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面接官マニュアル|中途採用面接での質問内容やポイントを徹底解説

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面接官が質問・面接の方法を見直すだけで、面接の質は格段にアップします。逆に、適切でないアプローチを取ると、求職者と面接官の双方に不満が残る結果となることもあります。

本記事では、面接官の心得や影響力、面接開始時の重要なポイント、質問をする際に心がけたいポイント、確認すべきビジネススキル、面接官がやってはいけないこと、禁止されている質問、現場担当者が採用面接に入る場合の注意点、面接後に行うべきことについて解説します。


面接官の心得

面接官は会社の顔としての自覚を持つ

特別なコネクションを持っている場合を除き、求職者にとって企業との唯一の接点は、採用担当者・面接官です。

採用現場での会話は、求職者にとって企業の声そのものとなります。万が一、会話の中で至らぬ点が見受けられれば、優秀な人材が逃げてしまうばかりではなく、面接官個人の信頼性、ひいては会社としての信頼が失墜する可能性があることを忘れないでください。

求職者も面接官を「面接」している

採用面接は求職者にとって、会社の内情を映し出す鏡のようなものです。特に中途採用面接の場合、応募者側がある程度のビジネス経験を持っていることが前提となるため、逆に面接官がビジネスパーソンとして優れている人物かどうか判断される場合もあります。適切な対応を取れなければ、面接官の印象が会社全体の質を問われる要因となるかもしれません

企業価値向上のために、ビジョンや人柄を踏まえた採用をする

選考の結果、企業文化に合わないと思われる人材は、たとえ優秀であっても採用を避けるべきでしょう。よほど「今の会社を変えたい」といった強い意志がない限り、せっかくの能力も発揮できない可能性があります。面接では、優秀さだけを基準とせず、以下のような点をしっかりと見極めて採用可否を検討する ことが重要です。

  • 社風に合う性格や人柄であるか
  • 企業のビジョンに合った考えを方をもっているか
  • 仕事内容に合致するスキルを持っているか

このように、面接官の影響力と企業文化の整合性を意識することで、より良い人材を採用し、企業全体の価値を向上させることができるでしょう。


面接官の影響度

転職先を決定する上での人事・面接担当者の影響度は非常に高い

マイナビ転職が実施したアンケートによると、約8割の求職者が人事や面接担当者の印象が転職先の決定に影響を与えたと回答しています。

面接官は求職者にとって企業の代表であり、その対応や態度が企業全体のイメージに直結します。したがって、面接官は自らの言動に責任を持ち、求職者に対して誠実かつ丁寧な対応を心掛けることが求められます。


面接準備のポイント

面接前のチェックリストを確認

面接を成功させるためには、事前の準備が不可欠です。以下のチェックリストを参考に、万全の体制を整えましょう。

会場の整備

面接を行う場所は、静かで落ち着いた雰囲気を保つことが重要です。清潔感のある空間を用意し、応募者が安心して話せる環境を作りましょう。具体的には、以下のポイントに注意してください。

  • 音響環境
    外部の音が入らないように、静かな部屋を選びましょう。必要に応じて、音響パネルの設置も検討します。
  • 照明
    明るすぎず、暗すぎない適切な照明を確保し、応募者がリラックスできるようにします。
  • 座席配置
    面接官と応募者の距離感を考慮し、対面式の配置を選ぶことで、より親密なコミュニケーションを促進します。

     

時間の確保

面接の時間をしっかりと確保し、他の業務に追われることなく、応募者に集中できるようにします。具体的には、以下の点に留意しましょう。

  • 余裕を持ったスケジュール
    面接の前後に余裕を持たせ、応募者とのコミュニケーションやフィードバックの時間を確保します。
  • 時間管理
    面接の進行をスムーズにするために、タイムキーパーを設けることも有効です。

質問内容の準備

応募者が答えやすい質問を事前に考えておくことで、スムーズな会話が生まれます。具体的な質問を用意することで、応募者の本来の能力を引き出すことができます。

応募者がリラックスできる環境作り

面接では、誰でも少なからず緊張してしまうものです。面接官はこのことをよく理解し、応募者がリラックスできる環境を整えることが求められます。特に、応募者が自分自身をアピールする機会は少ないため、面接官の役割は重要です。面接官は、笑顔で出迎え、歓迎する気持ちを持って接することが大切です。入社を決めた理由として、面接官の印象が「非常に話しやすく魅力的だった」と挙げられることは少なくありません。

