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競合に差を付けるには? 学生に響く差別化ポイントのつくり方

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さまざまな採用広報施策を行っているけれど、学生に響いていないのではないか……とお悩みの採用担当者の方は多いのではないでしょうか。特に、「Z世代」と呼ばれる最近の学生の志向は読みにくく、どのような訴求を行えば良いかについて迷っている方も多いでしょう。

しかし、今回お話を伺った株式会社Strobolightsの代表、羽田 啓一郎さんは「若者の志向や好みに流されずに自社を見つめることが、結果として学生に響く広報につながる」と話します。その理由について、詳しくお話を伺いました。

まずは学生と企業の「ズレ」を解消 学生に響かない意外な要素とは?

— 羽田さんは就職活動について、多くの学生の声を聞く機会がおありだと思います。採用広報を行う際、企業が最も頭を悩ませる課題の一つが「差別化」ですが、同業種の企業と比べた自社の強みをどのように表現すべきでしょうか。

羽田さん: まずは学生を知ることです。企業が自社の魅力だと思って伝えているポイントと、学生が実際に魅力を感じるポイントがずれているケースというのは意外と多いものです。私が仕事の中で実際に学生から聞いた話をもとに、いくつかの例を挙げてみましょう。

例1:「社風がいい」というメッセージ

羽田さん: 企業側はよく「社風がいい」と自社の魅力をアピールしますが、学生から見ると抽象的で、具体性に欠けた言葉と捉えられるようです。
「具体的に、どう社風がいいのか」をメッセージとして伝えるのは難しいので仕方がない面もありますが、多くの企業が同じように「社風がいい」と言うので聞き飽きていて、具体性やオリジナリティがないと感じられてしまうのでしょう。

とはいえ、学生が社風を気にしていないわけではありません。社風は面接などの直接的なコミュニケーションを通じて「具体的に」知っていくからこそ意味があると考えています。

社風については会社説明会や広報物など「言葉だけ」で伝えるよりも、インターンシップや会社見学、選考過程など学生が体感できる場で伝えていくのが良いでしょう。

例2:SDGs・社会貢献

羽田さん: SDGsへの取り組みなどを紹介することで自社の社会貢献性をアピールする企業は多く、また学生から社会貢献に関する質問を受けたことのある企業の方も多いと思いますが、本音ではあまり興味がないようです。

企業が一生懸命アピールするので、面接などで「気を遣って」質問をしたり、興味があるように振る舞っていたりするのが現実ですね。

実際に学生が興味を持つのはSDGsや社会貢献といった「大きな話」ではなく、自分が入社した後にどのような仕事をすることになるか、といった「身近な話」であることがほとんどです。

例3:福利厚生

羽田さん: 学生アンケートなどでは「福利厚生を気にしている学生が多い」という結果をよく目にしますが、私の知っている限りでは、「気にしている学生と、そうでない学生に大きく二分される」というのが現実です。

具体的には、就活に対して消極的な姿勢の学生は福利厚生を気にしていて、逆に積極的に就活に臨んでいる学生は福利厚生よりも、仕事内容や事業内容に強い興味を抱いています。それなのに、企業の採用ホームページのファーストビューに福利厚生や働く環境についてフィーチャーされている企業も少なくありません。

自社を志望する学生の志向をよく理解して、アピールするかどうかを考えましょう。

学生目線で自社の魅力を見つけ出す方法

— 具体的にありがとうございます。企業側が響くと思っていた魅力が、意外と学生に伝わらないという現実があるのですね。ではどのように、自社の魅力を見つけ出せば良いでしょうか?

羽田さん: 人事の方は社内を知り尽くしているだけに、学生に響く魅力、言い換えれば「他社との差別化ポイント」を発見しにくい場合が多いと思います。

それを知るためには、まず内定者や新入社員などからじっくりと話を聞くと良いでしょう。
「他社ではなく自社を選んだ理由は何か」「他社と比べ、自社にはどのような魅力があると感じるか」など、就活生として自社を見ていたときに、他社と比較した強みをどのように認識していたかを聞いてみると良いでしょう。

— 人事から聞くとなると、内定者や新入社員は気を遣って本音を話しにくそうにも思えます。

羽田さん: どのような関係性を築いてきたかにもよりますが、おっしゃるとおり忖度(そんたく)して正直なことを話してくれないパターンもあるでしょう。その場合は第三者から話を聞いてもらったり、ファシリテーターとして参加してもらったりする方法が有効です。

