3つの失敗談から学ぶ採用の心得|採用しくじり先生 俺みたいな人事担当者になるな!!
Tさん:私たちのようなベンチャー企業と大企業とは、文化が全く異なっています。その文化の違いが合わなかったのかなと思いました。
大企業の場合だと、既に様々なルールが作られており、部署ごとの仕事も明確に分けられています。それに、社内の教育制度も整備されている。だからこそ、仮に本人が受動的な性格だったとしても、大きな問題を起こさない限りは仕事をしていけるんですよね。
一方、ベンチャー企業の場合って、会社の仕組みやルールがほとんど整っていない場合が多い。だからこそ、待ちの姿勢ではいつまで経っても仕事を覚えることはできません。混沌とした状態の中で上手くやっていけるスキルが必要になってくるんです。このスキルのことを私は“カオス耐性”と呼んでいます。
Sさん:もしも、その新人が特定のメンバーとだけコミュニケーションが取れなかったのであれば、配属部署を変えたり、相談役を置いたりして改善できたかもしれません。実際に、私たちはそういった施策を行っていました。けれどその人は、複数のメンバーとの関係が上手くいかなかったので、ちょっと酷な言い方をすると本人の適性にも問題があったのかもしれないと思っているんです。なぜかと言うと……。
弊社には、採用の際にチェックしている「これだけは必ず持っていてほしい」というベーススキルがあります。例えば、「性格が素直」とか「周りの出来事に対する感受性が豊か」とか「論理的思考ができる」とか。そのスキルが不足している人は、基本的に採用しないようにしているんです。
けれど、その年は優秀な新卒の人数が少なくて、採用目標の人数に足りなさそうだったので、少し甘い基準で新人を採用してしまいました。採用した中の、「基準ラインに足りていなかった人」が、まさに先ほど話した新人だったんです。
Sさん:目標人数に到達しなかったとしても、基準となるベーススキルに足りていない人は採用すべきでなかったと思います。そのメンバーが辞めてしまったら、採用と育成にかかったコストだって無駄になってしまいますし、社内のモチベーションだって下がってしまう。何より、辞めてしまった人自身が一番苦しい思いをしてしまうでしょう。それは絶対に避けるべきです。
経営層や現場のリーダーに「なぜ目標人数に達していないんだ」と説明を求められることもあるかもしれません。けれどその際に、「どのような基準で採用をしたか」そして「その基準に達していない人を採用してしまうと、どのようなリスクがあるか」を論理的に説明することも、人事担当者の重要な役割だと思うんです。
- 人材採用・育成 更新日:2017/08/29
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