経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
1 ty_saiyo_t01_t04_recruitmentcost-reduction_250530 column_saiyo c_managementc_knowhowc_saiyougakuauthor_organization_saponet

採用コストの削減方法。分析から施策までわかりやすく解説

/news/news_file/file/ty_saiyo_t01_t04_recruitmentcost-reduction_250530.Webp 1

採用活動には、人件費や外注費など、さまざまなコストがかかります。マイナビの「 2024年卒 企業新卒内定状況調査」によると、新卒採用にかかった費用は平均287.0万円、「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると、中途採用にかかった費用は平均650.6万円という結果が出ています。

こうしたコストは必要な投資である一方で、見直しによって削減できる場合もあります。採用コストを適切に抑えることで、浮いた予算を定着支援や採用力の強化施策に充てることが可能です。今回は、採用コストの内訳を説明したあと、採用コストを削減する5つの具体的な方法を解説します。

採用コストの内訳を知っておこう

採用コストには、社内で発生する内部コストと、外部のサービスなどを利用する際に発生する外部コストの2つがあり、一般的には外部コストの方が金額は大きくなる傾向にあります。下記は各採用コストの一例です。

  • 内部コスト:採用担当者の人件費、通信費、郵送費、交通費、交際費、飲食費など
  • 外部コスト:求人サイトの掲載料、人材紹介会社への手数料・成功報酬、企業説明会の会場費など

採用コストの詳細についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。
関連記事: 採用コストを削減する8つの方法|内訳や計算方法も紹介

【コスト削減方法1】採用コストの現状分析

採用コストを削減するには、まず自社の現状を正確に把握し、課題を明確にすることが大切です。

採用コストの内訳を洗い出す

はじめに、自社の採用活動にかかっているすべてのコストをリストアップします。採用コストは「内部コスト」と「外部コスト」の大きく2種類に分かれるため、それぞれの内訳を整理しましょう。全体のコストが明らかになれば、それを合算することで、その年度の総採用コストが算出できます。

採用単価を算出する

採用単価とは、1人の人材を採用するのにかかった費用のことです。「総採用コスト ÷ 採用人数」で求められます。たとえば、年間の採用コストが200万円で、5人を採用した場合、採用単価は1人あたり40万円となります。この指標を活用することで、1人の採用にどの程度のコストがかかっているかを把握できます。

データと照らし合わせる

自社で算出した採用コストや採用単価は、民間や行政が公表している平均値と比較することで、相対的な水準を確認できます。たとえば、マイナビが公表している「企業新卒内定状況調査」や「中途採用状況調査」では、年度ごとの平均コストが掲載されています。

また、厚生労働省が発表した「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査(令和4年3月)」によると、採用手法別の平均採用コストが掲載されています。たとえば、人材紹介会社経由での採用が85.1万円、求人情報サイト経由では28.5万円となっており、手法によって大きく差があることがわかります。

このような外部データと自社の実績を照らし合わせることで、現状の採用コストが相場と比べて高いのか、または適正なのかを客観的に判断できます。たとえば、「人材紹介会社を主に使っており、コストが平均より高めである」とわかれば、自社の採用ポジションに本当に人材紹介会社が適しているのかを検討できます。また、「求人広告の応募率が低いわりに出稿費がかさんでいる」といった状況がわかれば、媒体の見直しや募集要件の改善といった対策が実行できるでしょう。

このように、具体的な数値をもとに課題を明らかにすることが、効果的なコスト削減につながります。

中途採用を実施した企業のリアルなデータは、 「企業の調査「中途採用状況」2024版(東京エリア)」からもご覧いただけます。

【コスト削減方法2】採用手法の見直し

複数の採用手法を併用している場合、それぞれの効果を検証し、コストに見合わないものがあれば見直すことが重要です。

利用する求人媒体の精査

求人媒体には、さまざまな種類があり、たとえば、以下のような手法があります。

  • 転職サイト
  • 自社の採用サイト
  • SNS
  • ダイレクトリクルーティング

まずは、応募数が多いものや維持費が少ないものを優先し、効果の高い媒体に絞り込むことがポイントです。分析の結果、「コストに対して採用効果が低い」と判明した媒体は、利用の継続を再検討しましょう。 また、初期費用を抑えつつ、採用した場合にのみ費用が発生する成果報酬型サービスの利用も採用コスト削減の一つの方法としてあげられます。

助成金の活用

採用活動において、国や自治体から支給される助成金を活用できる場合があります。助成金は条件を満たせば返済不要で受け取れるため、採用コストの実質的な負担軽減につながります。どのような助成金が利用できるかは、制度ごとに異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

採用活動で活用できる助成金については、人事部長が知っておきたい「採用力アップに使える助成金」の資料もぜひご活用ください。

【コスト削減方法3】母集団形成の質向上

「応募数が少ない」「応募はあるが、自社が求める人材がいない」といった課題がある場合、母集団形成の見直しが必要です。

母集団形成の目標人数を設定する

十分な母集団を形成できないまま採用活動を進めると、自社が求める人材に出会えず、採用が長期化し、コストの増加につながります。まずは、過去の採用データ(応募から内定までの歩留まりなど)をもとに、必要な応募者数を逆算し、目標とする母集団の人数を設定することが重要です。

たとえば、3名の採用を目指す場合、最終的に内定に至る割合が20%であれば、内定候補者を15名確保する必要があります。さらに、二次選考を通過する割合が50%、一次選考を通過する割合が60%だとすると、初期の応募者数は少なくとも約50名は必要になる、という計算ができます。

