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内定式直前!学生が求める「内々定者フォロー」とは

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 10月1日。多くの企業が、内定式を実施されるのではないでしょうか。採用活動に携わるご担当者にとっても、コロナ禍での準備期間・就職活動を経て内々定を得た学生にとっても、一つの区切りとなる時期だと思います。
 マイナビでは、2021年6月16日から7月5日の時点で内々定を保有している学生を対象に、内々定の保有状況を中心に就職活動を振り返ってもらう「内定者意識調査」を実施しました。その中で、内定式(内々定式)を中心とした「内々定者フォロー」について、また、入社後の活躍への期待と不安についてなど、学生の想いをうかがい知ることができる調査回答がありましたので、ご紹介したいと思います。ぜひ、今年の内々定者フォローのご参考にしていただければと思います。
「入社予定先を決めた後、不安になったことはあるか」という質問に対し、60.8%の学生が「ある」と回答しました(【図1】)。またその理由として当てはまるものを複数回答で選んでもらったところ、上位3つは「社会人としてやっていけるかどうか」(21.8%)、「この会社できちんと務まるかどうか」(17.5%)、「自分がこの仕事に向いているかどうか」(17.0%)となりました。多くの学生が、内々定先に入社後、自分が新社会人として活躍できるかどうかを不安視していることがわかります。
図1:入社予定先を決めた後、不安になったことはあるか


図2:不安になったのはどんな理由からか(複数選択)※上位抜粋
 ちなみに、この上位3つの不安について文理で分けたものが【図3】です。若干ではありますが、文系の方が不安を感じる割合が高くなっているのがわかります。
図3:不安になったのはどんな理由からか(複数選択)※上位3つを文理別で
 このような「入社後、自分が活躍できるかどうかという不安」は、学生の現在(大学での学び・生活)と入社後の自身のイメージとの間の「つながり」が見えづらい・わかりづらいことに原因があるではないか―。そのような発想から、学生の「現在」と「入社後」のつながりについて、文理別にみてみることにしました。
「現在の内々定先企業では、入社後あなたが大学・大学院の専攻で学んだことを活かせそうか」という質問に対して、「1.ほとんど活かすことができなさそう」から「5.かなり活かすことができそう」まで5段階で選んでもらったところ、「1.ほとんど活かすことができなさそう」は全体で8.4%と少なく、ボリュームゾーンは「4」の30.0%という結果で、全体として「学んだことを活かせそう」と考えている学生が多いようです。(【図4】)。

 ただ、この点についても文系・理系で差があるようで、理系は「活かすことができそう(回答4と5の合計)」が7割近くを占める一方、文系は「活かすことができそう(4と5の合計)」は4割ほど。「どちらとも言えない」がボリュームゾーンになっています。 「自分が新社会人として活躍できるかどうか」に不安を感じる割合も、「入社後に自分の専攻が活かせるかどうか」という点についても、文理の差を見ることができます。
図4:現在の内々定先企業では、入社後あなたが大学・大学院の専攻で学んだことを活かせそうか
 このように、文理の間で程度の差があるものの、多くの学生が入社後への不安を抱えています。たとえ、いくら企業研究や仕事研究を重ね、選考を進む中で自身の適性とのマッチングや企業への理解を深め、その結果として内々定を得たとしても、こうした不安はどうしても残ってしまうものです。そういう意味では、内定式をはじめとする内々定者フォローは、学生の抱いているこうした不安を取り除くうえで重要であり、学生に「この会社を選んでよかった」と再認識してもらうことができる貴重なタイミングです。
 では、どのように内々定者フォローを実施していけばよいでしょうか。コロナ禍において、オンラインによるインターンシップ、企業説明会、面接などが浸透してきたなか、内々定者フォローは果たして「WEBか対面」のどちらがいいのでしょうか。
「内々定者フォローについて、どのように実施してほしいと思うか」という質問で、「内々定式」「内定者懇親会」「先輩との面談」「人事との面談」「社内見学・工場見学・施設見学」「研修」「アルバイト・インターン」それぞれについて、対面実施希望かWEB実施希望かを聞いてみました。
「対面で実施してほしい」の割合が高かったのは、「内々定式」(45.2%)、「内定者懇親会」(41.0%)、「社内見学・工場見学・施設見学」(61.6%)、「研修(講義やワーク)」(46.3%)、「アルバイト・インターン」(39.2%)となりました。他の内々定者や入社予定先の社員との交流など「1対多数」のコミュニケーションが想定される場面や、実際の職場環境の確認、学びの機会などのシーンについては、WEBより対面での実施を希望する割合が多くなりました。
 一方、「先輩との面談」「人事との面談」でも対面実施希望は多いものの、WEBか対面かで希望にそこまでばらつきがあるわけではなく、「WEBで実施してほしい」の割合も「先輩との面談」で14.5%、「人事との面談」で15.4%と、他の項目より高い数値となっていました。面談という「1対1」でのコミュニケーションについては、WEBでも事足りる、と認識している学生が多いのかも知れません。
図5:内々定者フォローについて、どのように実施してほしいと思うか
 もし、内定式を含めた今後の内々定者フォローの内容に迷われているという場合、今回ご紹介した学生の不安の種類や希望する実施方法の別に応じて、内容を工夫することが出来るかもしれません。例えば、次のようなものが考えられるでしょう。

