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はじめてのグローバル人材採用で実感! 人材不足解消だけではない大きなメリット

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人材不足で売り手優位の状況が続く国内の採用市場。業界によってはさらに厳しい状況に置かれている場合もあります。

そんな業界の一つが建設業界。学生数も限られる上、人材が大手ゼネコンに偏りがちで、中小以下の企業が特に厳しい状況に置かれています。

今回ご紹介するのは、そんな状況を打破する一手としてグローバル人材の採用に踏み切った、千葉県の中堅総合建設業、山田工務所です。

採用までの経緯やグローバル人材へのフォロー体制など伺ってみました。

社名:株式会社 山田工務所
本社:千葉県
事業内容:建築物の企画・設計・監理など
設立:1950年(法人設立1957年)
従業員数:39名
採用人数:10名(うち、グローバル人材4名)
URL:http://yamada-koumusho.com/

  • 施工管理・営業ポジションの人材不足
  • グローバル人材の採用によって人材不足を解消

― 並河さん、今日はよろしくお願いいたします。まずはグローバル人材の採用に至った経緯を教えていただいてもよろしいでしょうか?


並河さん: はい、よろしくお願いします。弊社の場合、最初からグローバル人材を採用したいと考えていたのではなく、施工管理と営業のポジションに入っていただく新卒の人材を探していたことが、もともとの経緯です。

バブル崩壊以降、建設業界は「建設氷河期」といわれる時期がありまして、景気が冷えて弊社も人材の採用ができない時期がありました。そのため現在、社員の年齢バランスが崩れてしまっており、若手の採用に力を入れているんです。
しかし、建設業界を志望する学生は数が少ない希少な人材で、特に施工管理のポジションは専門的な資格も必要となります。さらに、大手ゼネコンが早期に囲い込んでしまうため、採用の難易度が非常に高いんですよね。

そこで考えたのが、日本の高専(※ 高等専門学校:専門的なカリキュラムを持つ5年制の高校)がモンゴルに持っている学校の学生たちです。その学校を卒業すれば日本の高専を卒業したのと同じ資格を持つことができ、その後の専門資格獲得の道も拓ける。まずはインターンシップの受け入れから始めてみようか、と社内で検討していたんです。

― なるほど。マイナビからのサービス紹介の前に御社としては人材不足の解消のためグローバル人材に目を向けていらっしゃったんですね。


並河さん: はい、そうですね。マイナビさんにはもともと新卒採用を含めてお世話になっていました。そこで、先ほどお話したような採用が難しい状況をご相談したところ、グローバル人材紹介サービスをご提案いただきました。もともとモンゴルの高専生を受け入れるつもりでいましたので、話はスムーズに進みましたね。

結果、2021年卒の新入社員は10名、うち4名がグローバル人材となりました。

― 日本から6名、グローバル人材から4名の採用ということですが、面接される際に意識している点はありますか?

並河さん: 国籍にかかわらず、長い目でみたキャリアプランを聞くようにしています。その中で感じたのは、グローバル人材が持つ高いキャリア意識です。

マイナビさんからご紹介いただいた人材は全て日本への留学生だったのですが、わざわざ海外留学をして現地で就職をしようと考えている彼ら・彼女らは自分の将来をとても深く考えています。

― 確かに、海外の企業に就職するとき「なんとなく」という動機はないですよね。そのキャリア意識はどのようにプラスに働くと感じられますか?


並河さん: 日本で一生働いていこうと考えている方もいれば、20年後には母国で会社を起こしたいと考えている方もいますが、いずれにせよ「今、自分がすべきこと」「○年後に必要となる資格」などをはっきりと自覚しています。

つまり、成長の意欲が高いということです。専門資格の取得にしても、仕方なく取るということはないですね。自分のキャリアにとって必要なので取る、と目的意識がはっきりしている分、成長が期待できると思っています。

【グローバル人材紹介サービスのポイント①】

山田工務所様は、グローバル人材の採用を目的としていたのではなく、「施工管理」と「営業」のポジションに入れる新卒人材を探していらっしゃいました。

特に「施工管理」については「建築施工管理技能士」など専門資格が必要な業務です。取得のための条件も細かく規定されていますので、その要件を満たす外国人留学生を探してご紹介しました。

― 会社として資格取得のサポートなども行っていらっしゃるのでしょうか?


