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人事・面接官必見!候補者の志望度を高める「面接コミュニケーション術」とは?

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いまや採用市場は、完全な“売り手市場”。

そのような中、「面接」は企業が一方的に候補者を見極めるのではなく、候補者も企業を見極める場となりました。

特に、優秀な人材ほど複数の選択肢を持っており、企業は「選ばれる立場」として真剣な姿勢や魅力を示すことが不可欠です。そのような環境下で、求職者の志望度や入社意欲を高めるために、企業側はどのような工夫ができるのでしょうか。

今回は、組織人事コンサルタントとして数多くの企業の採用面接に携わってこられた、株式会社人材研究所代表の曽和利光さんに、面接前の準備から面接後のフォローに至るまで、採用成功のために押さえておきたい重要なポイントを伺いました!

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  • 曽和 利光 さん 株式会社人材研究所 代表取締役社長

    1971年、愛知県豊田市出身。1995年、京都大学教育学部教育心理学科を卒業。株式会社リクルートで人事採用部門を担当、ゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を確立し、2011年に株式会社 人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部へ指南すると同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。




【面接前】事前準備で「歓迎されている感」を演出する

— 今日はよろしくお願いします。面接の流れに沿って、ポイントを順に伺っていければと思います。まずは「面接前」ですが、求職者の印象を高めるために、どんな準備をしておくべきでしょうか?

曽和さん:候補者がどんな方かを把握するために、履歴書や職務経歴書、人材紹介会社を通していれば紹介状など、一通り目を通しておくのは必須です。

これはごく当たり前のことなのですが、中途採用の場合は、現場の忙しい方が面接官になることも多くて、直前に資料をパッと渡されてそのまま面接に入ってしまう、というケースも少なくありません。

でも、候補者に「きちんと準備してくれている」「事前に自分のことを見てくれている」という印象を持ってもらうことは、とても大事なことなのです。

―なるほど。当たり前のことをしっかりやる、ということですね。

曽和さん: そうなんです。今回のテーマである「印象を高める」という観点から言うと、いかに候補者に「歓迎されている」と感じてもらえるかがポイントですね。事前に履歴書などを読み込んでおけば、共通点を見つけて面接中に話題にすることもできますし、親近感を持ってもらいやすくなります。

実際、一緒に働いていれば、「この人は約束を守る」とか「ピンチのときに助けてくれる」とか、いろいろ分かってくるんですが、短い面接時間の中では、なかなか面接官自身の人となりは伝わりにくいですよね。だからこそ、出身校やキャリアなどの共通点を見つけて「私もそうなんです」って話せると、信頼感を持ってもらいやすくなります。

— 確かに、事前に共通点を探しておけば、会話もスムーズに進みそうですね。

曽和さん: はい、面接の緊張を和らげる意味でも、とても有効だと思います。それから、意外と大切なのが「この日、この時間に応募者が面接に来る」という情報を、関係者にちゃんと共有しておくことです。応募者が会社に来たときに、受付や人事の社員が「え?誰ですか?」のような反応をしてしまうと、非常に印象が悪くなってしまいます。なので、面接当日の予定は、関係者にしっかり周知しておくことが大事です。

それともう一つ。面接時に、机の上にノートや書類を置いてメモを取る人がいますが、それはあまりオススメできません。

メモの内容が相手に見えてしまい、意図しないメッセージとして伝わってしまう場合があります。立てて使えるボードやバインダーなどを使って、何を書いているか見えないように配慮するのが良いと思います。


【面接中①】振る舞い:安心感と親しみを与える振る舞いとは?

— 次は「面接中の振る舞い」のポイントです。面接の場で求職者の印象を高めるために、採用側が気を付けるべき点について教えてください。

曽和さん:そうですね。最初のアイスブレイク(緊張をほぐす会話)に使えるネタを、あらかじめ用意しておくといいと思います。これは事前準備の話とも重なりますが、自分や自社との共通点を見つけて話題にするのもいいですし、必ずしも一人ひとりに合わせた話題じゃなくても大丈夫です。

「オフィスまでの道、迷いませんでしたか?」とか「今日は寒いですね」といった、毎回使える定番ネタでもいいんです。要は、いきなり面接の本題に入らないということですね。

— 普通にコミュニケーションを取る感覚、ということですね。

曽和さん: はい。人と人が出会ったときに「普通に」「常識的に」するべきことをちゃんとやる、ということです。例えばビジネスシーンに置き換えても、まずは自己紹介をしますよね。部署や役職、担当業務、名前はもちろん、今回はどういう立場で面接に参加しているのか、この面接はどういう役割を持っているのか、面接の時間の使い方などについても説明して、相手が安心できるようにすることが大切です。

慣れている面接官なら、その場のアドリブで毎回違う話題を出せると思いますが、久しぶりに面接を担当する現場の方は、やっぱり緊張すると思うんですよね。準備不足は緊張につながりますし、面接官が緊張していると、それは候補者にも伝わってしまいます。

しかも、面接官が年上だった場合、その人が緊張している姿って、怒って見えたり、不機嫌に見えたりすることがあるんです。悪印象を与えないためにも、アイスブレイク用の話題は、何か一つでも用意しておくと安心です。

— 振る舞い(視線や態度など)については、どうでしょうか?

曽和さん:視線を合わせるのは大事だけれど、じっと見すぎないとか、ネクタイの結び目あたりを見るようにするとか、椅子にふんぞり返って座らないとか、「基本」として気を付けるべきことはいろいろあります。でも結局は、「候補者にちゃんと興味を持って話を聞いているか」が伝わるかどうかが大切ですね。

座席の位置も、心理学的には正面じゃなくて机の角を挟んだ「斜め」がいい と言われることもありますが、実際は正面の方が一般的です。私自身も、正面の方が自然に感じます。斜めだと、「なんでずれて座ってるんだろう?」って思っちゃいますよね。

— 確かに、ビジネスの場だと斜めはちょっと違和感ありますよね。では、オンライン面接の場合はどうでしょうか?

