【基礎ガイド付き】効率的で安全な採用活動を支える「応募者管理」の基本
応募者や選考参加者の情報を適切に管理・運用することで、採用活動全体のスピードを上げ、印象の良い選考活動がしやすくなるだけでなく、連絡ミスの減少にもつながります。
しかし、表計算シートや紙資料でのアナログな管理を行っている方や、データベースの使い勝手に悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、正確で効率的かつ安全な採用活動を根幹から支える応募者管理の基本とノウハウをお伝えします。
適切な設計と運用の方法を知ることで、採用力の底上げにもつながりますので、以下のダウンロード資料と併せてぜひ参考にしてください。
\応募者の情報管理に工数がかかっている方へ 応募者管理の基礎ガイド/
はじめに:応募者管理はなぜ重要?
応募者管理の基本は、自社の応募者や選考参加者の状況を正確に把握し、その情報を採用活動に生かすことにあります。しかし、採用活動が早期化し、スピード感が求められる現在において、それをアナログな方法で行うには限界があります。
そこで重要になるのが、応募者管理をより効率良く、安全に行うための「応募者データベース」です。これは応募者情報を蓄積・管理するためのデータベースのことです。
学生への連絡や面接官への資料提供など、必要なときに必要なデータを迅速に出力することで採用活動全体のスピードアップが実現し、タイムロスを減らすことができます。これにより、学生とのコミュニケーションの時間をより多くつくることができます。
また、採用活動が終わった後では、振り返り資料を作成するデータとしても活用できます。応募者管理に欠かせない「応募者データベース」は、まさに「採用活動の要」とも言えるものなのです。
まずはここから:「応募者データベース」に求められる3つの要素
では、採用力の底上げに生かせる「応募者データベース」の設計や運用には、どのような要素が求められるのでしょうか。重要な3つの要素が「迅速・正確・安全」です。
- 迅速にデータを入力・出力できること
- 正確でミスのないデータ運用ができること
- 安全に応募者(学生)の情報が守られていること
この3要素をしっかりと守ることで、応募者データを効率的な採用活動に活用することができ、データ漏えいなどの事故を防ぎながら採用力の向上を期待することができます。
<マイナビ担当者からのアドバイス>
応募者情報を管理する方法はさまざまありますが、大きく分けてATS(Applicant Tracking System=応募者管理システム)を利用する方法と、社内で構築管理する方法があります。
ATSは応募者管理に特化したシステムで使い勝手が良いですが、導入・運用にはコストが発生します。一方、社内管理であれば費用は発生しないことがほとんどですが、アクセス権限の管理が煩雑で安全性を担保しにくかったり、データのソート・抽出を繰り返すうちに元データが改変されてしまったりといったトラブルが起きやすくなります。自社の状況、関係者のITスキルなどに合わせて管理方法を適切に選択することが重要です。
設計のポイント:自社の採用方針と照らし合わせながら慎重に!
では、応募者データベースにはどのような情報を格納していけばいいのでしょうか。学生から取得する情報としてまず必ず押さえたいのが、以下の基本項目です。- ID(通し番号)
- 氏名
- 連絡先(住所・電話番号 / 場合によっては帰省先の情報も)
- メールアドレス
- 大学名
- 学部学科名
- ゼミ
- クラブ
これらの情報を取得することにより、学生一人ひとりの情報を正確に把握できるだけでなく、例えば「理系の学生」に絞ってデータを出力して説明会の案内を送ったり、採用活動終了後に「運動部所属の学生がエントリーを開始する時期」を見定めるためにデータを活用することができたりするようになります。
そして、上記の基本項目のほかにも、項目を加えていきながら自社の採用方針に沿った運用のしやすいデータベース構築を進めると、応募者情報をより生かすことにつながっていくでしょう。
ただし、注意すべき点がいくつかあります。
注意点1:昨年のデータにあった項目の「削除」は慎重に
応募者データベースを運用し始めると、採用要件や採用施策の変化が理由で昨年のデータベースにあった項目を使用しない場面が訪れることがあります。そのような場面では、「その項目を元にした年度ごとの変化を後から見る必要がないか」という視点から慎重に判断してください。
注意点2:運用者や学生の入力負荷を考慮した項目作りを
上記の注意点1とは逆に、項目の「追加」が必要な場面があります。「学生に入力してもらうフォームの項目を増やすだけ」「面接官にあと○項目多く記入してもらうだけ」と考えがちですが、入力に必要な負荷(時間)はできるだけ軽く(短く)なるように配慮する必要があることにも注意しましょう。特に、学生においてはプレエントリー時に入力負荷が高いと感じると、離脱してしまう恐れもあります。
注意点3:自由記入欄の追加は慎重に
面接での評価をデータベースに収めていくと選考通過者の選定や応募者傾向の分析に役立ちますが、その際、入力項目を「自由記入」にするのか、「数値などの選択式」にするのかは、十分に検討しましょう。ポイントは、後からソートや抽出に使いたい項目では「数値などの選択式」にすることです。数値式(5段階評価など)や選択式(ある・ない・分からないの3択など)にしておくと、データベースとしてより使いやすくなります。
<マイナビ担当者からのアドバイス>
自由記入欄のほかにも、意外と落とし穴になるのが数値の記入です。例えば学生にTOEICスコアを入力してもらう場合「760点」「760(全角数字)」「760pt」などの表記揺れが発生する可能性があります。半角数字のみを入力できるフォームを利用したり、0から990の数字から選んでもらう選択式にしたりするなどの対策を取りましょう。入力例の記載があると、より明確に伝わります。
