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早期離職を防止するには?原因と対策を詳しく解説

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「長期的な活躍を期待して採用した人が短期間で辞めてしまう……」このような早期離職の問題は、多くの中途採用担当者が直面したことがある問題ではないでしょうか。

早期退職のリスクを完全になくすことは難しいものの、できる限り減らすために、採用・入社・定着の各フェーズにおいて、採用担当者ができることがあります。

本記事では、早期離職の定義や現状を示すデータを紹介するとともに、採用の各フェーズにおいてできる具体的な方法をお伝えします。

早期離職とは?何年以内を指すのか

一般的に、入社後3年以内に離職することを「早期離職」と呼びます。これは、厚生労働省が、新規学卒就業者の就職後3年以内の離職率の調査を実施しているためです。

しかし、マイナビが行った「中途採用実態調査2024年版」によると、中途採用の担当者が早期離職として認識する勤続年数は平均「9.5カ月以内」という結果となりました。また、マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版」によると、転職者側が早期離職として認識する勤続年数ラインは、平均「12.5カ月」という結果も出ています。

これらの結果から、一般的には3年以内離職を早期退職というものの、企業・転職者ともに、実際の認識はそれよりも短いことがわかります。

早期離職を経験した転職者の割合

マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版」では、直近1年間に転職した人に、前職の勤続年数について質問しています。

その結果、前職での勤続年数が「1年未満」と答えた転職者の割合は、20.1%、「3年未満」の割合は42.9%にも上りました。

転職する人の勤続年数の短期化は、30~50代よりも、20代に多く見られます。20代に限定すると、3年以内で早期離職した転職者は、6割を超えています。

出典:マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版

中途採用活動における課題として「早期離職の増加」がランクイン

マイナビが行った「中途採用実態調査2024年版」によると、「中途採用における課題」として最も多く挙がったのは「求職者の質が低い」という課題でした。次いで、「入社後、早期に退職してしまう社員が増加している」ことが2位にランクインしており、年々、早期離職が中途採用の課題として大きくなっていることがわかります。

早期離職が起きる原因

早期離職が起きる原因としてよく見られるものを紹介します。

【仕事のミスマッチ】

  • イメージしていた仕事と異なっていた
  • 仕事が自分に合わなかった
  • ノルマや責任が重すぎた

【職場環境や人間関係の問題】

  • 上司・同僚との関係性が構築できない
  • 職場の風通しがよくない

【労働条件・待遇面の不満】

  • 給与・昇給についての不満
  • 長時間労働や休みが取りにくい環境だった
  • ワークライフバランスがとりづらい

【キャリアの不安・成長機会の不足】

  • この会社で成長できるのかが疑問
  • 評価制度が不透明で将来のビジョンが見えない

いずれも、選考フローにおいてリアルな仕事内容・職場の雰囲気が伝わっていなかったり、入社後のキャリアパスや評価制度についての説明が十分でなかったりすることが一因でエンゲージメントが低下し、早期離職につながっている可能性があります。

詳しくは、従業員エンゲージメントを向上させる「正しい施策」とは?~組織心理学の研究者×500社超のコンサル経験を持つプロが対談~を読むことで、エンゲージメント向上のための具体的な施策を把握できます。

関連記事:中途社員の早期離職はなぜ起こる?原因と解決策を聞く

早期離職が及ぼす影響

以下で早期離職の具体的な問題点を解説します。

採用コストの増大

採用には求人広告や面接対応、採用決定後の研修などといった、コストがかかります。そのため、早期離職が出ることでそのぶんの採用コストの損失につながり、結果的に採用コストは増大していきます。

また、新たな人材を採用しようとしても、応募者に対して自社の定着率をアピールしづらくなったり、口コミサイトで悪い評判を書き込まれたりすることで、さらに採用活動が難しくなるという悪循環に陥る恐れもあり、採用コストがさらに大きくなる可能性もあります。

