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若者雇用促進法とは? 主な内容、募集・採用にあたって対応すべき5つのポイントまで解説

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若者雇用促進法は、採用担当者であれば押さえておくべき法律です。この記事では、特に新卒採用担当者に向けて、若者雇用促進法の概要について解説します。主な内容や募集・採用にあたって対応すべき5つのポイント、企業側のメリットまでご紹介するため、参考にしてください。

若者雇用促進法とは、「勤労青少年福祉法等」の一部を改正する形で制定された制度のことで、平成27年10月1日(一部は、平成28年3月1日あるいは平成28年4月1日)から施行されています。正式名は「青少年の雇用の促進等に関する法律」です。


若者雇用促進法は、若者が適切な職に就けるように支援し、若者の不安定な就労を防ぐために施行された法律で、働き方改革が施行されてから注目され始めています。以下では、若者雇用促進法の対象者について解説します。

若者雇用促進法の対象者である若者とは、15歳以上35歳未満の者です。対象者には、現在働いている者のみに限らず、学生や無職者なども含まれます。平成28年1月14日に告示された、厚生労働省の「青少年雇用対策基本方針(厚生労働省告示第四号)」では、個々の施策や事業の運用状況等に応じて、おおむね「45歳未満」の者も対象になると記されています。


一般的に若者と聞いてイメージされる年齢よりも、実際の対象の幅が広いことを理解しておきましょう。


※参考:青少年雇用対策基本方針(平成二十八年一月十四日)(厚生労働省告示第四号))│厚生労働省

若者雇用促進法が制定された背景には、若者の離職率が高いこと、少子化に伴った労働力人口の減少があります。厚生労働省が発表した「学歴別就職後3年以内離職率の推移」では、平成31年の卒業生のうち、高校卒の3年以内の離職率は35.9%、短大等卒は41.9%、大学卒は31.5%と示されています。


若者雇用促進法は、若者の雇用状況の改善や促進を図り、若者の能力開発、スキルアップ向上を目的として、制定されました。


※参考:学歴別就職後3年以内離職率の推移│厚生労働省
若者雇用促進法の内容は、大きく分けて3つあります。ここでは、若者雇用促進法の主な内容について解説します。

ミスマッチによる早期離職を防ぐために、職業情報の積極的な提供が義務化されています。以下は、具体的な内容です。


  • 幅広い情報提供を努力義務化
  • 応募者等から求められた場合は、以下の3類型ごとに1つ以上の情報提供を義務化

  • (1)募集・採用に関する状況
  • (2)職業能力の開発・向上に関する状況
  • (3)企業における雇用管理に関する状況

幅広い情報の提供とは、労働条件をはじめとした応募者が求める情報を提供することを指します。情報提供はあくまで努力義務で、可能な限り情報を提供することが求められています。
また、応募者等から求められた場合、企業は「3類型ごとに1つ以上=合計3つ以上」の情報を提供することが義務となります。この義務に違反した場合は、ハローワークの「求人不受理」の対象となりますので、注意が必要です。

労働関係法令の違反があった企業は、ハローワークで求人を一定期間受け付けてもらえなくなります。若者が法令違反をした企業に就職することがないよう、配慮のために制定された制度です。以下は、不受理の対象となる違反です。


  • 労働基準法に関する規定の違反
  • 最低賃金法に関する規定の違反
  • 職業安定法に関する規定の違反
  • 男女雇用機会均等法に関する規定の違反
  • 育児介護休業法に関する規定に対する違反

令和2年3月30日以降は、違反した場合、新卒の求人のみならず全ての求人を受理しないことになりました。労働基準法の違反はハローワークだけでなく就職情報サイトの掲載にも関わるおそれがあるなど、採用活動に大きな影響を与えることになります。

ユースエール認定とは、厚生労働大臣が若者の雇用、育成に積極的で優良な中小企業について、「ユースエール認定企業」と認定する制度です。ユースエール認定企業として認定を得た場合、若者を積極的に採用しているといったポジティブな側面をアピールできるため、安定性を重視して企業を選ぶ学生からの応募数増加が期待できます。以下は、ユースエール認定制度の認定基準です。


  • 若者の採用や人事育成に積極的に取り組む企業であること
  • 直近3事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下
  • 前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数、取得数(男女別)について公表している

