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電話orメール?内定辞退の連絡における学生の意図とは

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 10月も終盤になり、内定式も実施し終えたころ。採用活動の他にひと段落したのは、学生からの内定辞退の連絡への対応かもしれません。
 7月21日に実施した、『マイナビ採用戦線報告会』にて、ご参加いただいた企業の採用担当者のみなさまから内定辞退について寄せられたコメントで話題となったのは、「内定辞退の連絡をメールで受けることが増えた印象がある」というものでした。「そういった大事な連絡は電話でするべきでは」というコメントも、「メールで十分では」というコメントも見受けられたように思います。

 では、実際にメールで内定辞退の連絡をする学生はどの程度いるのでしょうか。また、そこにはどのような意図があるのでしょうか。今回は、『マイナビ2022年卒大学生活動実態調査(8月)』の結果から、内定辞退の際に多く使われている連絡手段と、その理由について見ていきます。
 「内定辞退をどのような連絡手段で伝えたか」を複数回答形式で聞いたところ、最も多かったのは「電話」で71.3%、次いで「メール」が40.6%でした。
 やはり、内定辞退の連絡手段は電話が主流であることが見てとれる一方で、メールで連絡したことのある学生も少なくないことがわかります。また、合計が100%を超えていることから、内定辞退の連絡で複数の連絡手段を使ったことがある学生も存在することがわかります。複数社の内定を辞退する際にそれぞれ異なる連絡手段を使って伝えた、または一社への内定辞退をメールと電話など複数の連絡手段で伝えたことがある学生がいる可能性も考えられます。

 では学生はどのような意図で内定辞退の連絡手段を選んでいるのでしょうか。内定辞退の旨を「直接話して伝えた」学生と「文面で伝えた」学生のそれぞれの理由を見てみます。

 「電話」「直接会って話す」など、直接会話できるような連絡手段で内定辞退を伝えた理由は、「その方がマナーがよいと教わった・読んだから」という回答が最も多く、52.4%でした。
 学生にとって、就職活動においてマナーはあらゆる場面で意識するものです。内定を辞退する連絡でも、相手に失礼がないようにと、「マナーがよいと教わった・読んだ」方法で連絡する学生が多いことがわかります。

 また、「文章で伝えるよりも気持ちが伝わると思ったから」という学生も45.9%と、半数近くにのぼっています。ただマナーがよいから、というだけではなく、内定を辞退する申し訳ない気持ちや、ここまで担当してもらった採用担当者に対する感謝の気持ちなどがより伝わるようにと、電話で連絡している学生も多いことがわかります。

 一方、内定辞退の際に「メール」や「手紙」など、直接話さない方法をとった理由として最も多かった回答は、「選考結果などの連絡をいつもその連絡手段で伝えられていたから」というものでした。
 『マイナビ2022年卒内定者意識調査』によると、実際に内々定の通知を「携帯・PC受信のメール」で受け取ったことがある学生は31.6%で、選考に関する連絡がメールで行われるケースも少なくないことがわかります。
 また、電話で連絡した学生と同じように、マナーを気にした学生もいました。「相手の時間を取らない方がマナーがよいと思った(21.3%)」というものです。
 誤認識が発生しづらく感情が伝わりやすい口頭で伝える方がよい、という考え方も、お互いの都合のよいタイミングで確認でき、会話の経緯が形に残る文面で伝える方がよい、という考え方もどちらも間違いではないと思います。そのような考え方で判断に迷った学生が、企業から選考の通過連絡や内定通知の連絡をもらった際の連絡手段を参考に、内定辞退の連絡手段を選んだとも考えられるのではないでしょうか。

 その他、「人事担当者に申し訳なくて伝えづらいから」という学生も4人に1人となっていました。人事担当者への配慮の他に、 辞退することへの“申し訳ない”と思う気持ちからメール等で連絡している場合があることがわかります。
 一方、「直接話すと辞退の理由を聞かれそうだと思ったから(16.3%)」「直接話すと引き止められそうだと思ったから(13.8%)」という学生は一定数いるものの、2割以下となりました。直接話したくない事情があるためにメール等で連絡する、という学生はそれほど多くないようです。

 内定辞退についてメールで連絡する学生は、”メールで済ませたい“ということよりも、メールの方が相手にとってよいだろうという配慮や、辞退することへの引け目の気持ちからメールという連絡手段をとっていることがわかると思います。

 今回の学生のアンケート結果から、内定辞退を電話で伝える学生が多数派である一方、メールで内定辞退の連絡をしたことがある学生も一定数いることがわかりました。また、「直接伝えたい」「文面のやり取りで伝えたい」という明確な意思よりも、マナーや人事担当者への気遣い、遠慮の気持ちから連絡手段を選んでいる場合が多い様子も見受けられました。
 辞退の連絡をどのようにすべきか、ということは学生も迷うポイントであり、連絡手段を決める際に選考を受けている企業からどのように連絡が来ているかということを参考にする学生もいるようです。ビジネスの場でもメールという連絡手段が一般的になっている状況で、就職活動においても企業への連絡をメールで行うことは自然だという考え方もあるのではないでしょうか。

 また、内定辞退の連絡というタイミングは「企業と求職者」という関係が変わる瞬間でもあります。今後その学生は、消費者やユーザーにも、取引先にもなりえる存在という意味でも、電話・メールなどの連絡手段にかかわらず、学生の思いを受け止めてお互いに気持ちよく選考・就職活動を終えられるように対応することが大事だといえそうです。

 最後に、辞退の連絡は『どうして自社でなく他社を選んだのか』を聞くチャンスでもあります。学生に圧迫感を持たせず、意見をもらう機会にするためにも、学生が思いを伝えやすい状況にする必要があるかと思います。場合によっては、電話よりもメールの方が学生側も率直な意見を伝えやすいこともあるかもしれません。内定出しの後の連絡に際し、いつ、どのような連絡手段で連絡しても構わない旨を伝えておくことや、連絡がきた場合の受け答えに関して、それぞれの連絡手段の特性に合わせた対応を考えてみるのもよいのではないでしょうか。
  • 人材採用・育成 更新日:2021/10/29
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