入社予定先のインターンシップに参加した学生が得た内々定は参加していない学生が得た内々定よりどのくらい早かったのか
今回のコラムでは、23年卒の新卒採用について「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況(以下、23年卒モニター7月調査)」のデータを元に、前年(22年卒)の新卒採用からの変化(内々定時期の早期化と言われるもの)について見ていこうと思います。23年卒モニター7月調査において、今年の7月末の時点で入社予定先を決めている学生が、入社予定先からの内々定をいつ得ていたのか、について、特に「入社予定先のインターンシップ・ワンデー仕事体験」への「参加・不参加」が、どう関わってたか分析していきます。
※以下「インターンシップ」には「ワンデー仕事体験」を含む。
23年卒モニター7月調査によると、7月末の時点で内々定を得た中から入社予定先を決めているのは、全体で89.8%で、これが今回のコラムにおける分析対象となります。文系87.2%に対して理系は93.8%と文理差が大きいですが、実は理系の中でも、学部生は89.6%であるのに対し、院生の97.2%となっており、かなり差があります。
今年の「入社予定先のインターンシップに参加していた学生」は、2月以前にすでに17.3%が入社予定先から内々定を得ており、これは前年より5.2pt増でした。そして、就職情報サイトがオープンしてすぐの3月上旬には27.3%(前年比8.2pt増)と3割弱に達しました。3月下旬には45.1%と半数に迫って、この時点で前年比9.5pt増と、内々定を得ていた学生が前年より1割近く多くなっていました。しかし、その後は徐々に前年との差が縮小し、内々定を得ていた学生が9割を超えた6月上旬には、逆に前年のほうがやや割合が高くなっていました。
よって、インターンシップに参加していた学生が内々定を得た時期は、かなり早期の3月いっぱいまで前年より早いペースだったと言えそうです。また、前年は6月1日をすぎてすぐに内々定を得る(5月下旬:82.6% → 6月上旬:95.5%)ということがある程度あったようですが、今年はそういったケースは減った(5月下旬:84.8% → 6月上旬:93.0%)ということも言えそうです。
この表から「入社予定先のインターンシップに参加していた学生」についての入社予定先の内々定を得た時期の早期化は、新型コロナウイルス感染症が流行する前年の20年卒から翌21年卒にかけて、すでに起こっていたことが分かります。しかし、21年卒では、2020年4月の緊急事態宣言の影響で新卒採用の進捗が滞り、5月中旬以降は内々定を得るペースが20年卒と変わらなくなっています。22年卒は、3月下旬までは21年卒とほぼ同じペースで内々定を得ており、4月上旬以降は、21年卒、20年卒より早いペースで内々定を得ていて、かなり早期化していたと言えます。20年卒→23年卒で比べると、3月下旬までに入社予定先から内々定を得ていた割合は、20年卒では19.8%だったのですが、23年卒では45.1%で、2倍以上早いペースで入社予定先から内々定を得ていたことがわかります。
「入社予定先のインターンシップに参加していなかった学生」については、前年(22年卒)から今年(23年卒)にかけては内々定を得た時期はあまり早期化していなかったのですが、20年卒や21年卒と比較すると早期化していたことが分かります。ただし、6月上旬以降は、23年卒・22年卒・20年卒の3つのグラフがほぼ重なっており、早期化していたのは5月以前に得た内々定についてである、ということが言えそうです。また、21年卒は新型コロナウイルス感染症流行の影響が色濃く表れており、その影響で、5月上旬以降は21年卒のグラフが20年卒よりも下方に描かれる形(内々定を得ていた時期がより遅かったことを表す)になっています。
- 人材採用・育成 更新日:2022/10/31
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