【第3回】HR Tech の今後の展開 ~ヒトと人工知能(AI)が協創する人財マネジメントの未来とは~
第2回目ではマイナビと三菱総合研究所によるエントリーシートの優先度診断を紹介したが、さらに同社は新サービスとして「辞退者予測サービス」の提供を開始した。
新卒採用の課題の1つに、「優秀な学生の辞退をいかに減らすか」がある。選考プロセスが進むにつれて、選考を途中辞退する学生が増えてくる。特に、優秀な学生は引く手あまたであり、その学生に他に意中の企業があれば、辞退する確率は高い。そのような学生に対してはフォローアップを実施し囲い込みたいが、フォローアップは人手のかかる作業であり、効率的に行う必要がある。
そこで登場したのが「辞退者予測サービス」だ。辞退者予測サービスでは、人工知能(AI)によって計算された各応募者の選考途中で辞退する確率を提供する。「エントリーシート優先度診断サービス」と組み合わせて使うことで、優秀で辞退する確率の高い学生が判明する。これらの学生に絞り込むことで、効率的な内定後のフォローアップが可能となる。
このような予測を可能にしたのが、三菱総合研究所で開発された人工知能エンジンだ。このエンジンでは、エントリーシート等のデータから、辞退する応募者に共通して見られる隠れたパターンを発見する。データからの隠れたパターンの発見は、人手では困難であり人工知能活用の真骨頂である。
一方で、どの学生をフォローアップするのかの最終的な意思決定や、具体的にどのようなフォローをするのかのコミュニケーションについては、引き続き人事担当者の役割であり、腕の見せどころである。
今後は、採用プロセスという入り口だけでなく、早期退職、研修・教育、人財配置といった、企業の人財マネジメント全体への HR Tech サービスの展開が予想される(図1)。しかしながら、これらのサービスを実現するとなると、もしこれまで活用方法が見出だせず人事情報を破棄していた場合、新たに人事情報DB の構築、データの蓄積・管理が必要になる。HR Tech サービスと、人事情報の蓄積・管理の方式・仕組みづくりは表裏一体である。

- 人材採用・育成 更新日:2017/02/14
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