中途採用向け深堀型面接の極意
面接の相手が、人当たりが良く、笑顔で元気に受け答えできる人物だと、入社に前向きに感じられ、面接担当者としても嬉しいものです。
ただし、ここで押さえて置くべき重要なポイントは、人当たりが良いことと「コミュニケーション能力がある」のは別である、ということです。
面接担当者も人間である以上、好き嫌いは当然あると思いますが、第一印象が良い相手に対しては知らず知らずのうちに評価が甘くなる傾向があるので注意すべきです。
評価をするのはあくまでも面接を終えてからにしましょう。面接中は採用基準を判断できる材料を集めることに徹するべきです。そうすれば、第一印象に引っ張られることなく、冷静に判断することが可能になります。
面接でコミュニケーション能力を判断するための材料としては、以下の2点を中心に確認していきましょう。
シンプルですが、この質問は、志望動機を確認する時に使えます。理解する力のある人材であれば、志望動機に絡めつつ、事前に調べてきた内容と比較して、実際に事業所を見て、話を聴いて、感じたことを説明してくれるはずです。
また、「御社の事業内容についての質問でよろしいでしょうか?」と自分の理解があっているか、質問の意図を確認したうえで、回答する場合も比較的能力が高いと思われます。
それに対して、理解する力が弱いと、「大変ためになりました」「御社により一層入りたいと思いました」などのように、非常に抽象度が高く、浅い答えが多くなります。しかし、この回答は油断して聴いていると、志望度が高まっていると勘違いを誘う言葉ですから注意が必要です。
クローズクエスチョンは、候補者が極度に緊張している場合などで、アイスブレイクを兼ねるために利用するには効果的ですが、全体的にオープンクエスチョンを意識して問いかけましょう。また、いろいろ補足することはせず、シンプルな言葉で短く質問をするとよいでしょう。
オープンクエスチョンの後は、抽象度が高いと感じたポイントをより具体的に確認するために掘り下げていく質問をします。
この事例では、感銘という言葉を具体的に説明していただきたかったのに、「感銘」という言葉は分析された回答になっていません。
頭の中が整理できていないと、思いついた言葉をとりあえず並べてしまうので、掘り下げた問いかけをしたとしても、いつまでたっても具体的な説明にならず、表面的な会話が続きます。伝える力がある方(もしくは本当に心から感銘を受けられた方)は、掘り下げれば掘り下げるほど具体的な回答が返ってくるようになります。
掘り下げの注意点として、5W1Hを使うことが多いかと思いますが、What,When,Whereは比較的クローズクエスチョンに近い質問になりますので、答えるのは簡単になってしまいます。かといって、「それはなぜ?」と、Whyばかりを問いていると尋問のようになり圧迫感を与えてしまいます。このため、筆者は「もっと具体的に(より詳しく)教えてください」といった言葉で質問します。
聞き手がもっと教えてほしいという姿勢でいると、話し手は共感してくれていると感じるため圧迫感を感じることが軽減されます。そのため掘り下げた質問がしやすくなるのです。
根拠に対して主張に飛躍がありそうな場合も、何らかの本人の価値観が介入している可能性があります。
前述の事例で、「話す時間を多く設けた」という説明がありますが、候補者の望む結果を得られなかっただけで、一定の理解はあったかもしれませんし、どのような会話になっていたのか根拠が弱いです。
こういった深堀ポイントを見つけたら、なぜそういう考え(あるいは行動)に至ったのか、を質問し、考え(行動)の前提条件(背景)や思考や行動のプロセスを確認するようにしましょう。
事例の場合は、「面談(話をする時間を持つ)」以外で取りうる手段はなかったのか、協力者が他にいなかったのか、などを確認すると、より具体的に状況をイメージすることが可能になるでしょう。
また、「(面談終了後)次に何を考えましたか?」などの質問をし、その時に感じたことや考えたことを、順を追って確認します。そうすると、チームメンバーひとりひとりと話をし終えた後に、相手が望まない反応を示したために、感情的に理解されないと判断してしまったのか、あるいは、本当に試行錯誤を繰り返したうえでの結論であったのかが見えてきます。
また、具体的な話になればなるほど、本当に試行錯誤を繰り返しながら遂行しようとした場合は、相手の表情や会話の調子からもにじみ出て伝わってくるはずです。
- 人材採用・育成 更新日:2020/04/23
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