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採用ピッチ資料とは?効果的な作り方から作った後の活用法まで解説

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近年、「採用ピッチ資料」に注力する企業が増えています。

採用ピッチ資料は、中小企業から大企業まで幅広い企業の採用活動に役立つ、「応募前の理解促進ツール」です。

とりわけ、採用難に悩んでいる企業の方にとっては、非常に有効な打ち手となり得ます。

この記事では、採用ピッチ資料の基礎知識から効果的な作り方、作った資料の使い方まで解説します。

採用成功率を高め、最適な人材を確保するための具体的な戦略として、採用ピッチ資料を活用していきましょう。

採用ピッチ資料の基礎知識

まずは「採用ピッチ資料」という言葉を初めて知った方にもわかりやすく、基礎知識からご紹介します。

採用ピッチ資料とは何か

「そもそも、採用ピッチ資料とは何ですか?」
というご質問からお答えしていきましょう。

採用ピッチ資料とは、簡単にいえば「求職者に自社をアピールする、プレゼンテーション資料」のことです。

以前は外資系企業やスタートアップ企業での活用が多く見られましたが、近年では、官公庁から中小企業まで、幅広く浸透しつつあります。

その一例として、京都市が挙げられます。京都市職員採用専用WEBのトップページ(こちら)にアクセスすると、実例を確認できます。

事務職および技術職の採用ピッチ資料が掲載されており(2024年2月現在)、「採用ピッチ資料とは、こういうものか」というイメージがつかめるかと思います。

以下では、“ピッチ” という語になじみのない方に向けて、意味を補足します。

Recruit pitch deck =採用ピッチ資料


まず、英語圏で広く用いられるビジネス用語として、「pitch deck:ピッチデッキ」があります。

ピッチデッキとは、自社をアピールするプレゼンテーション資料のことで、対象読者はおもに投資家です。企業のビジョンや事業計画を魅力的に紹介するために、ピッチデッキを作ります。

  • pitch

    「売り込む」「宣伝する」という意味があります。ビジネスの文脈では、自社やその商品・サービスを、説得力を持って紹介することを指します。
  • deck

    トランプなどのカード一式を「デッキ」といいますが、ビジネスの文脈では、スライドを使ったプレゼンテーション資料一式を指して、デッキの語が使われます。

▼ ピッチデッキのイメージ

このピッチデッキを、就活生や転職活動中の求職者向けに作ったのが、「リクルート・ピッチデッキ」と呼ばれるものです。

採用市場における競争の激化

リクルート・ピッチデッキが作られるようになった背景には、採用市場における競争の激化があります。

投資家へ自社をアピールするがごとく、求職者たちへ自社をアピールする必要性が生じ、企業はプレゼンテーション資料一式を準備するようになったのです。

リクルート・ピッチデッキは日本国内でも徐々に広がりを見せており、日本語訳として「採用ピッチ資料」が使われています。

鍵はネガティブな情報提供も含めた「透明性」

「ピッチ(pitch)」には売り込むという意味があるとお伝えしましたが、採用ピッチ資料は、単に企業のポジティブな魅力を羅列した資料ではありません。

実際の職場環境や直面している課題なども含めた、“リアルな情報提供” に真価があります。

率直な透明性の高いコミュニケーションにより、求職者は企業の実情を把握し、入社後のミスマッチを防ぐことができるからです。

採用ピッチの本質は、
「求職者に対して “真の姿” を示すことで、相互理解が深まり、よりよい採用活動が可能になる」
という点にあることを、押さえておきましょう。

採用ピッチ資料の作り方

次に、採用ピッチ資料の作り方を見ていきましょう。

採用ピッチ資料の掲載要素

「採用ピッチ資料には、何を掲載すればよいですか?」
という質問に対しては、HeaR株式会社代表・大上諒さんの手法がヒントになります。

「採用力UP!求職者に伝わる「採用ピッチ資料」の制作方法をプロが解説」の記事で、インタビューにお答えいただいたので、あわせてご覧ください。

以下では、上記記事から一部抜粋してお届けします。

大上さんによれば、採用ピッチ資料の基本構成は、「会社紹介・事業紹介/組織図・企業文化/求人情報/オプション」の4つです。

  • 会社紹介・事業紹介

    企業の基本情報や将来の展望を示します。
  • 組織図・企業文化

    組織図や文化、職場の雰囲気を紹介します。
  • 求人情報

    具体的な職種や求める人材像を伝えます。
  • オプション

    企業の特性に合わせて追加したい情報を掲載します。

さらに細分化すると、以下に分けられます。これらの中から13〜15項目を選び、スライドを作りましょう。

【Part-1】会社紹介・事業紹介

  • 会社概要

  • 経営者紹介

  • ミッション・ビジョン

  • 事業概要・事例

  • 今後のサービス展開

【Part-2】組織図・企業文化

  • 創業者 or 採用責任者の想い

  • 組織図

  • 自社の文化(バリュー・クレド・スタンスなど)