【「社会人として活躍できるか」という不安を払拭する】
 先ほど紹介したように、「自分が新社会人として活躍できるかどうか」ということに不安を感じる学生は多くいます。そこで、学生と年齢の近い、入社年次の浅い若手社員に協力いただき、学生に対して「社会人になる前となった後の気持ちの変化」や「学生時代の学びが仕事で活かせた経験」など自身の学生当時の気持ちを振り返り、ざっくばらんに話してもらう座談会のような企画を内々定者フォローのコンテンツとして用意することで、学生の入社後への不安を軽減させることが出来るかもしれません。

【入社後の業務について説明する】
 また、自身の専攻を活かせるかどうかという点で、特に文系学生は自信を持てずにいる傾向にあるようです。そうした学生には、人事担当者、あるいは現場社員との面談等で入社後の業務を説明し、自身のこれまでの経験や学んだことがその業務にどのように活かせるか、その「つながり」を示してあげることも有効でしょう。
 入社後の仕事内容を説明することが不安の軽減につながることについては、2021年6月に実施された「大学生 活動実態調査」で示されています。内々定保有者を対象に、入社意思の最も高い企業から受けたフォローのうち最も不安が軽減されたものを聞いたところ、最も多かったのは「人事との面談」(35.6%)であり(【図6】)、面談で話した内容で不安が軽減されたものとして最も回答が多かったのが「具体的な業務内容(入社1年目の業務内容など)」でした(【図7】)。内々定に至った理由や選考のフィードバックなどを含む「適性について」も、学生の現在と入社後の「つながり」への安心を与えるうえで効果的でしょう。
図6:マイナビ 2022年卒 大学生 活動実態調査 (6月)より/【内々定保有者限定】内々定後に受けたフォローの中で最も不安が軽減されたもの


図7:マイナビ 2022年卒 大学生 活動実態調査 (6月)より/【最も不安が軽減されたフォローが「面談」だった人限定】何を話したことで不安が軽減されたか ※上位10項目を抜粋
【対面とWEBを使い分ける】
 コンテンツの内容だけでなく、実施する方法も重要です。先ほどご提案した「若手社員との座談会」のような、社員や他の内々定者との実際のコミュニケーションが想定されるコンテンツでは、十分な感染症対策を講じたうえで対面での実施を検討したり、逆に「入社後の業務内容について説明する面談」などは1対1でのコミュニケーションがメインになりますので、WEBで行ったり、など。内々定者フォローのコンテンツの内容に応じで、WEBか対面かをうまく使い分けていきます。

 などなど、学生の属性や抱いている不安などに応じてコンテンツの内容や実施方法などを変えることで、自社の内々定者に合ったフォローを行うことができます。もちろん、調査は6月~7月時点のものですので、新型コロナウイルスなど感染症の拡大に関する最新の情報を踏まえ、そしてなにより、学生の意向を最大限尊重して実施していくことが、「学生の心をつかむ内々定フォロー」に必要なことだと思います。
  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 HRリサーチ統括部

    株式会社マイナビ 社長室 HRリサーチ統括部

    雇用や労働に関連する様々な調査データやレポートを通じて、雇用の在り方や個人のキャリアを考える上で役立つ情報を発信します。

  • 人材採用・育成 更新日:2021/09/15
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