また、面接評価の記録に自由記入ではなく数値式・選択式を採用した場合に失われてしまうディティールを補うには、別途理由を記載するコメント欄を設けておくのがお勧めです。次の面接官にとってより参考になるデータを残すことができるでしょう。
運用のポイント:攻めと守りのバランスを取って運用しよう
応募者データベースに収める情報を精査し終え、応募者が集まり始めたらいよいよ「運用」の段階に入ります。ここでも重要なのはもちろん、「迅速・正確・安全」の3要素です。迅速:リアルタイムな更新で採用にスピード感を
ほとんどの企業がオフライン(対面)で面接を行っていたコロナ禍前までは、面接評価をデータベースに格納する際、「面接官が残した紙のメモを採用担当者が入力」する方法を取っている企業が多くありました。
しかし現在は面接がオンラインへと移行し、併せてクラウド式のATSも普及したことから、面接官が現場でデータを入力することができるようになっています。
この方法では従前の方法と比べて面接から評価決定までの時間を大幅に短縮できるため、結果として合否連絡も迅速に行えるようになり、選考スピードで他社に競り負ける機会損失を減らすことにもつながります。
正確:ダブルチェックで間違いを減らす
応募者データベースには、学生自身が入力する基本項目のほかに、採用担当者や面接官が入力する項目も多く存在します。
どのようなデータも慎重に入力していくべきですが、特に誤りが許されない項目が「合否判定」です。不合格の学生に誤って合格通知を送ってしまった場合、その後の対応で学生に与える影響は大きく、自社の評判や信用が損なわれるリスクが生じます。
採用活動にはスピードも重要ですが、特に重要な項目を中心に必ずダブルチェックを行い、ミスを減らしていくようにしましょう。
安全:権限管理を確実に行い、学生の情報を守る
応募者データベースには学生のプライベートに関わる情報、評価に関わる情報など、非常にセンシティブな内容も多く含まれます。
「必要な人が、必要な情報だけを見られる」ように権限設定を行いましょう。
例えば1次面接の結果を見られるのは、一部の人事担当者を除いて2次面接以降の面接官だけに限定する、連絡先情報を見られるのは学生との連絡を担当する社員のみに限定するなど、細かな権限設定を行えるようにしておきましょう。
自社で用意したデータベースで実現が難しい場合、ATSを活用するのも一つの手です。
<マイナビ担当者からのアドバイス>
マイナビでは学生への連絡業務などをアウトソーシングとしてサポートさせていただくことがありますが、その際にも連絡ミスがないよう内部でダブルチェックを行っています。
ポイントは「誰が・どこをチェックするか」を明確にしておくことです。学生一人ひとりに振られたIDを元にして、名前・メールアドレス・送信内容が全て一致しているかを複数人で分担して確認を行います。
内容によっては、一つの連絡ミスで自社の評判や信用が損なわれるリスクがあるため、社内でのリソース確保が難しい場合は、外部のプロに業務委託するのもお勧めです。
選考が終わったら:規約に基づいて適切に処理を
では最後に、採用活動が終わったら応募者データベースはどのように扱えばいいのでしょうか。まず必ず守るべきなのが、「学生から情報を取得した際の規約に準じて対応」することです。
学生に個人情報を登録していただく際には、個人情報の扱いに関する規約に同意が必要です。その内容に従って処理を進めましょう。
規約の内容には、大きく2つの方向性があります。
1.完全破棄の場合
定められた期間で完全に破棄することを約束する規約です。その場合には、データを確実に消去し、一切の情報にアクセスできないよう処理する必要があります。採用データベースに付随する面接評価シートや適性テストの結果シートなども確実に破棄しましょう。
2.個人を特定できる情報を削除する場合
氏名、メールアドレス、生年月日、電話番号、住所、ID番号など、個人を特定可能な項目を削除し、他の項目は残して後から利用できるようにすることも可能です。匿名加工情報の作成方法については、経済産業省からマニュアルが公表されておりますので、参照してください(「事業者が匿名加工情報の具体的な作成方法を検討するにあたっての参考資料「匿名加工情報作成マニュアルVer1.0 」2016年8月)。
取り扱いの規約は自社の採用戦略に応じて作成するのが一般的です。社内法務や、必要であれば外部専門家に確認し、コンプライアンス上の問題が起こらないよう、注意しましょう。
また、データ保持期間内での振り返りも必ず行いましょう。学部学科系統や部活の種別、地域などの特性から学生の動きを分析し、翌年度以降の採用広報活動に生かすことができます。振り返りで見るべき項目などはこの記事からダウンロードできる資料でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
\応募者の情報管理に工数がかかっている方へ 応募者管理の基礎ガイド/
<マイナビ担当者からのアドバイス>
近年、新卒の選考辞退者や内定辞退者に対し、「○年以内に再受験した場合、最終面接からスタートできます」のように約束をすることで採用機会を広げる「ファストパス採用」という手法が注目を集めています。
この場合、対象者の情報は全て残しておくことになりますが、もちろん改めて個人情報の保存についての規約に同意を求める必要があります。また、保管方法や情報の閲覧権限についても慎重な検討が必要です。
ファストパス採用を検討している場合は、社内法務や外部専門家と協議の上、万全の管理体制を整えられるように準備しましょう。
採用市場の変化に対応できる応募者データベースの運用を
オンライン面接の普及や、急速な売り手市場化に伴って採用活動には「スピード」が求められる時代となりました。それに伴い、応募者データベースのあり方、扱い方にも変化が生まれています。
この機会にぜひ「迅速・正確・安全」で、自社の採用力を底上げできるようなデータベースの構築と運用にチャレンジしてみてください!
- 人材採用・育成 更新日:2024/10/08
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