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採用ツールや時期の違いは意識していますか? 学生の興味をキャッチする新卒採用ライティング術

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学生の売り手市場、就職活動の早期化…。新卒採用担当者を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、企業間の競争もますます激化しています。

今回は特に担当者が頭を悩ませている、学生との初期接点でどう自社に目を向けてもらうかという点にフォーカス。採用活動の第一線を知り尽くすコピーライター、北 道高さんが、学生の興味をキャッチする新卒採用ライティング術を公開します。

採用ツールや時期による「キャッチするコピー」の書き分けのポイントも解説。
明日からすぐ使える実践形式の内容です。

採用活動、難しくなっていませんか?

学生に何を伝えたら振り向いてもらえるかが分からず、悩んでいませんか?
初めまして。コピーライターの北です。まずは、僕の自己紹介です。

  • $タイトル$
  • 株式会社ファンクラブ代表。コピーライター/クリエイティブディレクターとして、グローバル企業から地方の中小企業まで、これまで数百社の新卒採用に携わってきました。また、マイナビが運営するメディア「START」にて、学生と一緒に採用サイトを楽しく見て回る「カンパニークルーズ」といったオンラインイベントを企画・運営するなど、現在も企業と学生のリアルをずっと見続けています(写真は、カンパニークルーズの司会の時の衣装です!)。

ということで、今回は、企業と学生の最新のリアルを知るコピーライターだからこそ教えられる「学生の興味をキャッチする新卒採用ライティング術」を公開。皆さんの日々の採用活動に少しでも役立つ内容を伝えられればと思います。

新卒採用ライティングとは? 3種類のコピーがある

新卒採用担当者の皆さんは、学生とコミュニケーションを図るため、さまざまな時期に多種多様な媒体や採用ツールを使っていると思います。

それらを就職活動中の学生の心理や行動と重ね合わせたものが次の図になります。そして、この全ての段階において求められるコピー(会社の魅力を伝える文章)が新卒採用ライティング! 社外の専門家に依頼するものもあれば、担当者の皆さんが自分たちで苦労しながら書いているものも少なくないのではないでしょうか。
さて、この新卒採用で重要な鍵を握るコピー。学生の心理・行動と企業側の目的を重ね合わせると、大きく3種類に分けられます。

  • キャッチするコピー
    学生は星の数ほどある企業から、面白そうな企業、自分に合いそうな企業を探しています。そうした学生の目、耳、心をキャッチするコピーです。ナビや合同説明会など、学生と企業の初期接点で使われることが多く、とにかく興味を持ってもらうことが第一の目的となります。

  • マッチするコピー
    学生がエントリー先を選んだり、面接で話す内容を考えたりする際に使う採用サイトや採用パンフに主に登場するコピーです。他社との違いやどんな人材を求めているかといった情報提供が重要となり、文字どおり、学生が「自分とマッチする企業はどこだろう?」に応えるためのコピーです。

  • タッチするコピー
    学生は情報や条件だけで企業を選んでいるわけではありません。職場の雰囲気や社員の人柄など、最後は感情が動くかどうかが大切です。そうした学生の心のひだに触れようとするのがタッチするコピー。想像力をかき立てる表現や、熱い想い、リアルな言葉などが求められます。

そして、ここ数年の傾向として、学生の売り手市場、オンライン化も相まって、「キャッチするコピー」の重要度と難易度が以前より増しています。というのも、学生一人当たりのエントリー企業数が減少し、さらにインターンシップ・仕事体験に参加した企業の中からエントリー先を選ぶ学生が増えているというデータがあるのです。

つまり、これまで以上に他社よりいち早く学生の目に留まり、インターンシップ・仕事体験に参加してもらえるかどうかが採用に関係する ようになっているということです。

では、学生はどうやってインターンシップ・仕事体験先を探しているのでしょうか。知名度の高い企業は別ですが、その他多くの企業との出合いはインターンシップ・仕事体験先を紹介するナビサイトや、インターンシップ向けの合同説明会となります。そう考えると、学生が最初に出会うコピーの多くは、採用担当者の皆さんが書いたナビサイトのコピー(タイトル)や説明会スライドの導入部分の説明になるのです。

もちろん、私たちコピーライターも依頼されれば、これらの部分から手伝います。でも、予算やスケジュールの都合上、自分たちで書いている企業が多いのではないでしょうか。ということは、あなたのコピーの出来が採用 にも大きく関わっているのです。

