説明会で社員を1名紹介しておき、「他の社員のインタビュー動画やオフショット動画はInstagramアカウントにあるので、ぜひ見てくださいね」と案内する方法です。
あくまでもオフィシャルな情報が掲載された採用サイトに対して、「第2の採用サイト」として、もっとカジュアルな内容を発信して親近感を醸成するような使い方ですね。

― なるほど。それは3つ目の「画像、動画、テキストと扱えるコンテンツの種類が多いこと」という特徴も捉えていますね。


小見さん:はい。そのとおりで、Instagramは今ご紹介したように画像・動画のどちらも投稿できます。また、Twitterと違って長文を投稿することも可能です。

画像や動画で概要を伝え、テキストで詳細な内容を伝えるといった使い方もできると思います。

― 企業の採用担当者が自分で投稿を作ろうと思うと、いまお話しいただいたようなコンテンツを作り続けることに苦しさを感じ、行き詰まってしまいそうにも思えます。
実際、アンケートにも「コンテンツ不足に困っている」という声は多く聞かれました。


小見さん:そこは、あまり難しく考えないでください。企業の中にいると当たり前に思えるようなことでも、学生の目から見れば新鮮に映るものはいくらでもあります。

例えば、学生はBtoB企業の多くをまだ知りません。どのような業界で、どのような戦略を持ち、どのような事業を営んでいるのか。その全てがコンテンツとなり得る可能性を秘めています。
工場などがあるなら、その様子をスマホで動画に収めるだけでもいいでしょう。

また、BtoC企業では「客として接する企業の姿」しか学生は知りませんから、その裏にある流通や商品企画などのバックストーリーは興味深く見てくれると思います。
どうしても見つからないというときには、プロに相談してみるのもひとつの手ですね。

― なるほど。いま「動画」のお話がありました。今回のアンケートでも動画については試行錯誤をされている方が多く、難しさを感じるようです。

小見さん:実際には、企業の方が気にするほど学生は動画のクオリティを厳しく見ていないと思いますが、もしどうしても難しさを感じるなら、すでに持っている動画コンテンツを使うというのも手です。

例えば、採用コンセプト動画や社員インタビュー動画は多くの企業が持っているのではないでしょうか?

それらを今の時代に合わせて、短くカットして小出しにするだけでもいいと思います。

― ショート動画ですね。アンケートでも「短い動画を作るようにしてみたら再生回数が上がった」というお声がありました。


小見さん:はい。いまの学生はものすごく多くの情報源から取捨選択して情報を摂取しています。なので、3分もあるような動画はなかなか見てもらえないでしょう。例えば3分であれば「18秒×10本」といった形で分けてしまうのも手です。

その時に大切なのは、パッと見て「何を話している動画か」が分かることですね。固定のテロップを入れるなどして、学生が「この動画を見るべきか、スキップすべきか」を判断できる情報を提供してください。

― それなら始めやすそうです。では最後に、どのくらいの頻度で投稿するのがいいのでしょうか。アンケート結果ではInstagramは週に1回程度にしている企業が多いようです。

小見さん:適切な頻度だと思います。「どうせやるなら」と毎日投稿を目指す企業の方もいらっしゃいますが、そうすると一つひとつの投稿の検証が難しくなってしまい、逆に成功への道が遠のくという傾向があります。

よほど人気のインフルエンサーでもない限り、1週間に1回、難しければ隔週に1回くらいの投稿でも「アカウントが止まっている・滞っている」という印象は与えません。無理のない範囲で、なおかつ十分に検証のできるペースで投稿してください。

― 今日はありがとうございました!

インタビューの中でも触れられましたが、SNSを始めようと成功事例を探すと、どうしても「バズっている」アカウントに目が行ってしまいます。

しかし、小見さんのインタビューを通じて分かったことは「バズる」よりも「検証可能」であることの方が大切だということです。
つまり、採用担当者やSNS担当者の「センス」に左右されるのではなく、検証し自社にとって有益なSNS運用になっているかどうかを確かめながらPDCAを回すことの方が大切だということですね。

そう思えば、気が楽になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今や社会インフラの一つと言っても過言ではないSNS。ぜひ採用にも活用してください!


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  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2023/07/14
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