With/Postコロナの学生の業界イメージ
業界で異なるプラスイメージとマイナスイメージの変化
2020年4月の緊急事態宣言発令により、外出・外食の自粛が求められることになりました。その後も3度にわたり緊急事態宣言は発令され、就活生を含め、人々の生活や価値観が大きく変わり、業界や仕事に対するイメージも影響を受けています。
今年(2021年)5月公開の「2022年卒マイナビ大学生業界イメージ調査」では、今年の4月時点での就活生の各業界への活動状況、抱いているプラスイメージ・マイナスイメージなどを調査しています。
コロナ禍という想定外の事態に見舞われながらも、「プラスイメージ」についていくつか特徴的な動きを見せた業界があります。それは、「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」、「銀行・証券」、「精密・医療機器」と「介護・福祉サービス」です。
そして、それらの業界に関する結果から、それぞれ以下の3つの傾向を見ることが出来ます。
(1)オンライン化の浸透
(2)ワークスタイルとビジネスモデルの変化
(3)医療・福祉関連業界への注目(エッセンシャルワーカー)
新型コロナウイルスの拡大で、私たちの生活様式は大きく変わりました。そのうちの1つとして、テレワークやリモートワークの普及といった「オンライン化」の浸透があります。
学生にとっては大学の授業がオンライン化されたほか、採用の場面においても、インターンシップや企業セミナー、面接などの選考フェーズのオンライン化が急速に進みました。パソコンやスマートフォンなどのデバイスを介して、対面が当たり前だったものごとがオンラインでできるようになったという事態を身をもって経験してきた学生が、オンライン化に必要なツール・インフラを支えているIT関連業界の「ビジネスモデル」や、「休日・休暇・労働時間」に表される「働き方」に対して興味を持ち、理解が進んだことで改めてポジティブなイメージを持った可能性は大いにあると考えられます。
学生にとっては大学の授業がオンライン化されたほか、採用の場面においても、インターンシップや企業セミナー、面接などの選考フェーズのオンライン化が急速に進みました。パソコンやスマートフォンなどのデバイスを介して、対面が当たり前だったものごとがオンラインでできるようになったという事態を身をもって経験してきた学生が、オンライン化に必要なツール・インフラを支えているIT関連業界の「ビジネスモデル」や、「休日・休暇・労働時間」に表される「働き方」に対して興味を持ち、理解が進んだことで改めてポジティブなイメージを持った可能性は大いにあると考えられます。
(2)ワークスタイルやビジネスモデルの変化 …銀行・証券
次に、各業界に対する活動状況(インターンシップに応募したか/インターンシップに参加したか/就職先といて検討したか/エントリーしたか/選考(面接等)を受けたか)に目を向けてみますと、各活動フェーズのトップ3を同じ業界が占めています。それは、「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」「食品・農林・水産」「銀行・証券」の3業界です。
ここで注目したいのが、「銀行・証券」業界の活動状況です。過去3年の調査でもすべての活動フェーズでトップ5に入っていましたが、前年(2021年卒)調査ではトップ5に入ったのは「インターンシップに参加したことがある」のみと、順位を落としていました。今年はすべての活動状況において3位ということで、昨年から復活を果たしたというかたちになります。
順位を下げた2021年卒調査を見てみると、銀行・証券業界対しては、
「キャッシュレス化が進むことによって受ける影響も考えられる。」
「窓口業務の人数減少や口座手数料導入などいい方向ではないことを知ったから。」
「AIが進出して人が不要になっていく業界と感じ、将来性に不安があったため。」
といった声が学生から一部あり、「将来性」ではマイナスイメージで1位(15.7%)でした。
対して、順位を上げた今年2022年卒の調査では、
「昨今の低金利で金融業界が厳しい中でもさまざまなビジネスがあり、金融業界に興味が湧いたから。」
「デジタル化に力を入れていて、今後もニーズに合わせて変化していくと思う。」
などのポジティブな声があがったほか、「将来性」のマイナスイメージも2位(14.1%)とわずかながらダウンしています。
金融業界に関しては、ここ最近、インターネットバンキングの拡充や、店舗でのタブレット導入といった「業務の非対面化」への新しい取り組みのほか、メガバンク各行のIT系企業との連携が進むなど「IT化・デジタル化への対応」についても前向きな取り組みが多くみられ、これにより学生が抱いていたマイナスイメージが軽減され、活動状況トップ3への返り咲きという今年に調査結果に影響を与えた可能性があります。また、こうしたIT化・デジタル化という課題に加えて、コロナ禍によって浮かび上がった「窓口・対面業務への不安」に対しても取り組みを示せたことが、学生にとってプラスに働き、活動状況へも追い風が吹いた可能性が見えてきます。
「キャッシュレス化が進むことによって受ける影響も考えられる。」
「窓口業務の人数減少や口座手数料導入などいい方向ではないことを知ったから。」
「AIが進出して人が不要になっていく業界と感じ、将来性に不安があったため。」