※引用:若者雇用促進法(「青少年の雇用の促進等に関する法律」)│厚生労働省

若者雇用促進法は、応募側の学生や求職者の適切な就職支援のための法律です。学生や求職者側のメリットは以下の通りです。


  • 企業が若者の積極採用を行っているかを判別しやすくなる
  • 悪質な企業が除外される
  • 優良企業を選びやすく、適切な企業選択がしやすくなる

一方で、企業側のメリットは大きく分けて3つあります。以下では、企業側のメリットについて解説します。

支援や優遇される点は、若者雇用促進法の企業側のメリットです。ユースエール認定企業は、融資や助成金が優遇されます。以下は、ユースエール認定で受けられる助成金です。助成金によって受給対象の条件は異なるため、条件を満たしているかどうかを確認することをおすすめします。


  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金

働き方改革推進支援資金を利用する場合も、基準利率から-0.65%での融資を受けられます。ただし、ユースエール認定企業に認定されたからといって、すべての助成金が受給できるとは限りません。

若者雇用促進法の企業側のメリットとして、優秀な人材を確保できる点も挙げられます。ユースエール認定企業は、各都道府県やハローワークが実施する就職面接会で優先的に案内を受けられるようになります。ハローワークによるマッチング支援も受けられるため、より多くの若者とコンタクトをとることが可能です。


ユースエール認定マークを自社の広告や商品につけることで、優良企業であることを対外的にアピールでき、企業のPRにもつなげられるでしょう。

ミスマッチによる離職者の抑止ができる点も、若者雇用促進法のメリットの1つです。若者雇用促進法で、幅広い情報提供が義務付けられたことにより、企業の詳細な求人情報が公開されるようになりました。


ありのままの企業の求人情報に納得したうえで応募を決断できるようになるため、入社後のミスマッチの軽減に繋がるでしょう。また職場の定着率がアップすることで、生産性アップも期待できます。

企業が募集や採用をするにあたって、気をつけるべき点があります。ここでは、企業が募集・採用にあたって対応すべき5つのポイントについて解説します。
若者が適切な職に就き、安定的に働けるように、労働条件の明示などに関する事項を遵守することは、募集・採用にあたって対応すべきポイントです。明示する情報の虚偽や、誇大な内容とすることは禁じられています。「広告などによる青少年の募集情報は誤解を生じさせるような表示をしない」といった決まりは、職業安定法の改正(令和4年10月1日施行)に伴い、追加されたルールです。
採用内定取消しは解雇にあたるため、十分に留意する必要があります。客観的に合理的で社会通念上相当であると認められない場合は、採用内定取消しは「無効」となります。「内定承諾者が思ったより多かったから」「社風に合わなそうだから」のような抽象的かつ主観的な理由での内定取消しはできません。
就職活動中やインターンシップ参加者の学生に対する言動には注意を払いましょう。企業は、「職場におけるハラスメント関係指針」に基づき、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントを防止する義務があります。特に就活セクハラが社会問題となっている現状から、自社におけるコンプライアンスの一環として就活セクハラ対策をアピールすることは有効です。
募集・採用を行うにあたって、青少年雇用情報の情報提供が必要とされています。青少年雇用情報とは、企業が応募者などに対して提供する職場情報のことです。企業は幅広い職場情報を提供する努力義務があるため、求人申込書の青少年雇用情報欄の項目は、可能な限り記入するようにしましょう。

厚生労働省が公表している「令和3年3月大学等卒業者の就職状況」によると、大学生の就職率は96.0%と前年同期を2.0ポイント下回っており、未就職のまま卒業する学生が増えているのが現状です。そのため、企業は募集・採用を行うにあたって、卒業後3年間は「新卒枠」に応募できるようにすることや、上限年齢を可能な限り設けないことが求められています。

※参考:令和3年3月大学等卒業者の就職状況を公表します~大学生の就職率は 96.0%(4月1日現在)と、前年同期を 2.0 ポイント下回る~│厚生労働省

若者雇用促進法は、「勤労青少年福祉法等」の一部が改正された制度のことで、採用担当者が把握しておくべき法律です。若者雇用促進法の主な内容は、職場情報の積極的な提供や、ハローワークにおける求人不受理、ユースエール認定制度です。遵守することによるメリットや対応すべき点を押さえたうえで、自社の採用活動に活かしましょう。


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  • Person 菅田 芳恵

    菅田 芳恵 グッドライフ設計塾 代表

    特定社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャルプランニング技能士等13の資格を活かして幅広く活動をしている。

  • 人材採用・育成 更新日:2023/02/28
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