人材獲得に向け「既卒者」へアプローチしてみませんか?
採用において、卒年が変わっても変わることのない重要な課題の1つが、「母集団形成」ではないでしょうか。マイナビが行った「2022年卒企業新卒内定状況調査」において、「今年の採用活動の印象」に関して「厳しかった(「前年並みに厳しかった」+「前年より厳しかった」の合計)」と回答した企業に対してその理由を聞いたところ、前年に引き続き最多だったのは「母集団の確保」(52.0%)でした。割合としては前年より7.2pt減少していたものの、やはり母集団確保に悩む企業は毎年多いのが現状です。
既卒者に対して「在学中に内定を得られなかった人」としてネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、研究レポート「既卒者採用の10年間とこれから」にもあるように、在学中に内定を得ながら卒業後も就職活動をしている人は多く存在します。また同レポートでは既卒者の受け入れを行っていない企業にその理由を聞いていますが、 2012年卒調査では「優秀な人材の割合が低いと思うから」という回答が40.1%だったのに対し、2022年卒調査では半数以下の19.5%に減少しており、「既卒者=優秀でない学生」というネガティブなイメージはこの10年でかなり薄まってきているようです。
まず既卒者の活動量・活動範囲についてです。「マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査」において、今年度の活動においてエントリー先、応募先に変化があったかという質問に「はい」と答えた人に対し活動がどのように変わったかを聞いたところ、最も多い回答は「既卒者を受け付けている企業を選ぶようになった」で、次いで「在学中より業界の幅を広げた」、「在学中より職種の幅を広げた」、「憧れだけで企業を選ばず、自分の適性に沿って選ぶようになった」が続いています。「業界の幅を広げた」「職種の幅を広げた」の回答から、既卒者は卒業後の活動において視野を広げ、幅広い業界・職種を応募先として検討する傾向があることがわかります。既卒者を採用対象にすることによって、これまでアプローチできなかった層(例えば、就職活動開始当初や現役生の頃は、自社の属する業界や職種にあまり馴染みがなかったものの、就職活動を通じて興味を持つようになった既卒者層)からの応募を獲得することも可能になり、そこから母集団形成につながる可能性も見えてきます。
このように、既卒者には、自身の適性や就職活動の軸、やりたいことやキャリアについて整理・納得したうえで就職活動に臨んでいる人が多いことがわかります。同調査において、内定を保有する既卒者に対して今後の活動予定について聞いたところ「内々定先に満足したので終了する(終了している)」が73.8%と高い数値となっていました。自身の就職活動への納得感が、内定先への満足度という形で表れているのかもしれません。もし応募してきた既卒者が、幅広い選択肢の中から納得度の高い状態で自社の選考に臨み、内定を受諾したとしたら、それはかなり確度の高いマッチングであると言えるでしょう。入社後の定着・活躍についても期待できる可能性が高まります。
最後に、既卒者を受け入れている企業とその理由についての調査結果をご紹介します。「2022年卒企業新卒採用予定調査」によると、既卒者の応募受け入れを行っている理由について最も多かった回答は「戦力になるのであれば新卒も既卒も関係ない」で92.0%でした。既卒者を採用している企業の多くは、戦力になるのであれば現役生(新卒)にこだわらずに採用するという姿勢のようです。もちろん、冒頭で申し上げた「母集団の確保のため」という回答も19.9%あり、戦力になる優秀な人材の獲得や母集団形成のために、既卒者採用に取り組む企業が一定数あることもわかっています。
- 人材採用・育成 更新日:2021/12/20
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