企業の大敵となってしまったモンスター社員への対応策と自己防衛方法 モンスター社員に対する傾向と対策 Part 2
モンスター社員のトラブルに遭遇した時、企業側も振り返るべきなのが「日頃の要求に対して、小さなことだからと許容し過ぎていなかったか?」という点です。
入社時点でモンスター化する背景を持っていた人は別にして、職場環境が原因でモンスター社員となってしまう人の場合、多くがこれに当てはまります。
- 「あいつは、タバコがないと仕事の効率が下がるから、多少の休憩は目をつぶろう」
- 「取引先のウケがいいようだから、過剰なアクセサリーも、まあいいだろう」
- 「もともと身体が丈夫じゃないみたいだから、残業はさせないようにしよう」
など、どれも問題ない対応のように思えますが、こういった個別許容が常態化すれば、通常の会社指示を、非情なものと勝手に受け取り、自分本位なクレームを連発しかねません。
社員の個別事情を汲み取り、良い状態で仕事をしてもらおうという企業側のスタンスは必要でしょうが、日頃の些細な要求をほぼ無条件で許し続けていれば、社員に「思い上がり」の感情が芽生えても不思議ではないでしょう。
実際には、ほかにもいろいろな特徴や兆候が見られますし、こういった特徴に当てはまらなくても、モンスター社員化する可能性はあります。
重要なことは、「モンスター社員をそのままにしておかない」ことであり、そのためには「相手と同じレベルに立って議論をしない」というコツが必要です。例えば、仕事中の私用電話を注意するときに、「業務時間に家に電話なんかするな」という言い方をモンスター社員にすれば、「喧嘩腰にものを言われた」と受け取られてしまうかもしれません。
そうではなく、相手よりも一段上に立った気持ちで「業務時間が終わってからのほうがゆっくり電話できるよ」と言ったほうが効果的でしょう。
また、あまりにも頻繁に繰り返される不平不満には、いちいち耳を貸さずに無視することも必要です。もし、そういった不平不満が周囲に悪影響を与えたり、業務自体の効率を下げているようであれば、就業規則と照らし合わせて毅然とした態度を取るべきでしょう。会社側が就業規則上の取り決めとして主張することで、仮に訴訟問題に発展したとしても裁判上有利に進めることができます。
モンスター社員たちの主張には、一見、正論と見えるものが少なくありません。しかも困ったことにこういった問題を起こす社員に限って、「仕事はできるし頭も切れる」といったケースも多いのです。社会常識的には「気持ちは判るけど、無理があるよ……」といった主張であっても、彼らなりのロジックで理屈を積み上げられてしまうので、正攻法では反論できないことさえあります。
いわば「理論武装こそがモンスター社員の得意ワザ」と言えるでしょう。彼らへの対応策としてもっとも重要なのは、会社として「できることと、できないことを明確し、それを理解させる」ことであり、常に冷静になって事態に当たることです。相手の態度に合わせて、企業側も熱くなってしまうのがいちばんいけないと考えられるでしょう。
最終回となる次回は、モンスター社員の実例と企業の対応例を考えてみます。
- 労務・制度 更新日:2017/11/28
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