採用でロジカルシンキングを見極める5つの質問方法
筋道を立てて推論や結論を導き出す「ロジカルシンキング」ができる人材は、あらゆる業種や職種において常に必要とされています。取引先との商談、部署同士の重要な会議、上司や部下に対する説明など、相手を説得するためのコミュニケーションが求められる機会は数えきれないほどあるからです。
実は、そんなビジネスの世界において必須スキルとも言えるロジカルシンキングの有無を、面接の質問で浮き彫りにする方法があります。その方法とは、「論理的な思考力が必要となる質問を面接の中に織り交ぜる」こと。これにより、自ずと求職者の持つスキルが可視化されるのです。
ここでは、ロジカルシンキングができる人材を見抜く5つの質問方法を紹介します。
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①オープン・クエスチョンを基本とする
前提として、求職者がロジカルシンキングできる人かどうかを見極めるには、「オープン・クエスチョン」形式で質問をすることが重要です。これは、「自由な形式で回答できる質問」のこと。「これについてどう思うか?」「なぜそのように考えるのか?」といった質問をできるだけ多く面接の中で取り入れると、相手の思考の癖を見ることができます。
この時に回答者がきちんと主張+根拠を含めた形で受け答えできるかどうかが、ロジカルシンキングができる人材を見分ける一番のポイント。特に、「なぜそのように思うのか(行動したのか)」という「理由」をきちんと面接の中で追い、どこまで的確に相手が受け答えできるかを見ていきましょう。
②結論から先に話しているかチェックする
「1つの事象を分析する際に、最低5回は『なぜ』をくり返せ」という、トヨタ自動車で用いられている業務分析の手法をご存知でしょうか。この手法は、採用面接においても応用可能です。
1つの答えに対して、「それはなぜですか?」と何度も理由を突き詰めていく。それによって、その人が普段からどれだけ物事に対して問題意識を持ち、ロジカルに思考できているかを確認できます。例文を見ていきましょう。
志望者「御社のおおらかで家族的な社風に惹かれたためです」
面接官「では、なぜ弊社が家族的な社風であると感じたのでしょうか?」
志望者「はい、前職の業務上のご縁で、御社の何人かの社員とお話をする機会がありました。その際に社員の方々の人柄を通じて、御社の社風の素晴らしさを知りました」
面接官「なぜ、弊社社員を見てそう感じたのか、理由を簡単に教えていただけますか?」
志望者「はい。それは(以下続く)」
ただし、しつこくストレートに「それはなぜですか?」と確認し続けていくと、場合によっては面接の雰囲気が悪くなりかねません。質問の聞き方を工夫して、相手に不快感を与えないようにして下さい。
④複数の理由を回答してもらう
ある質問に対して、こちらで設定した「キーワード」を用いて、即興で回答してもらう方法もあります。たとえば、このように聞いてみるといいでしょう。
面接官「あなたが、前職で得た経験をどのように当社の業務で活かせるか、今から言う3つのキーワードを必ず含めた上でご回答ください。キーワードは『協調性』『リーダーシップ』『キャリア』です。それでは、よろしくお願いします」キーワードを使った上で、自分の回答内容に沿って即興で文章を組み立てる。これは非常に頭脳に負荷のかかるエクササイズです。試しに自分でやってみると、いかに厳しい問いなのかがよくわかります。
論理的に文章がつながっているか。前後の受け答えや履歴書の記載内容と整合性が取れているか。回答を確認してみてください。ちなみに、この質問はとても難易度が高いので、30秒ほど考える時間を与えても良いでしょう。
詳しくは、以下の記事もお読みください。
関連記事:面接官の心得|採用面接官のための、中途採用面接を失敗させない質問の設計方法
関連記事:面接官向け|中途採用面接での質問内容やポイントを徹底解説
面接でロジカルさを見極め、定量データで潜在能力を見極める
今回解説したように、質問の方法を工夫することによって、ロジカルシンキングができる人材を見分けることができます。ただし注意しておきたいのは、論理的な思考とは生来の地頭の良し悪しではなく、後天的に獲得できる「思考のフレームワーク」に過ぎないということです。
つまり、こうした面接手法で見抜けるのは、現時点でのその人が“即戦力”として持っているコミュニケーションスキル。その人の将来の成長性や潜在的な能力までは見抜くことができません(たとえば、極端に面接での会話が苦手な理系人材など)。
そのため、長期雇用を前提として成長性や総合的な論理的思考力を見抜きたいのであれば、本稿で挙げた面接時の質問だけは不十分。適性検査などの統計的なデータも合わせて参考にする必要があります。
企業が求める人物像を明確にした上で、これらの手法を上手に組み合わせ、活用していきましょう。
- 人材採用・育成 更新日:2017/12/07
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