また、着席後は応募者が答えやすい質問やアイスブレイクを取り入れ、緊張をほぐす工夫をしましょう。例えば、「ここまで道に迷いませんでしたか?」といった導入質問をすることで、緊張した空気がほぐれてくるはずです。自然と答えられる質問からはじめることで、応募者は「今日は話せる」と感じ、リラックスして面接に臨むことができるようになります。

面接前のアイスブレイクについて、詳しくは以下の記事もお読みください。
関連記事:面接前アイスブレイクのコツ。求職者の緊張をほぐし、最大限の魅力を引き出すポイント

効果的な質問例や作成方法とは。失敗例と改善ポイントも

質問の種類を組み合わせる

面接における質問は、応募者の能力や適性を見極めるための重要な手段です。面接設計の段階で質問の目的を明確にし、効果的な質問を作成することが求められます。例えば、オープンエンドの質問(例:「あなたの強みは何ですか?」)とクローズドエンドの質問(例:「このスキルは持っていますか?」)を適切に組み合わせることで、様々な角度から応募者に対する深堀りが可能となります。

オープンエンドの質問は応募者の考えや価値観を引き出すのに有効で、クローズドエンドの質問は具体的なスキルや経験を確認するために役立ちます。このように、質問の種類を使い分けることで、応募者の全体像をより正確に把握することができるでしょう。

行動面接の質問例

行動面接では、過去の経験に基づいた具体的な行動を引き出す質問が効果的です。「過去にチームでのプロジェクトで直面した課題は何でしたか?その際、どのように対処しましたか?」といった質問を通じて、応募者の問題解決能力を評価します。

技術的なスキルを評価する質問はより具体的に

技術的なスキルを評価する際には、できるだけ具体的なシナリオを提示し、応募者のスキルを実際に試す質問を考えることが重要です。

「当社では~のプロジェクトでどのように技術を活用しますか?」「この技術を用いて、具体的にどのような課題を解決できますか?」といった質問を通じて、応募者の実践的なスキルや問題解決能力を判断することができます。

よくある失敗例と改善ポイント

case1:「応募者が何を言っているのかよく分からない」

面接でよくある困りごととして、「応募者が何を言っているのかよく分からない」という状況があります。これは、緊張や面接官の質問の不明確さが原因のケースが多いです。

例えば、志望動機を聞こうと思い、「当社の印象はいかがですか?」と質問したとします。この質問では、応募者にとっては入社への誘いを受けているのか、それとも志望動機を聞かれているのか分かりません。その結果、「是非お願いいたします。」など曖昧な返答につながります。面接官としては回答の意味が分からず困惑しますが、自身の質問の仕方が悪かったことにはなかなか気づきません。

志望動機を聞く際には、「当社の印象はいかがですか?」ではなく、「当社に応募した理由を具体的に教えてください」といった明確な質問をすることが重要です。

case2:「スキルの程度が見極められない」

応募者のスキルを見極める際、曖昧な質問を避けることが重要です。具体的な活用シーンを提示し、応募者のスキルをより正確に評価できる質問を考えましょう。

例えば、「当社ではビジネスシーンで英語での会話が伴うのですが、その程度の英語は話せますか?」といった具体的な質問を通じて、相手がより具体的にイメージできるよう質問を工夫しなければなりません。


中途採用面接で確認したいポイント

前職への入社動機

入社動機は、応募者の「働くことについてのポリシー」を示しています。働く目的に妥当性や一貫性があるか、企業文化や配属先に適しているかを判断しましょう。

「なぜその業界を選んだのか?」「その職種に対する情熱はどのように育まれたのか?」といった質問で、応募者の動機を深掘りするとよいでしょう。

前職の退職理由

求職者が前職で持っていたポリシーに基づいた仕事が、なぜ実行できなくなったのか、その時にどういったアクションをしたのか確認してください。目的転換の理由の妥当性やロジカルシンキング力、自社との適合性を見極めるポイントとなります。

「前職での課題は何でしたか?それに対してどのようにアプローチしましたか?」といった質問をするとよいでしょう。

詳しくは、以下の記事もお読みください。
関連記事:退職理由から求職者の嘘と本音を見抜く!面接での質問ポイント

仕事の実績

入社後にどのような貢献ができるかの判断基準として、前職の業務実績を確認しましょう。リソースや期間、目標値などの前提条件を明確にし、自社との条件差を比較することで、入社後の貢献度をイメージできます。