関連記事:採用コストを削減する8つの方法|内訳や計算方法も紹介

既存社員の負担増加

早期離職者が出ることで、そのぶんの業務を既存社員が行うことになり、業務負担が増加し、モチベーションの低下につながります。

また、こうしたモチベーションの低下が既存社員の連鎖的な離職を招く恐れもあるでしょう。

企業の競争力低下

せっかく戦力化した社員が早期離職してしまうと、欠員により顧客へ提供するサービスや商品の質が一時的に落ち、自社の評判や信頼が低下する恐れがあります。

また自社にノウハウが蓄積されず、長期的に見ても企業の競争力低下にもつながります。

【フェーズ別】早期離職を防ぐためにできること

企業ができる具体的な対策を、採用のフェーズごとに整理して解説します。

採用前

採用前の段階では、応募者とのミスマッチを防ぐために、求める人物像や職場環境を具体的かつ正確に伝えることが重要です。

スキルや経歴だけでなく、価値観や働き方の相性も重視し、入社後のギャップを生まない情報提供を心がけましょう。

求める人物像を明確にする

求める人物像をあらかじめ明確にし、社内で認識をすり合わせておくことは、価値観や社風とのミスマッチを防ぐうえで欠かせません。スキルや経歴だけで判断した採用は、入社後に「思っていた仕事と違う」というギャップを生みやすく、早期離職につながる可能性があります。

どのような価値観や働き方を重視する人を求めるかを具体化し、採用基準に組み込むことで、入社後も定着しやすい人材の採用が期待できます。

仕事についてのリアルな情報提供を心がける

入社後のギャップによる早期離職を防ぐには、仕事のリアルな情報提供が必要です。会社の良い点だけを伝えるのではなく、「忙しい時期の残業時間」や「想定されるストレス」など、現場の実態も伝えておくことが大切です。仕事の厳しさや期待される役割も包み隠さず伝えることが、入社後のギャップを防ぐことにつながり、結果的に早期離職の予防になります。

現場社員とのカジュアル面談を実施する

現場社員とのカジュアル面談は、応募者が業務内容や職場の雰囲気をより具体的にイメージするために有効です。選考とは別の場を設けることで、応募者も率直に疑問や不安を話しやすくなります。特に、配属予定のチームメンバーとの対話を交えることで、「この人たちと働く」という実感を持ちやすくなり、入社後の人間関係や働き方に対するイメージが持ちやすくなります。

内定

内定後から入社までの期間は、不安の払拭と信頼関係の構築が重要になります。

内定者の疑問や不安に寄り添いながら、待遇面の最終確認や定期的なフォローを行うことで、入社への安心感と納得感を高められます。

内定者フォローを強化する

内定から入社までの期間は、応募者が不安を感じやすく、離脱のリスクも高まるタイミングです。このフェーズでは、定期的な連絡や会社からの情報提供を通じて「ちゃんと気にかけてもらっている」と実感してもらうことが重要です。

また、社内見学やオンライン懇親会といった組織との接点を設けることで、入社前に会社との距離感を縮め、安心感を醸成できます。こうした継続的なフォローは、内定辞退や早期退職の予防につながります。

待遇・制度の最終確認をする

待遇面の誤解や期待とのズレは、入社後の不満や離職理由になりやすいものです。内定通知後は、労働条件や給与、福利厚生、キャリアパスといった待遇面について、あらためて丁寧に確認を行いましょう。入社後に「聞いていた条件と違う」と感じさせないためにも、最終確認のプロセスがそのまま早期離職の予防策になります。

内定者の疑問点を解消する

内定者の中には、言い出しづらい疑問や不安を抱えたまま入社を迎えるケースもあるでしょう。小さな違和感や疑問をそのまま放置すると、入社後に不信感へとつながる可能性があります。入社前のタイミングで「何か気になることはありませんか」と問いかけ、できるだけ不安を解消しておくことが効果的です。

入社直後

入社直後は、オンボーディングを徹底し、職場への適応と人間関係の構築をスムーズにするためのサポート体制が求められます。

メンター制度や1on1ミーティング、社内ルールの丁寧な説明、交流の場づくりなどを通じて、新入社員の不安を和らげ、定着へとつなげましょう。

メンター制度や1on1ミーティングを活用

入社直後のオンボーディングを充実させるためには、メンター制度や1on1ミーティングの導入が効果的です。メンター制度では、新入社員に対して先輩社員が業務面・心理面の両面からサポートを行います。1on1ミーティングは、上司と定期的に1対1で話し合う場を設ける仕組みで、主に業務上の課題や悩み、目標などを共有できる場になります。

