2020年度<21年卒>キャリア・就職支援への取り組み調査
1) 就職ガイダンスについて
2021年卒学生向け就職ガイダンスの延べ参加人数の全期間における増減を見ると、「減少」が38.1%と前年より10pt近く増加している。「インターンシップガイダンス」(19.5%、前年比6.4pt増)と「年明け」(42.0%、前年比12.0pt増)での減少が目立つ。大学3年早期から就職活動を意識してのインターンシップ参加や売り手市場という環境下での安心感などの影響があると見られるが、「年明け」については新型コロナウィルス感染拡大によると見られるガイダンス開催数の「減少」(18.3%、前年比10.8pt増)の影響が大きい。2022年卒向けの就職ガイダンスについては、「WEBで実施」との回答が7割(延期後+延期せず)を占めた。
2) 求人(票)の受付や障がいのある学生への就職支援の取り組み・学校推薦状の発行について
求人(票)の受付企業数では、「減少」との回答が40.8%(前年比27.7pt増)、人事担当者がキャリアセンターに求人(票)を直接持参した企業数では「減った」が67.4%(前年比61.7pt増)と、新型コロナウィルス感染拡大によるキャリアセンターの閉室や採用予定数の再検討などの影響を受け、例年とは全く違う様相を呈している。理系の推薦状の発行時期は、3月以前の合計が21.7%と、数年来の前倒し傾向がさらに強まる結果となっていた。緊急事態宣言が発令された4月に関しては前年を下回り、推薦状の発行にも新型コロナウィルスの影響が見受けられる。
3) 採用広報を目的としない企業を招いて実施する業界研究セミナーについて
2021年卒学生への採用広報を目的としない業界研究セミナーは、7割強の大学で実施されていた。参加人数は2020年卒と比較すると「減少」との回答が35.6%(前年比4.6pt増)で、減少傾向にある。開催回数について「減らした」が10.9%(前年比4.2pt増)であることから開催回数の減少が参加人数に影響を及ぼしていると言えるだろう。
開催時期は、2020年卒では「学部3年、院1年の11月」(28.4%)にピークが来ていたが、2021年卒については、「学部3年、院1年の10月」(21.3%)が「学部3年、院1年の11月」(21.1%)をわずかながら上回りピークの分散化と開催時期の前倒し傾向が見受けられる。
5) 低学年次からのキャリア教育(正課)やインターンシップについて
キャリア教育(正課)は9割近い大学が実施している。「大学1年次前期」(68.5%、前年比1.7pt減)から始めている大学が最も多く、「大学1年次後期」(12.9%、前年比2.2pt増)が続いており、キャリア教育(正課)を実施している大学のほとんどが大学1年からキャリア教育に取り組んでいることがわかる。大学で実施する単位認定等を行うインターンシップの有無に関して、2019年度については79.9%の大学が「ある」と回答しているが、2020年度の予定を聞くと「ある」は56.0%と2019年度より減少。「検討中」が11.3%という結果となった。新型コロナウィルス感染拡大の影響下において実際の現場でのインターンシップができない場合、WEBでのインターンシップの開催を認めるかどうか聞いたところ、「(今年度に限り+プログラム内容次第で)認める」が単位認定型では57.2%、自由応募型では84.3%という結果であった。WEB開催でも職場体験、仕事体験が実現でき、学生の職業観涵養や業界研究が可能となるプログラムを組んで行くことが肝要と言える。
6) グローバル人材について
日本国内での就職を希望する外国人留学生数の平均は38.9人と前年の27.5人を大きく上回った。ここ数年増加傾向が続いている。外国人留学生に対する就職支援については、「(日本人学生と区別して+区別せず)実施している+今年度実施予定はある」が8割を占めており、大学の就職支援も手厚い。一方日本人の留学経験者への特別な就職支援については、「実施しておらず、当座の実施予定もない」との回答が8割を超え、海外留学生はその留学時期に関わらず一般的な就職活動を行っていることになる。
新型コロナウィルス感染拡大による影響について自由記述で聞いたところ、インバウンド需要の縮小で求人情報が減る中、WEBでのガイダンスを始め、メール等での情報配信、定期的なアンケートと希望者の面談、例年以上にマッチングを重視する等、キャリアセンターの様々な支援が見受けられた。海外留学中の日本人学生についてもWEBでの支援が中心となっている。WEBで採用活動を行う企業も多いことから、留学先でタイムラグなく就職活動ができるので活用するように勧めている大学や、全留学生を帰国させている大学も見受けられる。
7) 新型コロナウィルス感染拡大が大学の支援やキャリアセンターの業務に及ぼす影響について
新型コロナウィルス感染拡大により、94.6%が大学内への立ち入り制限を行っていた。国公立(86.0%)より私立(97.0%)のほうが立入り制限を行う大学が多かった。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、通常とは違う何らかの変更を行ったと回答したキャリアセンターは84.6%あり、何らかの変更を行った時期は、やはり緊急事態宣言が発令された4月上旬が51.4%で最も多い。そのような中でも開室していたキャリアセンターは37.0%あり、国公立では46.2%と開室していた割合が高い。学生からの相談対応については、「電話」(87.1%)、「メール」(86.7%)、「WEB」(77.6%)などを駆使して行っていたようだ。行った支援について複数回答で聞いたところ「就職相談全般」(93.1%)が最も多く、「模擬面接」(85.4%)、「エントリーシート添削」(84.6%)が続いた。WEBでの支援は9割のキャリアセンターが今回からの対応だと回答している。健康診断等の企業への提出書類の発行時期は「遅らせた」が67.2%にのぼった。学内立入り制限により健康診断ができない等によるところが大きい。
- 調査・データ 更新日:2020/08/24
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