採用の目的・ターゲットを明確にする

採用活動を始める前に、「なぜ採用するのか(目的)」と「どのような人材が必要か(ターゲット)」を明確にしましょう。スキルや経験がマッチする人材の応募が増えることで、ミスマッチが減り、採用活動の効率化・短期化が期待できます。

目的やターゲットを設定する際は、経営層の意見だけでなく、実際に人材を必要とする現場からもヒアリングを行い、実態に即した条件を整理することが重要です。

求人内容を見直す

ターゲットとする人材に合わせた内容で求人情報を発信することで、応募者の質を高めることができます。

たとえば管理職候補を募集する場合、候補者は「キャリアアップ」や「裁量のある仕事」を求めている可能性があります。そのため、

  • マネジメント経験が活かせる業務であること
  • 成果が給与に反映される報酬制度
  • 社内でのキャリアパスの明確さ

といった情報を具体的に伝えることが効果的です。

また、以下のような工夫も、母集団の質向上に役立ちます。

  • 画像や動画を活用して仕事内容・職場の雰囲気を可視化する
  • 数字で実績や成長性を示す
  • 福利厚生やオフィス環境など、安心感を与える情報を明記する

特に中小企業の場合は、大手企業と比べて知名度で劣ることもあるため、自社の魅力がしっかり伝わる求人内容にすることが大切です。

さらに、競合他社の求人と自社の求人を比較して、足りない要素や改善点を洗い出すのも、有効なアプローチのひとつです。

【コスト削減方法4】選考フローの最適化

採用活動における選考フローを見直し、効率化することで、採用コストの削減につながるケースは多くあります。

まずは、自社で行っている選考フローをすべて洗い出し、それぞれが本当に必要かどうかを検討しましょう。あわせて、各フローにどれだけの時間やコストがかかっているのかを把握し、改善の余地がある部分を探していきましょう。

書類選考を効率化する

紙の書類による応募管理は手間がかかり、選考スピードの低下にもつながります。郵送ではなく、すべての書類をメールやオンラインで受け付ける仕組みに切り替えることで、データ管理の手間を減らし、郵送にかかる時間や費用も削減できます。

また、採用管理ツールを導入すれば、応募者情報を一元管理できるようになり、担当者間での情報共有もスムーズに行えるようになります。担当者が複数いる場合でも、リアルタイムでの連携が可能となり、業務の効率化やミスの防止にもつながります。

面接を最適化する

面接をすべて対面で行っている場合、交通費や移動時間、人件費といったコストがかさみやすくなります。一次・二次・最終と複数回の面接を行う場合には、応募者・採用担当者ともに大きな負担がかかる点にも注意が必要です。

たとえば、一次面接をグループ面接に切り替えることで、複数の応募者を一度に対応でき、効率的に選考を進めることが可能になります。

さらに、オンライン面接を取り入れれば、移動や会場手配の手間を省けるうえ、遠方の人材にもアプローチしやすくなるというメリットもあります。

【コスト削減方法5】内定辞退を減らす取り組み

選考を経て内定を出しても、辞退されてしまえば採用活動は振り出しに戻り、新たなコストが発生してしまいます。内定辞退を完全に防ぐことは難しいものの、内定後の歩留まり率を確認し、辞退率が高い場合には改善に取り組むことで、採用コストの削減につながる可能性があります。

内定の連絡はスピード感を意識する

内定を出す際には、スピーディーな対応が求められます。多くの求職者は複数の企業の選考を同時に進めており、自社が内定を出す前に他社の内定が決まってしまえば、そちらを選ばれてしまう可能性もあるからです。

可能であれば、最終面接当日に内定の連絡を入れるなど、できるだけ早く意思を伝えることが重要です。加えて、メールではなく電話で連絡することで、求職者に対する熱意や「ぜひ入社してほしい」という気持ちがより伝わりやすくなります。

内定者フォローを行う

内定を出してから入社の意思を固めてもらうまでの間、求職者はさまざまな不安や迷いを抱えがちです。そのため、内定後も継続的にフォローを行い、自社で働くイメージを持ってもらえるような工夫が必要です。

たとえば、内定を出した理由や入社後に期待する役割を伝えることで、内定者が自分の価値を実感しやすくなります。さらに、既存社員との交流会やカジュアルな面談を実施することで、職場環境や人間関係への不安を軽減し、ミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

関連記事:【歩留まり改善】内定辞退を防止するには?辞退の理由要因と改善方法

採用コストを削減し、採用力の強化へ

採用コストは、社内で発生する「内部コスト」と、外部サービスにかかる「外部コスト」に分類され、一般的に外部コストの方が金額は大きくなりやすい傾向にあります。

無駄なコストや不要な選考フローが発生している場合、企業の経営にも影響を及ぼす可能性があります。まずは自社の採用活動にかかる現状のコストを分析し、フローごとの費用を明確に把握することが、最適化への第一歩です。

今回ご紹介した5つの方法を参考に、自社に適した改善策を見つけ、コスト削減と採用力の強化を目指していきましょう。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

    新卒・中途採用ご担当者さま、経営者さま、さらには面接や育成に関わるすべてのビジネスパーソンに向けた、採用・育成・組織戦略のヒントが満載の情報メディアです。HR領域に強いマイナビだからこそお伝えできるお役立ち情報を発信しています。

  • 人材採用・育成 更新日:2025/05/30
  • いま注目のテーマ

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事