並河さん: はい、支援金などの制度で資格取得をサポートしています。こうした専門資格は入社後から取ってもらえれば大丈夫なのですが、運転免許証は入社前に取得していただく必要があり、これには特別なサポートが必要でしたね。

― 具体的にどのようなサポートでしょうか。


並河さん: 弊社は千葉県にあり、日常的に車での移動が必要になります。そのため、入社の条件として自動車免許の取得を求めることになるのですが、取得のための資金を本人が用意できないという状況を想定していました。

とはいえ、入社前の人材に対して会社からできるサポートは経理処理上の問題もあり、限られます。そこで、運転免許証の取得費用を一時的に会社が負担し、入社後に給与から天引きする形で少しずつ返済してもらうスキームを作りました。

― それは手厚いですね。他にはどのようなサポートを行われましたか?


並河さん: 住居に関するものですね。外国の方が家を借りる場合、やはり日本人よりはハードルが上がりますので、本人が選んだ物件を法人契約して会社が借り主になる、という制度も作りました。
入社後は家賃の半額を負担し、家賃補助もしています。

― 入社する方にとってはありがたい制度だと思いますが、それを間違いなく伝えるということは難しいように思います。


並河さん: そこはマイナビさんのサポートが本当に助かりましたね。労働条件や福利厚生などを含めた制度の説明は双方が正しく理解し、不安を解消することが必要です。もちろん会社からも丁寧に説明はしますが、細かいニュアンスなどは伝わっているかが不安になることもあります。今回はマイナビさんにも間に入っていただき、再度の確認や説明をしていただくだけでなく、時には母国語でサポートしていただくこともありました。

中立の立場から弊社と学生の両方の視点で上手にサポートしていただいたという印象です。

【グローバル人材紹介サービスのポイント②】

山田工務所様はもともと、1日の中で会社説明会と面接を行うワンデー選考を行っておられましたが、外国人留学生がしっかりと企業理解してから面接に臨めるよう、「ウェブ会社説明会→人事面談→役員面接」というフローへの変更をご提案し、受け入れていただきました。

ウェブ説明会にはマイナビのキャリアアドバイザー※が同席し、外国人留学生とマイナビとの個別面談で改めて(必要があれば母国語で)説明するなどのサポートもご提供しています。
※企業と学生の間に入って、学生の不安を解消することを目的にフォローを行います。スピード感をもって正確に情報を届けるためにリクルートアドバイザーも兼ねています。

― 最後に、現場での受け入れについてお聞きしたいと思います。現場の皆さんはグローバル人材の採用に当たって、何か反応を示されましたか?


並河さん: 驚いてはいたと思います。 ただ、業界特有の事情かもしれませんが、受け入れに当たって抵抗感はなかったと思いますね。

建築・建設業界ではこれまでも普通に外国からの特定技能実習生を受け入れてきましたし、現場に入るパートナー企業の職人さんに外国の方がいらっしゃるのも普通のことですから。

― 御社としてはこれからもグローバル人材の採用を続けていきたいとお考えでしょうか?


並河さん: はい、そうですね。先ほどもお話ししたように成長意欲が高く、資格取得に対しても積極的なので、非常に期待を寄せています。

建設業界に限らず、他の業界の皆さんもぜひグローバル人材の採用を考えてみていただきたいですね。

グローバル人材の採用に当たって、ビザ申請や生活に関わる個別のサポートは確かに必要になります。ですが、会社として対応する分にはそれほど難しいものではありません。

また、当社もグローバル人材の採用を始めたばかりですが、採用した本人とはお互い経験がないから協力し合ってやっていこう、というスタンスで接しています。その結果、困難を一緒にクリアしていく中でより強い信頼関係が築けているとも感じます。

本当に優秀な人材が多いので、メリットの方が上回るはずです。チャレンジする価値はあるはずですよ。

― 今日はありがとうございました!


人材不足の解消にグローバル人材の採用に踏み切った山田工務所さんのお話で印象的だったのは、紹介された人材の「成長意欲が高い」ということでした。

確かに、海外へ「なんとなく」で就職する人はほとんどいません。何かしらの目的があるはずです。その強い目的意識が、成長を促し、早期の戦力化が見込めるかもしれません。

建設業界にかかわらず、グローバル人材の採用を積極的に考える一つの大きな理由になるのではないでしょうか。

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