  • 自社の魅力

  • 自社の課題

  • 会社の風景写真

  • 福利厚生

  • オンボーディング/能力開発

【Part-3】求人情報

  • 募集ポジションの紹介

  • こんな人と働きたい

  • こんな人と働きたくない

  • 業務詳細(役割・業務内容・使用する技術/ツール)

  • 募集ポジションのメンバー紹介

【Part-4】オプション

  • 給与テーブル

  • 昇級実績

  • ストックオプション

  • 退職率

  • 評価制度

  • 選考フロー

  • マーケットの環境紹介

  • 撤退事業紹介

  • エンゲージメントスコア

  • 文化が現れているシーン

  • ○○の文化があることによって、会社はどう変化したか(定量・定性)

  • よくある質問(面接でよく聞かれる質問やユニークな質問など)

採用ピッチ資料を作る際の留意点

採用ピッチ資料は、企業の魅力を伝える重要なツールですが、ただの売り込み資料にならないよう注意が必要です。

以下の留意点を押さえることで、資料の効果を最大化できます。

  • 課題や改善点を正直に共有する

    企業が直面している実際の課題や改善点を共有することは、非常に重要です。完璧ではない企業のリアルな姿を示すことで、信頼性と透明性が高まります。

  • 撤退プロジェクトも恐れず開示する

    過去に挑戦し、撤退したプロジェクトについても正直に伝えます。これは、企業が新しい挑戦を恐れず、失敗から学び成長していることを示す良い例となります。企業の柔軟性を間接的にアピールする効果もあります。

  • 未来の事業計画を公開する

    企業の将来的な目標や計画を共有することで、ビジョンの明確さと成長可能性を示します。とくに「新規事業に携わりたい」と考えている求職者にとっては、魅力的な情報となります。

  • 求めない人物像を伝える

    企業の文化や価値観に合わない人物像を示すことも重要です。たとえば、「競争より協力を重視する文化」であれば、競争を好む人ではなく、チームワークを大切にする人を求めていることを明確にします。

採用ピッチ資料の活用方法

続いて、採用ピッチ資料ができあがった後の活用方法を3つ、ご紹介します。

  • Web上に公開する
  • スカウト活動に使う
  • 面接前の事前資料として送付する

1. Web上に公開する

採用ピッチ資料をWeb上に公開する方法は、より広範囲の人材に情報を届ける効果的な手段です。

Web公開のメリット

  • 手軽にアクセス可能

    Web上で公開すると、求職者が簡単に情報を得られるため、企業の情報が広く伝わります。
  • 企業ブランドの強化

    採用ピッチ資料を通じて、透明性や誠実さ、先進的な採用活動を行っていることが伝わるため、企業ブランドの価値が高まります。
  • 話題づくりの効果

    採用ピッチ資料の公開を広報すれば、業界内外で注目を集め、企業の認知度を高められます。

例として、本記事の前半でご紹介した京都市は、採用ピッチ資料の公開前に、
「一般技術職PR動画「未来を創るシゴト」及び採用ピッチ資料の公開について」
との広報資料を出して、採用ピッチ資料のPRを行っています。

実際、京都市の取り組みを知り、「京都市は進んでいるな」とポジティブな印象を持った方は多いでしょう。

このように、幅広い人々にアピールし印象を高める効果を、Web公開で期待できます。

2. スカウト活動に使う

採用ピッチ資料は、スカウト活動においても非常に有効です。企業が求める人材に直接アプローチする際の、重要なツールとなります。

スカウト活動での活用

  • 関心を高め返信率を上げる

    資料をスカウトメールに添付(またはダウンロード用のURLを記載)することで、返信率を高めます。企業の詳細情報を提供し、関心を喚起するために効果的です。
  • マッチング率を向上させる

    一般公開していない情報(例:企業が直面している課題)を共有することで、候補者は自分が企業にどのように貢献できるかを、リアルに考えることができます。

スカウト活動に使う採用ピッチ資料は、返信率や採用率のモニタリングを行い、必要に応じて改善していくことが重要です。改訂を重ねながら、より効果的な採用ピッチ資料を完成させていきましょう。

3. 面接前の事前資料として送付する

さまざまな媒体からの応募者が、書類選考を経て面接に進んだ際、その応募者へ採用ピッチ資料を送付するという活用方法もあります。

事前資料としての効果

  • 面接の質向上

    資料を事前に送付することで、応募者は企業に関する深い理解を得られます。面接時の対話が、より有意義なものになります。
  • 面接時間の最大活用

    応募者が知りたい情報・よくある質問は、採用ピッチ資料に事前に掲載しておくことで、面接時間を最大限に活用できます。

以上のように、採用ピッチ資料はさまざまなシーンで活用できます。用途に合わせて内容を微調整し、複数のパターンを用意しておくのも良い方法です。自社に合った活用方法を、模索してみてください。

なお、続けてお読みいただく記事として、「採用力UP!求職者に伝わる「採用ピッチ資料」の制作方法をプロが解説」をおすすめします。

本記事中で一部のみ抜粋しましたが、あわせてお読みいただくと、高品質な採用ピッチ資料を制作できるはずです。

  • Person 三島 つむぎ

    三島 つむぎ -

    ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/06/19
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