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人材獲得に向け「既卒者」へアプローチしてみませんか?

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2021年も残りわずかとなりましたが、来年入社予定の内定者へのフォローや23年卒のインターンシップへの対応など、22年卒と23年卒の間を行ったり来たりする形で、各種業務をこなす企業の担当者の方も多くいらっしゃることかと思います。
採用において、卒年が変わっても変わることのない重要な課題の1つが、「母集団形成」ではないでしょうか。マイナビが行った「2022年卒企業新卒内定状況調査」において、「今年の採用活動の印象」に関して「厳しかった(「前年並みに厳しかった」+「前年より厳しかった」の合計)」と回答した企業に対してその理由を聞いたところ、前年に引き続き最多だったのは「母集団の確保」(52.0%)でした。割合としては前年より7.2pt減少していたものの、やはり母集団確保に悩む企業は毎年多いのが現状です。
若年層の人口が減少の一途をたどる日本において、若手人材の獲得については多くの企業が悩みを抱えています。母集団形成に向けたさまざまな施策やサービスがあるなかで、今回ご紹介したいのは「既卒者の採用」という視点です。ご存じの方も多いとは思いますが、既卒者とは在学中に内定を得なかった人や、内定を得たものの辞退した人、あるいは内定を受諾し企業に入社したものの再度就職活動をしている人などのことです。
既卒者に対して「在学中に内定を得られなかった人」としてネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、研究レポート「既卒者採用の10年間とこれから」にもあるように、在学中に内定を得ながら卒業後も就職活動をしている人は多く存在します。また同レポートでは既卒者の受け入れを行っていない企業にその理由を聞いていますが、 2012年卒調査では「優秀な人材の割合が低いと思うから」という回答が40.1%だったのに対し、2022年卒調査では半数以下の19.5%に減少しており、「既卒者=優秀でない学生」というネガティブなイメージはこの10年でかなり薄まってきているようです。
既卒者へのイメージがかなり変化してきたなか、人材獲得・母集団形成に向けて既卒者へアプローチすることは、非常に理にかなった方策と言えると思います。そこで今回は、「マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査」より、既卒者の就職活動の特徴と、募集・選考に関するポイントなどを解説いたします。
まず既卒者の活動量・活動範囲についてです。「マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査」において、今年度の活動においてエントリー先、応募先に変化があったかという質問に「はい」と答えた人に対し活動がどのように変わったかを聞いたところ、最も多い回答は「既卒者を受け付けている企業を選ぶようになった」で、次いで「在学中より業界の幅を広げた」、「在学中より職種の幅を広げた」、「憧れだけで企業を選ばず、自分の適性に沿って選ぶようになった」が続いています。「業界の幅を広げた」「職種の幅を広げた」の回答から、既卒者は卒業後の活動において視野を広げ、幅広い業界・職種を応募先として検討する傾向があることがわかります。既卒者を採用対象にすることによって、これまでアプローチできなかった層(例えば、就職活動開始当初や現役生の頃は、自社の属する業界や職種にあまり馴染みがなかったものの、就職活動を通じて興味を持つようになった既卒者層)からの応募を獲得することも可能になり、そこから母集団形成につながる可能性も見えてきます。
マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査
また4つ目の「憧れだけで企業を選ばず、自分の適性に沿って選ぶ」というのも重要なポイントと言えます。つまり、在学中より業界や職種の選択肢を広げたうえで「自分の適性を見つめ直して企業選定する」という活動スタンスを表しています。このスタンスについては、ほかの質問の回答の中にも見ることができ、「卒業後の就職活動において良かったと思うことは何ですか(複数回答)」という質問に対しては、「自分の適性がわかった上で活動できた」が26.7%、 「自分のやりたいことやキャリアについて納得する道を選ぶことができた」が27.4%と、比較的高い割合となっています。
このように、既卒者には、自身の適性や就職活動の軸、やりたいことやキャリアについて整理・納得したうえで就職活動に臨んでいる人が多いことがわかります。同調査において、内定を保有する既卒者に対して今後の活動予定について聞いたところ「内々定先に満足したので終了する(終了している)」が73.8%と高い数値となっていました。自身の就職活動への納得感が、内定先への満足度という形で表れているのかもしれません。もし応募してきた既卒者が、幅広い選択肢の中から納得度の高い状態で自社の選考に臨み、内定を受諾したとしたら、それはかなり確度の高いマッチングであると言えるでしょう。入社後の定着・活躍についても期待できる可能性が高まります。
マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査
マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査
既卒者にアプローチするには既卒者がどのように就職活動を行っているのかを知る必要がありますが、これについては既卒者自身、戸惑いながら活動している様子が同調査よりうかがえます。下の図は、「卒業後の活動において大変だと思うこと」という質問への回答です。
マイナビ2021年度既卒者の就職活動に関する調査
「既卒者の募集が少ない」(49.9%)、「既卒者募集をしている企業が探しづらい」(44.6%)といった、応募できる企業が少ない・わかりづらい、という声や、「既卒者としての活動の仕方がわからなかった」(46.9%)、「新卒の就職サイトに登録して活動していいものか迷った」(34.1%)など、活動の方法自体がわかりづらい、という声が多いようです。
すでに既卒者採用に取り組んでいる企業のご担当者には記憶に新しいかもしれませんが、卒業後3年以内は新卒枠で応募受付を行うことが2020年のコロナ禍を受けて改めて政府より要請されました。そのアナウンスを受けてこの2021年度調査の結果ですから、既卒者の受け入れについて特に明示していない企業がまだまだあるという状況であり、かつ既卒者自身もそれに対して「本当に新卒枠で応募できるのか」と戸惑いを感じている可能性が大いにあります。
裏を返すと、既卒者を受け入れる旨を明示しさえすれば、それだけで既卒者の目に留まりやすくなり、自社を検討候補にしてもらうことが可能ということにもなるでしょう。このちょっとした配慮・工夫により、既卒者からの応募を獲得しやすくすることも期待できるかもしれません。
最後に、既卒者を受け入れている企業とその理由についての調査結果をご紹介します。「2022年卒企業新卒採用予定調査」によると、既卒者の応募受け入れを行っている理由について最も多かった回答は「戦力になるのであれば新卒も既卒も関係ない」で92.0%でした。既卒者を採用している企業の多くは、戦力になるのであれば現役生(新卒)にこだわらずに採用するという姿勢のようです。もちろん、冒頭で申し上げた「母集団の確保のため」という回答も19.9%あり、戦力になる優秀な人材の獲得や母集団形成のために、既卒者採用に取り組む企業が一定数あることもわかっています。
少子高齢化にともない大学生の数が減少していく日本において、既卒者の採用は若年層の人材獲得という課題への貴重な解決策の1つになっていくでしょう。
  • 人材採用・育成 更新日:2021/12/20
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