離職率ほぼゼロ&25年連続黒字!秘訣は社員ファーストの環境づくり
これは、会社の規模にもよると思いますが、新卒採用におけるプラットホームには、大企業から中小企業まで、非常に多くの会社がひしめき合っています。そんな土俵で、知名度の高い大企業に中小企業が勝てる確率は低い。もちろん、今までにない事業内容や画期的なサービスを展開するベンチャー企業などは、フックとなる魅力を打ち出すことで勝機を見出せるかもしれませんが、それでも優秀な人財を確保するのには苦戦を強いられるはず。そのため、中小企業は「大企業と争わない」という選択肢を選ぶのもひとつの手です。ホームページで常時応募できる通年採用を行ったり、SNSやブログを活用するなどは多くの企業がすでに行っていると思いますが、一度載せたからと満足することなく、鮮度のある情報を常に更新し、自社の理念や魅力をこれでもかというくらいに発信することが大切です。
日本レーザーでも生涯雇用を行っていますが、そこで重要視していることは「理念に基づく実践的採用方法」です。どのような人財を必要とするのかを明確にし、面接や作文で応募者の価値観を判断材料にしています。具体的には、笑顔・感謝の心・成長意欲・利他精神などを基準に、適性心理・潜在意識テストを行い、その後に最終面接というフローを徹底しています。採用の失敗は入社後の育成ではカバーできないので、何度もフィルターをかけて見極めることが重要。そのため、もし採るかどうか迷った場合は絶対に採用しません。
また、面接時の質問についてもこだわっています。例えば、「わが社に入社したらどのように貢献したいですか?」といった就職対策本やマニュアル本に正解が出ているようなありきたりなことは聞きません。「目標を設定して達成した経験は?」「何か問題を解決したことがあるか?」「これまで無かったものを生み出したことがあるか?」など、その人の価値観や責任感、自己革新した経験を聞くようにしています。
私の考えは、まず社長自らが社員教育を行うべきだということです。経営者にはそれぞれの想いがあります。どのような目的で会社を立ち上げたのか、この先どのように進んでいきたいのか、その実現に向けて社員に何を望んでいるのか…など、経営に対する志や方針を正しくしっかりと伝えることができるのは、経営者しかいません。それを伝えずして、最初から業務に関する指導や外部の研修に任せてしまっては、当事者意識をもったモチベーションの高い社員を育成することは難しくなるでしょう。
日本レーザーでは、少人数ずつ新入社員を集めて社長自らが社員に教育を行う「社長塾」を開催しており、会社の考え方や方針をメインに伝えています。採用人数がある程度少数である中小企業こそ、トップが教育に力を注ぐことで、社員のスタンスは大きく変わるはずです。
日本レーザーでは、すべての数字を社員に公開しています。決算状況だけではなく、損益計算書、賃借対照表、グループや個人の受注や粗利に至るまで全てです。数字が明らかになることで、「評価」や「収入」に対して納得できるため、社員が不満を抱くことはありません。実力を認め合う関係性も育まれますし、競争意識が生まれてモチベーションが上がると話す社員もいます。
また、「クレド」にも工夫を凝らしています。一般的なクレドにある経営理念やミッション、ビジョンではなく、経営側が社員に約束することや、社員と家族の満足が第一であること、そして社員が会社に対して守るべき約束などが書かれています。まさに、働き方の契約書であり、会社の憲法のようなものです。
このクレドに書かれている内容をどれだけ守られているかを点数化して、評価制度にも取り入れています。社員を大切にする会社であっても、社員を甘やかしてはいけません。それを明確にしたことが、社員の圧倒的な当事者意識を育み、離職率を実質ゼロにできた要因だと自負しています。
- 人材採用・育成 更新日:2019/11/21
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