キャッチするコピーとは?具体例から学ぼう

……と、不安をあおってしまいましたが、ご安心ください。この記事は皆さんにコピーライターの勉強をしてもらうものではありません。この後、具体例を見せながら説明すると、「あ、それでいいの?」と思うことも多いと思います。先ほどキャッチするコピーの概要を伝えましたが、ここからはもう少し解像度を高めて一緒に見ていきましょう。


CASE 1 学生がすでに興味のある業界や仕事、職場環境のイメージを持っている場合


こういう場合は、その業界の名称そのものやそれらを想起させるキーワード自体がキャッチするコピーの核になります。

  • “金融”の世界に挑戦してみませんか?
  • “マーケティング”の最前線を走ろう
  • “まちづくり”に興味のある学生、募集
  • ようこそ、“アットホームな職場”へ

しかし、大学1、2年生や就職活動への意識がまださほど高くない学生は、自己分析や業界・職種研究もしていないでしょう。自分の中に興味の種も具体的なイメージも、まったくないという学生も数多くいます。


CASE 2 学生が業界や仕事に対する興味やイメージを何も持っていない場合


こういう場合は、学生起点のキーワードを入れたものや、表現としての強さがあるものがキャッチするコピーになります。

  • “文系出身”の皆さんへ
  • “リーダー経験”を活かせる仕事
  • “おもてなしのアスリート”になろう
  • “世界をひっくり返す”仕事がある

もちろん、表現としての強さのある言葉をつくるのは言葉のプロではない採用担当者にとって簡単ではないと思います。僕たちのようなコピーライターという専門職があるのも、そのためです。

ただ、採用のコミュニケーションにおいては、表現の強さ=レトリックの面白さだけではないのです。むしろ、企業の持つ“事実”が学生の目を引きつけるキャッチするコピーになるのです。

  • “100年前から橋をつくっている”会社
  • “10,000分の1ミリ”にこだわる仕事
  • “世界100カ国のペットがお客様”です
  • “◯◯を最初に開発した”会社です

自分たちでは当たり前と思っていることでも、学生にとって「へえ」「本当に?」と引きつける事実はたくさんあります。それも、キャッチするコピーです。

また、上の例を見ると、数字や具体的な名称(この記事では◯◯としていますが)が入ると、学生に限らず、人の目はぐっと留まりやすくなります。逆に、「たくさんの」「さまざまな」など、抽象度が高いものはスッと流されてしまう傾向があります。

また、キャッチするコピーの役割は、あくまで「キャッチするまで」ということも覚えておいてください。

最初から、自分たちの会社のことを知ってもらおう、理解してもらおうと詰め込むと、結果、誰の目にも留まらないコピーになります。「あ、自分に関係あるかも」「あ、面白そうかも」「え、どういうこと?」と目を留め、興味を喚起するまでがキャッチするコピーの役割です。

そうそう、今回のこの記事でも、「採用活動、難しくなっていませんか?」と書いたことで、「そうそう」と目が留まった担当者の方もいるのではないでしょうか。あと、コピーではありませんが、僕があえて探検家の格好の写真を入れたのも、最初にカンパニークルーズの話をしたのも、まずは皆さんをキャッチするためです。大変、失礼しました。

キャッチするコピーの作り方! 公式を紹介

さあ、キャッチするコピーの解像度が高まったところで、いよいよ皆さん自身がキャッチするコピーをどうやったら書くことができるか。その作り方を公開します。

キャッチするコピーの公式
「求める人材」×「キャッチする場所」×「会社の魅力(事実)」



STEP 1 求める人材をイメージしよう!


採用活動に携わっている皆さんにとってはよく聞く言葉かもしれませんが、採用のコピーを書く上でこの「求める人材」をイメージすることはとても大切です。

そもそも、採用広告・広報は、通常の広告や広報と違って、たくさん人が集まったら成功ではありません。求めている学生が来て初めて成功だと思います。さらに言えば、どんな人に声を掛けるかを決めず、キャッチする言葉をつくるのはプロでも無理です。

それに採用を恋愛に置き換えてみて考えると、「誰でもいいから付き合ってほしい」という人と、「あなたと付き合いたい」という人がいたら、どちらの人と付き合いたいですか。キャッチするコピーを考える上ではまず、自分たちの中で求める人材をイメージしましょう。

ただし、求める人材=理想の人材にならないよう注意してください 。

あくまで、自分の会社に来たら活躍できそうな学生のペルソナ(具体的な性格や好きなもの、学生時代の様子など)を固めていきましょう。一人で考えるのが難しければ、評価されている若手社員に学生時代の話を聞いたり、就職活動の時にどんなことに興味を持って会社を探していたりしたかなど、具体的な質問をどんどんしていくと、求める人材の人物像が固まっていくと思います。


STEP 2 キャッチする場所を確認する!


