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雇用契約書とは、労働条件通知書との違いや注意点、具体的な作成方法

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「雇用契約書」は、雇い主が労働者を雇用する際に締結する契約書です。この記事では、「労働条件通知書」との違いや。具体的な「雇用契約書」を作成するときの注意点などを紹介します。

労働条件通知書と雇用契約書

雇い主(企業、個人事業主)と労働者の間で取り交わされる書面には、「労働条件通知書」と「雇用契約書」があります。この2つの違いに関して説明します。

労働条件通知書とは

「労働条件通知書」とは、雇い主が労働者を雇用する際に発行する書面です。この「労働条件通知書」は、労働基準法によって、書面(労働者が希望した場合は電子版も可)で発行することが義務付けられており、また、必ず記載しなければならない「絶対的明示事項」が法的に決められています。

「労働条件通知書」は、以前は、書面での発行が義務付けられていましたが、2019年4月以降、法律の改定により、労働者が希望した場合は、メールやデジタルデータでの発行も可能となりました。

雇用契約書とは

「雇用契約書」とは、雇い主が労働者を雇用する際に発行する書面です。この「雇用契約書」は、民法623条に基づいており、雇い主と労働者間で合意した条項にて、署名・捺印が行われます。また、「雇用契約書」は法的な発行義務はなく、口頭でも成立します。

「雇用契約書」は、法的に書面発行の義務は無いものの、労使間のトラブルを回避するためにも「雇用契約書」を締結するのが一般的です。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書は、雇い主が一方的に条件を通知する書面です。内容も、必ず記載しなければならない「絶対的明示事項」が決まっています。労働基準法を準拠とし、法的に発行が義務付けられていて、発行を怠った場合は、処罰の対象になります。

雇用契約書は、雇い主と労働者の間で、署名・捺印が行われる契約書です。契約内容は、雇い主と労働者の間で調整します。民法を準拠とし発行義務はありません。

労働条件通知書と雇用契約書の兼用

「雇用契約書」に「労働条件通知書」の「絶対的明示事項」の内容を記載することで、ひとつの書面で「労働条件通知書 兼 雇用契約書」とすることも認められています。

雇用契約書の記載事項

前述の通り、「労働条件通知書」は「雇用契約書」に記載して兼用できます。この章では、「労働条件通知書」を兼ねた「雇用契約書」とし、「労働条件通知書」の「絶対的明示事項」を含めた「雇用契約書」の記載事例を紹介します。

絶対的明示事項とは

「絶対的明示事項」とは、労働基準法に従い「労働条件通知書」に必ず記載しなければいけない項目です。以下に「絶対的明示事項」に関して紹介します。

絶対的明示事項
労働契約の期間 雇用開始日を記載します。契約社員などの期限の定めのある雇用の場合は、契約終了日と、契約更新の有無を記載します。また、契約更新の判断の基準も記載しましょう。
就業場所 勤務地を明示します。転勤や出向など、勤務地が変わる可能性がある場合は、その可能性がある旨記載しておくことで、トラブルを避けられます。
業務内容 業務の内容を記載します。異動がある場合は、その可能性がある旨記載しておくことで、トラブルを避けられます。
始業・終業・休憩時間・超過勤務 始業時間と就業時間、所定時間を超える勤務、休憩時間を記載します。フレックスタイム制やシフト制などを取り入れている場合は、制度の詳細を記載します。
休日・休暇・有給休暇 週のうち休日の日数、夏季休暇、年末年始休暇や有給休暇の規定を記載します。
賃金に関して 賃金の具体的な金額、計算方法、締日や支払日、支払い方法を記載します。
退職に関する規定 定年制の有無や定年年齢などの内容、自己都合退職に関する規定を記載します。
パート・アルバイトなどの短時間労働者向けの事項 パート・アルバイトなどの短時間労働者には、以下の4項目を追記する必要があります。
・昇給降給に関して
・退職手当に関して
・賞与に関して
・短時間、有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

相対的明示事項とは

「相対的明示事項」とは、義務付けられていませんが、雇用契約書に記載しておいた方が良い事項です。労使間のトラブルを防止するためにも記載をしておきましょう。

相対的明示事項
社会保険 厚生年金、健康保険、労災保険・雇用保険などの適用の有無を記載しましょう。
通勤交通費 通勤交通費や制服代などの各種費用に関する規定を記載しましょう。
昇給降給・賞与・手当・退職金 昇給降給・賞与・手当・退職金などの規定を記載しましょう。
試用期間 試用期間がある場合、規定を記載しましょう。
休職に関して 病気や怪我による休職、出産、育児休暇、介護休暇に関する規定を記載しましょう。
職業訓練に関して 職業訓練や研修制度に関する規定を記載しましょう。
業務上発生する経費の負担 営業交通費や携帯電話代金などの業務利用で発生する経費に関する規定を記載しましょう。
守秘義務契約 守秘義務に関して記載し、情報漏えいに対する対策をしましょう。
副業などの規定 副業の可否、許可する場合の規定を記載しましょう。
反社会勢力の排除 反社会勢力の排除に関する規定を記載しましょう。

労働条件通知書の具体的な記載例

前述の通り「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を作成するには、「絶対的明示事項」を漏れなく記載する義務があります。「絶対的明示事項」の具体的な記述方法は、下記の厚生労働省のホームページでフォーマットサンプルが用意されています。

あくまでモデルケースのサンプルですが、この記載例をベースに自社の独自の内容を盛り込んで「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を労使合意の上で作成しましょう。

雇用契約書作成の注意点

転勤・異動の可能性を記載する

企業の状況は、常に変化します現在は予定していなくても、本社の移転や転勤、異動などの事象は発生する可能性があります。

勤務地の変更は、労働者の生活に大きな影響を与えます。転勤、異動の可能性の有無はしっかりと明示し、了解をとりましょう。

契約更新の有無や条件を記載する

期間のある雇用の場合、契約期間の延長があるのか? 更新の判断基準、更新の回数の上限、契約更新の通知時期などを明示しましょう。

契約更新の有無は、契約が解除された場合、労働者は別な仕事を探さなければなりません。トラブルを回避するためにも、更新の通知の時期や、更新基準を明確に明示し、事前に了解をとりましょう。

雇用契約書締結のタイミング

「労働条件通知書」は、雇入れ時に渡すことが義務付けられています。入社時やそれよりも前に通知しましょう。一方で、「雇用契約書」に関しては、期日も労使間で定めることになります。入社前までに調整し、入社日を契約締結日とするのが理想です。

雇用契約書を締結しなかった場合の罰則

「労働条件通知書」を発行しなかった場合は、30万円以下の罰金が課される場合があります。一方で、「雇用契約書」を書面または電子で作成し、締結しなくても罰則はありません。「話して伝えた」だけでも、契約自体は成り立ちます。

しかし、労使間でトラブルになった場合、「話して伝えた」では、証明ができないため、企業側に不利に働く可能性があります。必ず「雇用契約書」を締結することをお勧めします。

雇用契約書の内容を変更する場合

雇用契約書は、企業側の都合で変更はできません。企業と労働者の間で話し合い、新しい契約書を作成する、もしくは覚書などで変更箇所を書面化し、双方捺印の上で締結しましょう。

「雇用契約書」は、雇い主と労働者間で結ばれる、雇用内容に関する契約書です。また、契約書内に「絶対的明示事項」を記載することで、「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として利用できます。

トラブルを避けるためにも、「絶対的明示事項」に加えて「相対的明示事項」を盛り込み、書面または電子化し、「雇用契約書」として締結しましょう。

厚生労働省 様式集

  • 労務・制度 更新日:2022/04/12
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