曽和さん:オンラインなら、カメラ目線を意識すべきです。私はよく、カメラのすぐ下に相手の映像がくるように画面を調整しています。そうすれば、相手の顔を見ながら話しても、自然とカメラ目線っぽくなりますよね。

それに、オンラインだとアイコンタクトのような非言語のコミュニケーションが減って、対面よりも話のキャッチボールがしづらくなるんですよ。だから、少しプレゼンテーション寄りの話し方を意識した方がいいと思います。会話の途中で割り込むのが難しい環境なので、あらかじめ「こういう話を聞かせてほしいです」と具体的に伝えてあげるのがいいでしょう。

なお、WEB面接での注意点や面接官について、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
関連記事:中途採用面接で聞くべき厳選質問集[50選]|面接官の心得

【面接中②】見極め:緊張させずに本音を引き出す質問術

— 続いて「見極め」についてです。求職者の印象を高めるための質問構成や、必ず聞くべきこと、避けるべき質問など、見極めに関して知っておくべきことにはどんなことがありますか?

曽和さん: 前提として、印象の良い面接とは、単に「感じがいい」だけではなく、「自分のことを深く理解しようとしてくれている」と感じさせる姿勢があることだと思います。ただ、相手をよく知ろうとして踏み込んだ質問をすると、詰問のように受け取られてしまい、余計な緊張感を生んでしまうこともあります。

だからこそ、まずは候補者が話したい内容から話してもらうのが良いでしょう。例えば、「これまでの業務で最も大変だったことは何ですか?」といった、少し抽象的な質問を投げ掛けてみる。そうすると、候補者も準備してきたエピソードをスムーズに話しやすくなりますよね。

— まずは自由に話してもらって、その後に掘り下げていく、という流れですね。

曽和さん: その方が候補者にとっても話しやすいと思います。ちなみに、候補者が話している最中に細かい質問をどんどん差し込んでしまうのはNGです。途中でさえぎられることなく話せた方が、候補者も気持ち良く話せますよね。

それから、私は質問する際に「なぜ?」「どうして?」といった言葉は、できるだけ使わないようにしています。「どうして辞めたんですか?」と聞くよりも、「ちなみに、辞めた背景ってどんな感じだったんですか?」といった言い回しにするだけで、ぐっと柔らかくなりますよ。

他にも、「これはこうなんじゃないですか?」のような、ちょっとネガティブで疑っているような聞き方は避けた方がいいですね。退職理由などデリケートな話題を聞くときは、「少し踏み込んだ質問になってしまうんですが、話せる範囲で大丈夫ですので……」といった枕ことばを添えるだけでも、「ちゃんと配慮してくれているな」と感じてもらえます。

―なるほど、ちょっとした言い回しの工夫で、同じ質問でも印象が大きく変わるんですね。

曽和さん:見極めに必要な情報を引き出すことは大切です。例えば、事前に質問項目や評価基準をしっかり決めて進める「構造化面接(※ 面接の一貫性を高め、評価のブレを減らす手法)」などは、面接の精度を高めるのにすごく有効です。でも、正直あれ、やりすぎるとちょっと感じが悪くなるんです。印象を高めるというテーマにおいては、ある程度、面接に自由度を持たせてあげる方がいいかもしれません。


【面接後】誠実なフォローで入社意欲を高める

―では最後に、「面接後」の対応について伺います。フォローの仕方や合否連絡、次回選考や内定の案内など、どんなところに気を付けるべきでしょうか?

曽和さん:はい。面接後の対応こそが、企業の誠実さを伝える最大のチャンスです。合否連絡は迅速かつ丁寧に行い、不合格だった場合も相手の努力に敬意を示す文言を添えてメッセージを送りましょう。一両日中に連絡するのが基本と思ってください。

特に中途採用の場合、一定のスケジュールで集中的に面接を行う新卒採用と比べて、各候補者を個別に調整して面接を行う場合が多いので、進捗(しんちょく)が遅い傾向があります。他にも候補者がいて求職者を待たせる場合は、その理由やスケジュールを丁寧に伝えてあげるといいと思います。

―内定や選考の辞退に悩む企業も多いと思いますが、何かアドバイスはありますか?

曽和さん:そうですね。フォローに関してはまずは面接参加へのお礼から始め、次に候補者の面接への感想などを聞いてみてください。先にこちらの評価を伝えるよりも、相手に先に評価してもらうスタンスがいいと思います。

内定時には選考中に感じた魅力や期待を具体的に伝えることで、候補者の納得度も高まります。自分のどこが評価されたのか、どこがこの会社にフィットしたのか、ということをきちんと伝えてあげるといいと思います。

企業側と求職者側は50/50(フィフティー・フィフティー)であるという認識を忘れずに、どんな相手にも誠実にきちんと対応すれば、おのずと印象は変わってくるのではないでしょうか。

なお、内定後フォローについて、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
関連記事:【歩留まり改善】内定辞退を防止するには?辞退の理由要因と改善方法

「企業と求職者は対等の関係」という意識が重要

今回、曽和さんにお伺いした「採用面接において印象を高めるための工夫」は、いずれも人とコミュニケーションを取る上での基本的なポイントばかりです。

しかし、いざ採用面接という特殊な場面になると、実践できていない方も多いのではないでしょうか。激化する中途採用市場においては、企業側も「求職者に選ばれる立場である」という意識を持つことが重要です。求職者に好印象を与えるためにも、ぜひ今回ご紹介したノウハウを、採用面接の場で積極的に取り入れてみてください。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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