求める人材のイメージが固まったら、そのキャッチするコピーを学生がどこで目にするかを考えましょう。例えば、マイナビのようなナビサイトであれば、「業種から選んで入ってきているのではないか」「合同説明会であれば、偶然の出合いを求めている」など、それぞれの“媒体の構造”やその時の“学生の心理” を理解することが大切です。この部分に関しては、次の章でもう少し詳しく説明しますね。


STEP 3 会社の魅力(事実)を選ぼう!


「求める人材」がイメージでき、「キャッチする場所」を確認したら、その上でどんな「会社の魅力(事実)」がキャッチするコピーの核になるかを考え、その中の一つを選びましょう。

キャッチする場所によっては、会社の魅力(事実)より、学生起点のキーワードを前に出した方がキャッチできることもあるので、そのあたりも次の章で具体的に紹介します。ただ、この選ぶ際のポイントは、1つのキャッチするコピーに対して、核となるキーワードは1つ(多くて2つ)に絞ること。いろいろ伝えたい気持ちは分かりますが、前の章でもお話ししたように、目的はあくまでキャッチ。コピーが長くなったり、構造が複雑になったりすると、それだけで人は読まなくなります。

媒体別・時期別のポイント! 挑戦してみよう

公式を頭に入れたら、より実践形式の内容へ。先ほどの章で触れた「キャッチする場所」ごとのポイントを紹介していきます。

加えて、同じキャッチする場所でも、時期ごとに学生の心理や行動に違いがあるので、そのあたりも解説します。もちろん、全ての学生がそう考えているわけでもありませんし、それぞれの企業が置かれている状況や魅力の種類、求める人材によっても作戦は変える必要があります。

あくまで、一例ではありますが、たくらみを持って書くのと、なんとなく書くのでは、たとえ結果が出なくても、その後に検証ができるかどうかなど、企業の資産としての価値がまったく異なります。ぜひ、参考にしながら、たくらみを持って書いてみましょう。

ナビサイト

ナビサイトの特徴は「業種」や「職種」「エリア」など、学生が何かしらの条件検索を行った上で、貴社の情報を見ているということ。ただし、同じナビサイトでもインターンの時期と採用活動の時期では、キャッチするコピーに入れるキーワードの種類が多少変わることに注意しましょう。


①-1:インターンシップ

学生起点のキーワードやインターンシップで学べる内容など、企業の魅力よりも「どんな人に向いているのか」「どんなことが体験できる、学べるのか」といった内容がキャッチする力を発揮します。

例えば、ナビページのタイトルでも……
  • “ものづくりに興味のある”皆さんへ。自動車の“製造工程をすべて体験”できる!
  • “ゲーム好き”、集まれ! ヒット作に学ぶ“マーケティング論”。


①-2:採用活動

エントリー時期になってくると、学生もより自分に合う1社を探そうという意識が高まります、他社との違いを感じさせるもの、どういった学生を求めているかが伝わるものなどを軸に組み立てるのがお勧めです。

例えば、ナビページのタイトルでも……
  • “アジア市場に強い”自動車メーカー。君自身の“成長”スピードも加速する!
  • “冷凍”食品が熱い。営業も生産も“商品開発に携わる”チャンスも!


説明会スライド

昔から合同説明会の会場は、学生からの知名度が高くない企業にとって重要な初期接触の接点です。さらに、採用の早期化に伴い、インターンシップや仕事体験などの冒頭の説明会スライドが、最初のコミュニケーションの接点となるケースも増えています。

また、個社説明会のスライドなどは、合同説明会やインターンシップなどの説明会スライドに比べたら、学生が企業に求める情報や感情も一段階上がっている場所です。そのことを意識して書き分けましょう。


②-1:インターンシップ・仕事体験

説明会とはいえ、まだ貴社に対する理解も、まして志望度も上がりきっていない状況です。そうした学生の興味を引き、その後の説明を聞いてもらうためには、ナビの時と同様、学生起点のキーワードや学生側のメリットにつながるようなコピーが好まれます。

