夏・秋採用で注目したい「体育会系学生」のポテンシャルと見極めのコツは?
― 一般に「体育会系学生」は、どんな特徴を持つ方が多いのでしょうか?
長谷川: 体育会系学生は学生として過ごす時間の多くを競技に費やし、深く打ち込んでいますから、練習を通じてレジリエンス(※)が鍛えられている、上下関係の理解などがあることが多いようです。企業の方もそのような体育会系学生ならではの能力を期待して採用をしたいという意向が強いですね。
※レジリエンス(Resilience):不利な状況に対応して正常な均衡状態を維持する力を表す言葉として用いられる心理学用語。一般には「忍耐力」や「再起力」「復元力」などを総合的に指す言葉として用いられる。
― 実際に学生と交流される中で、企業が期待するさまざまな能力を持っているなという実感もありますか?
長谷川: そうですね。キャリアアドバイザーとして学生と接していると、総じてレジリエンスは高いと感じます。競技をやっていると、逆境を乗り越えなくてはいけない場面というのはやはり多いですから。
あとは、日々の練習を成果につなげていく習慣から、目標設定能力に優れている学生が多かったり、長い間ひとつの競技に打ち込んでいることも多いので、継続力も高かったりすることが多いですね。
加えて、個人競技に打ち込んでいた学生だと「自身の立てた目標に向かっていく力が強い」とか、団体競技だと「周りと協調して目標達成する能力が高い」という能力があると思います。
― 競技を通じてレジリエンス、コミュニケーション能力、目標達成能力といった素質を持っていると推測できるのは、見極めの場面では助けになりそうですね。
角: そうですね。そういった能力に自信がある学生は選考などでもうまくアピールしてくれる上に、その裏付けとして競技経験をもとにしたエピソードを話す学生が多いので、根拠を持って学生の見極めをすることができます。
― 一方で、それ以外の能力についてはどのように見極めるのがいいのでしょうか。
長谷川: 大学時代を競技に打ち込んで過ごしてきた学生が多いので、その他にどんなことをしてきたのかを聞くと、一人ひとりの持つ特性を知りやすいと思います。
プロ志向で完全に競技に100%の力を注いでいたという学生もいますし、学業やアルバイトなどもバランスよく経験している学生もいます。どちらが良いということではありませんが、人柄を知る参考にはなるのではないでしょうか。
角: あとは、競技の中でのポジションや経験を聞くというのは、やはり体育会系学生を見極める上でポイントになると思います。
周囲のサポートがうまいのか、ソロプレイヤーとして成績を上げることに向いているのか……そういったことが競技に対する姿勢から見えてくるはずです。
長谷川: この2年間はコロナ禍によって大会が開催できなかった競技も多く、結果的にどのような成績に結び付いたかを話すことができない学生が多いため、ポジションや周囲との関係といったところから掘り下げてあげると、学生側も話しやすいと思います。
― 先ほど「プロ志向」という言葉もありましたが、やはり競技に打ち込んでいると、一般的な就活スケジュールに乗れないという場合もあると思います。実際にはいかがでしょうか?
長谷川: 確かに、そういう学生も多いですね。競技にもよりますが、他の学生が就活の準備を始める3年生の夏ごろに大会が被っていたりすると、どうしても出足が遅れるということはあります。
また、部活動が落ち着いたタイミングで就職活動を開始するパターンもありますね。一例にはなりますが、4年生の4~5月にはリーグ戦、9〜10月には全日本インカレ(※)がありますので、それぞれ終了後から就職活動を開始するような場合です。
― ちょうど、夏・秋採用のタイミングと重なりますね。
角: そうですね。夏・秋に採用活動をされている企業にとっては、就職活動を開始したばかりの学生に出会えるチャンスです。
もちろん人によりますので、一般学生と同じスケジュールで動いている学生もいます。ただ、私たちが接する体育会系学生の多くは、「ゆっくりめ」の就活スタートとなる場合が多いですね。
※全日本インカレ:全日本インターカレッジ(全日本学生選手権)のこと。多くの競技が9月から10月にかけて大きな大会を開催する。
― となると、学生側も不安を感じているのではないでしょうか?
角: そうですね。他の学生が自己分析や業界研究に時間を割いている間、自身は競技に打ち込んでいて時間が確保できなかったり、一般学生がどう活動しているかを知らなかったり、ということもありますのでそこに不安を抱えている場合が多いですね。
― 続いて、実際に体育会系学生の採用を考えている企業は、どのような手段で出会えばいいのか、具体的にお伺いしたいと思います。
角: 先ほどお話ししたように、体育会系学生は自身が競技の中で培ってきた能力を活かせる仕事を希望する場合が多いので、マイナビのような就職情報サイトで「体育会系学生歓迎」のように記載することをお勧めしますが、体育会系以外の学生からは逆に避けられてしまうというのが実情です。
― 確かに、体育会系以外の学生の目には自分が求められていないと映ってしまうこともあるでしょうね。
角: はい。なので、ひとつの手段としてマイナビが運営している「体育会系ナビ」はお役に立てると思います。体育会系学生だけをターゲットとしてアピールできる場としてご利用いただけるサービスです。
また、体育会系学生向けの合同会社説明会もリアル・WEBともに行っています。実際に学生とコミュニケーションを取ることで、体育会系学生特有の強みを直接感じていただける機会になるはずです。体育会系学生の視点からも、自分たちを求めている企業に出合えるという期待感がありますので、積極性も高いです。
― 体育会系学生はエージェント(人材紹介)の利用も多いと聞いたことがありますが、実際はどうでしょうか?
長谷川: はい、競技種別や学生の打ち込み具合によっては時間が取れないので、学生にとって時間効率のいいエージェントサービスの利用率は一般の学生と比較して高いと思いますよ。マイナビでも「アスリートキャリア」というエージェントサービスをご用意しておりますので、ご興味があればお問い合わせください。
●マイナビの体育会系学生向けサービスはこちら
― エージェントサービスも含めて、体育会系学生向けにはどういった広報ノウハウが有効なのでしょうか。
長谷川: 成長志向が強い学生が比較的多いので、自社が持っている成長環境を強く打ち出すことが効果的ですね。あとは、同じ体育会出身の先輩が働いている姿をアピールするのも良いと思います。
角: 付け加えると、就職後も趣味として競技を続けたい、関わりたいという学生が多いので、競技に割ける時間を確保できるかどうかや、社内でのキャリアの積み方についても伝えることが重要です。
- 人材採用・育成 更新日:2022/06/09
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