23年卒の採用充足率は81.3%で、3年ぶりに減少しコロナ禍前の水準に/2023年卒企業新卒内定状況調査
23年卒の採用充足率は81.3%で、3年ぶりに減少しコロナ禍前の水準に。
採用活動については49.6%の企業が「前年より厳しかった」と回答
23年卒の採用充足率(内定者数/募集人数)は前年比2.3pt減の81.3%で3年ぶりに減少し、コロナ禍前の20年卒の数値(80.4%)に近い水準となった。内定者満足度は、「量・質ともに満足」が26.2%で前年比10.3ptの減少、「質は満足・量は不満」は前年比6.2pt増の43.4%となっており、内定者の質は担保できているものの、内定者の人数に関して満足がいく採用ができなかった企業が多いことが分かる。採用活動の印象は、「前年より厳しかった」が前年比21.6pt増の49.6%と大幅に増加した。「前年並みに厳しかった」の回答と合わせると「厳しかった」と回答した割合は87.6%となり、多くの企業が採用人数確保の難しさを実感しているようだ。
「熱意を感じられない」「WEB/対面で印象が変わる学生が多かった」という声も。
学生の志望度を高める取り組みや見極めの工夫が重要に
23年卒学生の印象について聞いてみると、志望度や熱意が高い学生が多かったという意見がある一方で、「気軽に応募した学生もいた」「説明会にとりあえず参加している学生が増えた」というコメントも見られた。
特にセミナーなどではWEBでの開催が定着したことで参加へのハードルが低くなったことは事実ではあるが、前述のように、学生の行動量は前年よりも低下しており、多くの学生は説明会の時点である程度志望度が高い企業に絞って参加していると考えられる。説明会や選考に参加している時点で志望度は低くないという考え方で、より志望度を高めていくための工夫をしていくことが必要となりそうだ。
また、実際に「とりあえず」という意識で説明会や選考に参加している学生がいるのであれば、これまで選考に参加していなかった潜在層の学生である可能性もある。そのような学生との接点をつくることに成功しているという前向きな捉え方で、学生の志望度を高めていくための情報提供を行っていくことが学生と企業双方のよりよい就職活動に繋がると考えられる。
面接での印象について聞いてみると、WEB面接と対面面接とで印象が変わる学生が多かったという意見が見られた。対面面接では緊張して上手く話せなくなる学生が多かったように感じたようだ。学生自身の対面面接の練習不足に加えて、画面越しと対面とでは伝わりやすい情報に違いがあることも影響していると考えられる。
WEB面接で面接官を担当した社員と対面面接で面接官を担当した社員とで学生の評価が変わってしまうことのないよう、面接の行い方や評価基準の見直しをすることや、評価したいポイントによってそれに適した実施形式をとるなど、面接の仕方の見直しも必要と考えられる。
また、コロナ禍で学生生活が制限されていたために、ガクチカが答えられない学生がいたというコメントも見られた。22年卒に引き続き、コロナ禍で就職活動前の大学生活に影響を受けている学年であるため、学生の人となりを引き出す質問の仕方にも工夫が求められる。
24年卒採用は78.6%が実施する予定で、採用予定数を「増やす」企業がさらに増加。
採用活動の見通しは「厳しくなる」が前年から18.8pt増の67.8%
24年卒向け採用計画の策定状況を聞いたところ、採用予定数が決まっていない状態も含めると78.6%が実施すると回答した。採用予定数については前年同様「増やす」が増加、「減らす」が減少している。それを受けて24年卒の採用活動に関する見通しは、「厳しくなる(+非常に)」の回答が18.8pt増加して67.8%と、「今年度並み」を上回る結果となった。
23年卒の採用活動の厳しさを経験し、24年卒はさらに人材獲得の競争が激しくなると予想していることが見てとれる。
- 調査・データ 更新日:2022/11/07
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