経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
1

マイナビの深い企業理解が有望人材獲得のカギに
グローバル人材が社員同士の結び付きを強化

/news/news_file/file/thumbnail_s-column-051.jpg 2
いま、国内の採用市場は人口減の影響がありながらも、大卒者数が増えているために危機的な人材不足にまでは至っていませんが、長期的に見れば人材不足が進み続けることはほぼ間違いありません。

こうした人材不足を補う意味でも「グローバル人材」が注目されていますが、単に補充要員として捉えるのではなく、日本人とは異なるバックグラウンドを生かした採用で事業全体の強みを増している企業もあります。

そんな企業の一つが、神奈川県に拠点を置く富士工業株式会社。マイナビの「グローバル人材紹介サービス」をご利用いただき、有望人材の獲得に成功されました。

社名:富士工業株式会社
本社:神奈川県
事業内容:厨房用電気製品の開発・製造・販売
設立:1941年12月
従業員数:約900名(グループ連結・うち、グローバル人材12名)
URL:https://www.fujioh.com/

  • グローバル人材の採用母集団不足
  • 社風を理解した定着の良い人材の紹介

― 斎藤さん、今日はよろしくお願いいたします。まずは、御社がグローバル人材の採用を始めた経緯を教えてください。


斎藤さん: はい、よろしくお願いします。きっかけは、今の社長が役員だったころの決定です。8年ほど前だったと思います。とある日「外国人留学生向けの合同会社説明会に参加してみませんか?」と人事に声が掛かりました。

当時、私たちは寝耳に水で、大変驚きました。でも、今思えば本当に英断だったと思いますね。

― 「今にして思えば英断」の理由をこのインタビューでは伺っていきたいと思います。まずは、当時グローバル人材の採用を始めた理由を教えてください。


斎藤さん: 弊社はいわゆる中堅の典型的な国内色の強いメーカーでした。幸い業績は堅調でしたが、当時はグローバル人材採用に対して賛否があったのも事実です。その状況下で今の社長が当時言っていたことが「言われてモノを作る時代は終わる」という言葉です。

開発力と安定感のある経営でメーカーとして一定の地位を築いていましたが、さらにチャレンジの必要があると判断したんですね。

― 今年の新卒採用ではマイナビの「グローバル人材紹介サービス」をご利用いただいたということですが、その経緯はどのようなものですか?


斎藤さん: もともとはグローバル人材の採用においても、専門の合同会社説明会に出て母集団形成をし、採用していくフローを組んでいました。しかし、コロナ禍の影響もあって、こうした方法での母集団形成が難しくなってしまったんです。留学生本人との接触がほとんど持てなくなりました。

そこで、これまでも新卒採用でお付き合いのあったマイナビさんにグローバル人材の紹介をご依頼した次第です。

― 新卒採用と違い、グローバル人材紹介サービスは名前のとおり、「プッシュ型」の採用手法となります。ご利用なさってみていかがでしたか?


斎藤さん: 先ほどお伝えしたように、マイナビさんとは国内新卒採用で長年のパートナーシップがありました。
そのため、弊社が求める人材像をすでに把握してくださっていましたので、紹介いただいた人材と弊社が求める人材像には大きなズレはありませんでしたね。

安定志向よりも挑戦志向、そして日本の典型的なメーカーである当社の社風を理解してなじんでくれる方を複数名ご紹介いただいて、その中から採用に至りました。

― 実際に採用された方はどのような方ですか?


斎藤さん: それが驚いてしまうんですが、マレーシアの現地で当社の主業であるレンジフードなどを製造する工場でアルバイト経験がある留学生でした。ビジネス志向も強く、しかも日本語を含めた4カ国語が話せます。

コロナ禍だったのでオンラインでの面接になったのですが、当社として初めて、一度も直接お会いすることなく内定を出しましたね。社長からも最高評価が出たんです。

【グローバル人材紹介サービス担当者からのコメント①】

人柄重視の採用をされていることを把握していましたので、ご紹介する人材を選ぶに当たって重要視したのは、「自分の理想や目標を語れるかどうか」でした。
今回ご紹介した人材はその中でも富士工業様の製品に近いものを製造するアルバイトをしていた経験があったので、「この人だ!」と思いご紹介しました。

― 「安定志向よりも挑戦志向」というのは、御社がグローバル人材の採用を始められた経緯からも納得の条件ですね。その志向で採用を続けてきて現在、御社の様子はいかがですか?


斎藤さん: 採用を始めたのが8年前ですから、その時の新入社員が活躍を始めるタイミングと言えます。今期ようやく1名、中国の現地法人に赴任してもらうことになり、一歩進んだかなというところです。

一方で社内の雰囲気という意味では、グローバル人材が共通して持っている高いキャリア志向はいい影響を与えていると感じますね。

日本の学生さんにとって当社は、やはり「安定感」が第一のイメージなんです。しかし、留学生には当社に固定されたイメージがありません。つまり、安定しているから就職したい、という意識が日本人と比べると相対的に低いんです。

むしろ、自分のキャリアのために当社でやりたいことがはっきりしています。実現したいことが明確なんです。

当事者から見れば、海外である日本で就職をしたいという意識のある方ですから、ある意味当然かもしれませんが、マイナビさん側で事前にしっかりと面談していただいているからこそ、その中でも特にキャリア意識の高い方をご紹介いただけたのではないかと思っています。

― なるほど。それが御社の求める挑戦心につながっていくわけですね。


斎藤さん: そう期待しています。実際、日々の業務の中でもいい意味での「違い」は感じますね。納得するまで議論するし、上司や先輩にも何かおかしいと思えば進言しますし。

この「違い」が仕事にメリハリを生んで、横のつながりを強化していると感じます。

― 具体的にどのような効果でしょうか?