スキル・ノウハウの有無

自社で保有する以上のスキルやノウハウを持っている場合、業務改善や利益拡大等に直結する可能性が高まります。

「あなたが前職で行った改善策は何ですか?その結果、どのような効果がありましたか?」といった質問をすることで、その人が持つ発想や実践的な知識を評価できるでしょう


面接官が注意すべきこと

面接の目的は、即戦力かつ企業の方向性に合った人材を採用することです。面接官はこの目的に従い、応募者を見極める必要があります。よくある落とし穴として「ハロー効果」と「仲間探し」があります。

ハロー効果

ハロー効果とは、元気よく応答する応募者に対して一辺倒に好感を持ち、能力判定を怠ることで、バイアスの一種です。応募者の第一印象に惑わされず、能力や適性を客観的に評価するための基準を設けることが重要です。

仲間探し

仲間探しとは、「一緒に働くにふさわしい好感の持てる人材」を基準として、「こんな仲間がいたら良いな」という感覚から合格を出してしまうケースです。

人物として企業にマッチしているかもしれませんが面接官は、応募者の人柄だけでなく、即戦力としての能力を重視する姿勢を持つことが求められます。

面接で禁止されている質問

人権侵害や男女雇用機会均等法の侵害につながるおそれがある質問はしてはいけません。ほかにも、以下に当てはまる内容の質問はNGです。

  • 本籍や出生地、人種・民族に関する質問
  • 家族の職業や資産・収入情報、住居状況など家庭環境や家族構成に関する質問
  • 支持政党や宗教、人生観、社会観に関する質問
  • 社会運動歴(学生運動や消費者運動など)に関する質問
  • 女性のみに「結婚予定の有無」や「子どもが生まれた場合の継続就労希望の有無」の質問をすること

面接での禁止質問については、以下の記事にて詳しく解説しています。
関連記事:面接官が注意したいNG質問・NG行動とは?対策・対処法も紹介


現場担当者を巻き込むときの注意点

大規模な採用を行う場合や現場が採用選考に関わる場合、他部署の社員が面接官を務めることがあります。しかし、現場社員は、面接官としての経験が不足している場合が多いため、まずは面接官としての心構えを伝える時間を設け、面接の目的や人材を選ぶポイントについて人事部との見解を一致させておくことが大切です。

必要に応じ、面接官としての基本的なスキルや知識を身につけるためのトレーニングを実施し、現場社員の理解を深めましょう。また、セクハラやパワハラに該当するような質問が投げ掛けられないよう、面接官としての心構えを正しく伝える必要があります。

面接後にやるべきこと

応募者情報や合否結果の管理

応募者情報(履歴書)や合否結果は個人情報そのものです。流出や紛失を防ぐため、厳重・厳格な管理体制 が求められます。ペーパーレスでの運用を行い、情報漏えい対策を徹底しましょう。例えば、採用管理システム「アクセスオンラインキャリア」などを導入し、安全に管理することが重要です。システム管理をしない場合であっても、履歴書や応募者に関する情報を取り扱う前には下記のような社内規定を設け、運用をしてください。

  • 履歴書を扱う担当者の範囲
  • 保管方法
  • 返却の有無
  • 破棄方法
  • 不採用者から返却要望があった場合の対応


採否連絡は早めに、不採用でも必ず連絡!

合否結果が出たら、返答を引き延ばさずにすぐに求職者へ連絡するようにしましょう。あらかじめ連絡期限や目処を設定し、求職者へは面接終了時に伝えておくと良いでしょう。

面接官の心得のまとめ

面接の進行方法を誤ると、思わぬミスマッチを招きかねません。応募者の素質を見抜けず、貴重な人材採用を逃してしまう可能性もあるため、面接官は応募者との対話を通じて、能力や適性を正確に評価することが求められます。

面接官には、単なる質問者ではなく、応募者の潜在能力を引き出すファシリテーターとしての役割を果たす「面接マネジメント力」が求められています。面接の質を向上させるためには、事前の準備やフィードバックを通じて、継続的な改善を図る姿勢が不可欠といえるでしょう。


  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2023/06/16
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