といった声が学生から一部あり、「将来性」ではマイナスイメージで1位(15.7%)でした。
対して、順位を上げた今年2022年卒の調査では、
「昨今の低金利で金融業界が厳しい中でもさまざまなビジネスがあり、金融業界に興味が湧いたから。」
「デジタル化に力を入れていて、今後もニーズに合わせて変化していくと思う。」
などのポジティブな声があがったほか、「将来性」のマイナスイメージも2位(14.1%)とわずかながらダウンしています。
金融業界に関しては、ここ最近、インターネットバンキングの拡充や、店舗でのタブレット導入といった「業務の非対面化」への新しい取り組みのほか、メガバンク各行のIT系企業との連携が進むなど「IT化・デジタル化への対応」についても前向きな取り組みが多くみられ、これにより学生が抱いていたマイナスイメージが軽減され、活動状況トップ3への返り咲きという今年に調査結果に影響を与えた可能性があります。また、こうしたIT化・デジタル化という課題に加えて、コロナ禍によって浮かび上がった「窓口・対面業務への不安」に対しても取り組みを示せたことが、学生にとってプラスに働き、活動状況へも追い風が吹いた可能性が見えてきます。
(3)医療・福祉関連への注目 …精密・医療機器、医療・調剤薬局、介護・福祉サービス
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全世界的に医療関連の業界に注目が集まりました。感染症治療などの最前線で働く医療従事者や、社会・生活インフラを支える仕事などへの敬称として「エッセンシャルワーカー」という言葉が取りざたされるなどしました。 今回は医療や福祉関連の業種から「精密・医療機器」「介護・福祉サービス」「医療・調剤薬局」の業界を見てみます。すると医療・介護の類似領域であるこの3つの中でも、イメージに違いが出ていることがわかります。
イメージ項目で見てみると、「精密・医療機器」は「社会貢献・環境への取り組み」で、「介護・福祉サービス」は「将来性」で、それぞれプラスイメージ・トップ5に浮上しています。「介護・福祉サービス」は2019年卒調査(4位)以来、3年ぶりのトップ5入りです。
その一方で、「医療・調剤薬局」については「変革性」で26位から32位、「ビジネスモデル」で37位から39位など順位を下げている項目がいくつかあることがわかります。
これについて考えられる理由の1つは、「銀行・証券」業界の部分でも触れた「非対面かどうか」です。エッセンシャルワーカーとして、どうしても対面業務中心というスタイルを変えづらい「医療・調剤薬局」はポイントを落とし、対してメーカーである「精密・医療機器」は高い順位を維持した、という見方ができます。
医療・福祉関連を中心に注目度は上がってはいるものの、ことにエッセンシャルワーカーに対しては「やはり大変そう」というイメージがぬぐえない状況なのかもしれません。もちろん、オンライン診療や介護ロボット導入といった新しいスタイルの浸透や、ワクチン接種の拡大といったトピックにより、今後イメージを回復していくことも予想できます。
これについて考えられる理由の1つは、「銀行・証券」業界の部分でも触れた「非対面かどうか」です。エッセンシャルワーカーとして、どうしても対面業務中心というスタイルを変えづらい「医療・調剤薬局」はポイントを落とし、対してメーカーである「精密・医療機器」は高い順位を維持した、という見方ができます。
医療・福祉関連を中心に注目度は上がってはいるものの、ことにエッセンシャルワーカーに対しては「やはり大変そう」というイメージがぬぐえない状況なのかもしれません。もちろん、オンライン診療や介護ロボット導入といった新しいスタイルの浸透や、ワクチン接種の拡大といったトピックにより、今後イメージを回復していくことも予想できます。
コロナ禍で自社の事業・仕事を学生にアピールするには
今回は学生の業界イメージについての動きから、「オンライン化の浸透」、「新しいビジネスモデルへの取り組み」、「医療・福祉関連業界への注目」というキーワードを探ってみました。
今年に入って国内でもワクチン接種が進んでいることを考えると、この3つの動きはコロナ禍という予想外な要因により急速に促された、一過性のイメージ変化に留まるものかもしれません。しかし、コロナ禍をきっかけに生まれたテレワークや在宅勤務の浸透や、ビジネスモデルの変革が完全になくなることはないでしょう。特に医療・福祉関連業界に関しては、ワクチン接種が進むことによって、業務における不安が払しょくされ、より学生の注目を集めていく可能性もあります。
自社の採用活動にとって、今回取り上げた業界ではなくても、コロナ禍の影響が大きいか軽微かに関わらず、業務のオンライン化や新しいビジネスモデルなどに取り組んでいるかという点は、学生にとってポジティブなイメージを与えることが出来る要素と言えます。それはコロナ禍というきっかけにより急速に進んだオンライン化や新しいビジネス・ワークスタイルが、感染拡大という当初の目的以外にも、働き方の柔軟性を実現できるという利点があることも見せてくれたからです。時代や世相の変化に対して柔軟に取り組んでいるという企業姿勢は、With/Postコロナの時代に、学生が注目しているポイントなのかもしれません。
- 人材採用・育成 更新日:2021/07/07
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