例えば、説明会スライドの1ページ目に……
学生からの質問を入れるだけで、学生も「あ、私も聞きたいかも」と興味を示してくれます。また、この形のいいところは、学生側としても一方的に説明を聞くのではなく、擬似的に対話をしている感覚になれること。企業側の登壇者も、その後の話し口調が柔らかくなるというメリットもあります。


②-2:合同説明会

合同説明会は、極端な言い方をすれば、第一印象勝負の場所。学生の目を留める、足を止めることを最優先に考える必要があります。ポスターなどのブース装飾はビジュアルを大きく、言葉も少し強めのインパクトのあるものが好まれます。そして、ようやく数人の学生に席に着いてもらったら、その説明会スライドの1ページ目もキャッチすることに全力を注ぎましょう。

例えば、説明会スライドの1ページ目に……
事業や職場にまつわるクイズ形式のキャッチするコピーなどもお勧めです。回答の選択肢を用意すると、人はつい「どれだろう……」と考え始めますし、何の景品がなくても、当たり! はうれしいもの。ハズレても、そこから興味が湧いてきますし、何よりこのクイズ形式のコピーの利点は、誰にでも作ることができること。ぜひ、一度、挑戦してみてください。


②-3: 個社説明会

個社説明会まで足を運んでくれた学生は、それこそ逃さないよう、最大限のコミュニケーションを図っていきましょう。ナビや合同説明会でどんな話をして興味を持ったのかを思い出しながら、学生の貴社に対する期待と説明会スライドでのアピールポイントがずれないように心掛けましょう。また、より学生の感情に訴えるのも、このあたりから効いてきます。仕事風景の写真にコピーを入れて紹介したり、職場の雰囲気とともに先輩社員のリアルな声をキャッチするコピーとして活用するのもありです。

例えば、説明会スライドの1ページ目に……
「自分がこの会社に興味を持った部分と同じような志望動機を掲げている先輩がいる!」と思うだけでも、学生は「この会社、アリかも!」と、より前のめりに話を聞いてくれるようになります。もちろん、会社の規模によってはさまざまな興味の接点が生まれるでしょうし、求める人材を絞りすぎると、それ以外の学生に逃げられるかもと不安になるのも分かります。とはいえ、八方美人は最後の1社に選ばれにくい。興味や共感の度合いが低い母集団(多め)より、興味や共感の高い母集団(少なめ)の方が、最終的な採用活動の成功にはつながりやすいもの。そのことを意識して、キャッチするコピーを考えてみてください。

効果検証の方法&今回のまとめ

この記事を最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。学生の売り手市場化が進み、ナビでも説明会でもただ情報を掲載しているだけでは、学生からのエントリーの獲得や志望度の向上が難しい時代となりました。しかも、採用活動の早期化も相まって、コミュニケーションを図る学生の意識や理解度もバラバラです。さらに、それを全て外注でプロに依頼していてはコストも時間も膨大になります。

だからこそ、最も会社の魅力(事実)を知り、日々、採用活動で学生とも接している採用担当者の皆さん自身が、新卒採用ライティング術を磨き、コミュニケーションの質を高めることは、そのまま採用活動の成否に影響を与えると思います。加えて一度、自分でたくらみながら頭に汗をかきつつ書いてみると、いざ、プロに依頼する際のオリエンテーションの精度も高まりますし、上がってくるコピーに対してのフィードバックも的確になるはずです。

ちなみに、今回の新卒採用ライティング術を試してみたら、ぜひ、効果検証も行ってみてください。例えば、ナビの場合、「どんなキーワードを入れたら、PVがどのように変化したか?」「エントリーシートの志望動機の内容に変化はあったか?」などです。採用の基本はマッチングですので、ただ人数が増えることが成功ではありません。量と質の両方の変化をチェックしつつ、状況によってはナビの見出しなどを変えていくことも大切です。

また、説明会スライドなどの効果検証は、選考に進む歩留まりで測りましょう。説明会でのキャッチする力が高まれば、その後の企業理解も進み、志望度も高まります。さらに、選考中の学生や内定を出した学生に対し、「最初に興味を覚えたきっかけは何か?」「どのような言葉が印象に残ったか?」といった定性のヒアリングを行えば、次のキャッチするコピー制作のヒントも見つかるはずです。

新卒採用は、企業の5年後、10年後の姿に大きな影響を与えます。ぜひ、皆さんの新卒採用ライティング術が少しでも高まることに貢献できればと思います。また、どこかでお会いしましょう!!

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2024/09/17
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