店舗ビジネスにおける中途社員の早期離職を防ぐために人事ができること
中途採用は半年で店長になれる人を採用基準としていました。しかしマネジメント経験のある人であっても入社して半年程度ではその店舗のシステムや人間関係などを含めた業務の全てを理解することは難しいと言えます。そのためお店の責任者として仕事を任されても、分からないことも多く、不安やプレッシャーに苛まれる状況に陥る人が多いようです。
また、入社してまだ人間関係が十分に作れていない場合ならとくに、周りに質問できる人もいないため、不安やプレッシャーはさらに大きなものになり離職を考えるようになると思われます。本来ならエリアマネージャーが相談にのったり、状況を判断してアドバイスをしたりすべきところなのですが、エリアマネージャーは離れた店舗を複数管理する必要があり、一店舗の中途採用者の問題点や周りの社員の様子に気を回す余裕がないのが現状です。エリアマネージャー自身も社員教育の専門知識が身に付いていないことがあります。こうした状況では、中途採用者が店長になった場合は、同僚として相談できる人も少なく、孤立してしまいがちです。
こうした状況をさらに分析すると、店長と中途採用者との間に、さらに店長とエリアマネージャーの間に密なコミュニケーションが不足していることが想像できます。お互いが相手のことをきちんと知らないまま、さらに相手の現状を把握できないまま、自分自身の日常業務に追われることで、良好な人間関係やチームとしての使命感、一体感が形成されていない可能性もあったと分析できます。
そのことが、中途採用者の職場環境に対する不満足感、将来性の不透明感につながり、離職へと動かしているのではないかと考えられます。
中途採用に限ってよくある状況だと考えています。なぜなら中途採用者は、即戦力を周りから期待されているから「すぐに成果を出して期待に添えなくてはならない」と自分自身を追い込みがちです。
この状況を改善するには、中途採用者が自分の能力を高め、店舗の雰囲気や仕事の段取りに自分なりのやり方や改善策を考えられるためには、最初の3ヶ月程度の目標設定を「学習」として、分からない事や不安に感じる事をを積極的にエリアマネージャーに質問ができる期間とすることが重要です。
また、その期間はエリアマネージャーが意識をして中途採用者にコミュニケーションをとることです。それを可能にするためには、現場を巻き込んで中長期的な見通しを立てることが必要です。
今回は人間関係にフォーカスして解説いたします。
教育と学習の機会をOff-JT、OJT、セルフトレーニングの3つで考えます。
どれも大事ではありますが、入社時のOff-JTは、人事部で実施しますが比重は小さいといえます。大半は、現場に一任することになるためOJTが大切です。OJTを有効活用することにより、セルフトレーニングとしての中途採用者の学習効果をあげることができます。
では、OJTをうまく機能させるためには、どうすればいいのでしょうか。リーダーシップのSL理論を使って考えます。
SL理論は、部下の習熟度によって、上司はリーダーシップを使い分けようという理論です。しかしながら、上司全員がリーダーシップを使い分けられることも少ないのが実態だと思います。わかりやすく言えば、上司は、ティーチングしかできないのか、ティーチングに加えてコーチングもできるのか。
もちろん、ティーチングしかできない人に、コーチング研修することで上司の教育機会を作りますが、すでに現場は動いていますので、上司がコーチングを習得するまで部下をつけることは待てません。
そこで、人事配置のマッチングが重要になります。
- 労務・制度 更新日:2020/09/29
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