新入社員にとって、日々の小さな疑問を気軽に相談できる「何でも聞ける人」が明確に存在することは、職場への安心感につながります。また、1on1ミーティングを入社1カ月目・3カ月目などのタイミングで実施することで、問題の早期発見や信頼関係の構築がしやすくなり、離職リスクの軽減につながります。

関連記事:1on1(1on1ミーティング)とは?効果的なものにするために

社内ルール・制度の周知を徹底する

入社直後は、社内ルールや制度の理解に戸惑うケースがあります。経費申請のやり方、コミュニケーションツールの使い方、休暇申請のフローなど、基本的な運用ルールはマニュアルの配布だけでなく、対面での説明や実演も交えて丁寧に伝える必要があります。こうした基本事項が理解できていないと、日常業務に支障が出たり、不安や孤立感につながることもあり、結果として早期離職につながることもあります。

ランチ会や交流イベントを企画する

新入社員が職場に馴染むためには、人間関係の構築が重要です。業務以外での接点をつくるために、ランチ会やウェルカムイベントなどの交流機会を企画しましょう。リラックスした場での会話を通じて、他部署のメンバーともつながりができると安心感を得やすくなります。孤独感や疎外感の解消は、離職意向を軽減するポイントでもあります。

定着

社員が長く働き続けられる環境を整えるためには、キャリア形成の支援と公正な評価制度が欠かせません。

キャリア面談や成長の可視化、評価基準の明確化を通じて、社員一人ひとりのモチベーションと定着意欲を高めることが重要です。

定期的なキャリア面談を実施する

社員が中長期的にキャリアを描ける環境を整えることは、定着率の向上に直結します。定期的なキャリア面談を通じて、短期・長期の目標を明確にし、会社側と方向性をすり合わせることが大切です。目標があることで日々の業務にも目的意識が生まれ、社内での成長を実感しやすくなります。

成長の可視化

成長の実感は、モチベーションの維持やキャリア継続の意欲に大きく関わります。スキルマップや目標管理制度(MBOなど)を活用して、成長を「見える化」することが効果的です。

スキルマップは業務に必要な能力を一覧化し、現在の到達度を把握できるツールで、目標管理制度は個人が立てた目標と成果を上司と共有し、達成度を評価する仕組みです。

これにより、上司は業務の調整、追加研修の提案、進捗確認などといった必要なフォローを行いやすくなり、働きやすさや会社への愛着につながります。

評価制度の透明性を高め、納得感を持ってもらう

評価の仕組みが曖昧なままでは、評価制度への不信感につながり、努力が報われないと感じてしまう恐れがあります。評価項目や基準を明確に言語化し、フィードバックの流れも含めて事前に共有しておくことが重要です。自分の行動がどう評価されるのかが明確になることで、不満や誤解を防ぎ、働き続けるモチベーションの維持につながります。

詳しくは、「従業員エンゲージメントを向上させる「正しい施策」とは?~組織心理学の研究者×500社超のコンサル経験を持つプロが対談~」を読むことで、エンゲージメント向上のための具体的な施策を把握できます。こちらもぜひご活用ください。

フェーズごとの対策で早期離職が少ない職場を目指す

早期離職は一つの要因ではなく、仕事内容とのミスマッチや労働環境、キャリアへの不安など、さまざまな要素が絡んでいることも多いです。

だからこそ、特定のタイミングだけに注目するのではなく、採用から定着までの各フェーズで適切な対応を積み重ねることが重要です。

それぞれのフェーズで実践できる主な対策は、次のとおりです。

  • 採用前:ミスマッチを防ぎ、リアルな仕事内容・職場環境を理解してもらう
  • 内定:入社前の不安・ギャップを解消し、「この会社で働きたい」と思ってもらう
  • 入社直後:オンボーディングを徹底し、早期離職のピークを乗り越える
  • 定着支援:キャリアパスや評価制度を明確にし、長期的に活躍してもらえるように支援する

それぞれの対策を地道に積み重ねていくことで、早期離職のリスクを抑え、安心して働き続けられる職場づくりにつながります。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2025/06/05
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