斎藤さん: グローバル人材を中心に同期の結束が強まっているようなんです。弊社では入社後の1年間は部署配属を行わずに生産現場実習をするのですが、そこで培われた絆に加えて、グローバル人材がもたらす結束力を強く感じます。

生産実習の後はそれぞれ適性などを加味した部署配属になりますが、横のつながりが維持されているので、部署をまたいで新しいアイデアが創出されています。

もともとオープンな社風ではあるのですが、どうしても多少はセクショナリズムが生まれてしまうものです。しかし、同期の中にグローバル人材がいる世代ではその影響は小さいかもしれません。

― 御社ではすでにグローバル人材の採用を始めて8年以上が経っていますので、いまお話しいただいたような結束力の強い世代が続いていることになります。その影響はいかがですか?


斎藤さん: 先ほど「横のつながり」という言葉を使いましたが、それが長年続くことで「斜めのつながり」も生まれています。入社年度も部署も飛び越えたつながりです。

これには、グローバル人材同士の結束力の強さも影響しているようです。弊社でも内定式は執り行っているのですが、社が用意した場とは別に、グローバル人材だけが集まって歓迎会をやっているそうです。

初期に入社した数名は「自分たちが先輩として新たに入社するグローバル人材を引っ張らないといけない」と強い使命感を持って、自主的に縦のつながりを形成してくれています。これが結果として「斜めのつながり」を生み出しているんです。さらなる新しいアイデアの創出に寄与してくれると期待しています。

― そういった現象が御社全体にもたらす影響はどのようなものだとお考えですか?


斎藤さん: 日本人だけを採用していたのでは生まれ得なかった新しいアイデアから、事業が成長することです。弊社ではようやくグローバル人材の割合が1%になったばかり。これからどんどん増やして、会社の成長を推進したいですね。

― ひとつ具体的なことをお伺いしたいと思います。グローバル人材の採用を考えている多くの企業では、その「見極め」をどうしたらいいのかと困っているようです。御社のように一定した志向で上手に採用を進めるポイントはなんですか?


斎藤さん: 当社としては特別なことはしていませんね。オーナー企業という特徴もあり、その人柄への理解、カルチャーフィットは大切にしていますが、国籍は関係ありません。挑戦心があって、意欲の高い人なら採用しています。

ただ、カルチャーフィットを考える上では日本語力はどうしても必要になってくるのは事実でしょう。とはいえ、JLPT(※)のランクを気にするということはありません。あくまでも、本人と話した内容で判断します。

― 動機形成の面ではどのように対応されていますか?


斎藤さん: 今回「グローバル人材紹介サービス」から採用した人材については、どうしても採用したかったので、1〜2時間ほどの時間をとって彼のバックグラウンドや当社のことをお互いに話す時間をとり、動機形成の時間としました。

それはグローバル人材だからというわけではなく、とても優秀だったからです。そうでなくとも、当社の場合は時間をとって相手を理解し、当社のことも理解してもらうということは大切にしていますね。

― 入社後も特別な対応はしていないのでしょうか?


斎藤さん: ビザ関係や住居関係などで一部サポートはしますが、基本的には日本人の社員と同じです。

ただ、このコロナ禍で彼らが帰国できないことは苦慮しています。2週間の隔離期間を現地で1回、日本で1回となると、会社の夏休み程度では日数が足りないんですよね。

グローバル人材自身も「特別扱いはしてほしくない」と言いますが、帰国休暇のような特別な制度は彼らのモチベーションを保つためにも必要かなと考えています。

― 今日はありがとうございました!


【グローバル人材紹介サービス担当者からのコメント②】

グローバル人材にとって、富士工業様はとても魅力的な企業です。面接を受けた方が全員「自分のことを知ろうとしてくれた」と話すとおり、国籍に関係なく「1つのチーム」を形成しようとしていると感じられます。
グローバル人材の採用において、この考え方は重要です。これからも、多様なバックグラウンドを持った人材をご紹介したいと思います。

※ JLPT:日本語能力試験のこと。日本語能力をN5(基本的な日本語をある程度理解できる)〜N1(幅広い場面で使われる日本語を理解できる)のランクに分けて認証を与えている。通常、N2以上でビジネスレベルといわれる。
多様な人材を採用することで社員同士の結束が高まるという話は、意外なようで、実は理にかなったことだと感じました。

生まれ育った環境は異なりますが、その見極めを日本人と同基準の「カルチャーフィット」で行うことで、会社になじみながらも違いを生かし、社員同士の結束をより高める存在として活躍してくれるようです。

そのためにも、自社が求める人物像をしっかりと捉えることや、その人物像を把握したパートナー選びは重要ですね。

この視点はグローバル人材に限らず、多くの企業で参考になるものではないでしょうか。 本記事が、皆さまの採用のお役に立てることを願っています。

お問い合わせ