私が実際に、とあるIT企業の新入社員にインタビューをしたところ、意外な結果が出たことがあります。

そのIT企業は採用広報の中でプロジェクトの規模感や社会貢献性を強くうたっていたのですが、実際に学生が魅力を感じていたのは「余裕のある仕事環境」でした。つまり、「他社と比べるとのんびり働けそう」という点が響いていたのですね。

企業側が自社の魅力としてまったく想定していなかったポイントで、人事の方はとても驚かれていました。

「この魅力を打ち出すことで採用したい学生の興味を引けるかどうか」は別の検討が必要ですが、このように自分たちでは想像もしていなかったポイントを学生が魅力として受け取っていることは、往々にしてあります。

— 社内だけを見て魅力を見つけ出そうとしても、なかなか見つからなかったでしょうね。

羽田さん: そもそも、社会人として企業に勤めていると、競合他社の労働環境や社風の実態を知る機会はほとんどありません。だから「差別化」が難しいのです。

一方、学生は多くの企業のインターンシップに参加したり、面接を受けたりしながら、比較して最終的な入社企業を決めています。
つまり、人事は知らない、学生(内定者・新入社員)だけが知っている魅力を把握するには、「対象者にしっかりと話を聞く」しかないのです。

見つけた魅力は「伝わる」言葉で具体的に表現する

— インタビューを行い、自社の魅力を発見できたら、次は「どう伝えるか」ということを考えなくてはなりません。気を付けるべきポイントはありますか?

羽田さん: まず、企業側の大人は無意識に「ソリューション」「ガバナンス」といったカタカナのビジネス用語を使いがちですが、通じないことが多いと認識してください。分かっているようなそぶりを見せても、実際には分かっていないということが多いはずです。

「ソリューション」は「提供サービス」、「ガバナンス」は「社内ルール」など、できるだけ平易な言葉に置き換えて説明できるようにしておきましょう。

また、こういった言葉だけに限らず、学生はビジネスの仕組みを想像以上に知りません。お互いにビジネスを理解し合っている大人同士で話すような言葉遣いでは理解してもらえない可能性が高いことを常に頭にとどめておきましょう。

— 私たちは逆に、ビジネス用語を使わずに話すのは難しく感じてしまいます。ぜひ注意したいポイントですね。

羽田さん: そうですね。そして、ビジネス用語が多い話し方は、往々にして抽象的にもなりがちです。

例えば「クライアントの課題解決のために、サプライチェーンを止めずにワンストップで最適なソリューションをデリバリーする」のような言い方は、何かを言っているようで、実はまったく具体的ではなかったりします。

立場を逆にして考えてみましょう。
面接では定番の質問として、学生に「自己PR」を求めます。その時学生が「何にでも一生懸命に、真剣に取り組むことができます」とだけ言ったら、面接官としてはイマイチ響かないと感じてしまうのではないでしょうか?

— そうかもしれません。もっとエピソードを聞きたいですね。

羽田さん: それと同じです。学生も抽象的な話ではなく、具体的なことを企業から聞きたいと思っています。できるだけ具体的に自社の魅力をアピールできるよう、学生に伝わる言葉で言語化しておくと、自社の魅力をきちんと理解してもらえるはずです。

— 実際に就活生と日常的にコミュニケーションを取っている羽田さんならではの、具体的なお話をありがとうございました!

学生の目を通じて自社の魅力に向き合うことから始めよう

採用担当者として学生とコミュニケーションを取っていると、「今の学生は自分たちの頃とは違って難しい言葉をよく知っているな」と感じることがあると思います。私たちも、このサポネットの取材を通じて出会う学生から同じ印象を抱いていました。
しかし、日常的に学生とコミュニケーションを取っている羽田さんの目から見た学生は、そうではないようです。

取材のエピソードからも、実は私たち大人が学生のことを本当には理解できていないことが分かります。一方、学生も同じで、企業のことを本当には理解できていません。

その間に橋を架けるポイントが「学生目線で自社を見つめて魅力を発見すること」、そして「学生に伝わる平易な言葉でコミュニケーションを取る」ことです。

ぜひ、内定者や若手社員との対話を重ねて自社だけの魅力を発見し、伝える表現で存分にアピールし、採用の成功につなげていただければ幸いです。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2025/03/03
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