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顧客満足だけでは不十分 従業員満足度も高い企業こそ成長|働きがいのある職場とは

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顧客と従業員、両方の満足度を大切にする企業は、「顧客だけを大切にする」企業と比べると、売上高が増加するという傾向が見られます。*1
つまり、従業員にとっても魅力的な企業は、これからも業績が伸びる可能性が高いということです。
本記事では、従業員の満足度が高まるにはどのような取り組みが必要かについて、探っていきたいと思います。

従業員の満足度が高い企業は業績もアップ

先述した通り、従業員の満足度が高い企業は業績も向上しています。 ここでは従業員の満足度が高まると、企業が得られる効果について解説します。

顧客満足度のみを重視する企業より売上高が増えている

下図は厚生労働省が公表した業績の状況です。 参照すると、「従業員と顧客の満足度を重視する企業」のほうが、「顧客の満足度を重視する企業」より売上高営業利益率、売上高ともに高いことが分かりました。

特に売上高が増加しており、5年前から現在では、「従業員と顧客の満足度を重視する企業」は約6割近く伸びています。

したがって、これからの企業は業績を伸ばしたい場合、顧客ファーストだけでは足りません。顧客+従業員ファーストであることが求められています。

社員の量・質ともに確保している

顧客とともに従業員を大切にしている企業には、優秀な社員が定着します。 下図の厚生労働省の資料によれば、顧客と従業員を大切にしている企業のほうが、「量(人数)・質ともに確保できている」という答えが多い結果となりました。

一方、「量(人数)・質ともに確保できていない」という回答は、顧客のみを重視している企業のほうが上回っています。

従業員は設備機械ではなく、感情を持った1人の「人間」です。従業員を大切にする会社では、長く働きたいと思うようになります。

魅力ある職場づくりとは

魅力ある職場とはズバリ、「従業員にとって働きやすい・働きがいがある職場」のことです。「働きがい」や「働きやすさ」がある会社ほど、従業員の離転職が少ない傾向となります。*2

ここでは、従業員がずっと働きたいと思える、魅力ある職場づくりについて解説しましょう。

従業員が働きやすいのは心身ともに健康で働ける職場

人間はAIや機械と違い、24時間働き続けることはできません。 感情もありますから、パワハラやストレスを過剰に受けると心のバランスを崩してしまいます。したがって、心身ともに健康で働ける職場が、従業員にとって働きやすい職場です。

具体的には以下のような特徴があります。

  • 人間関係が良好
  • 社内の雰囲気が良い
  • ライフワークのバランスを調整しやすい
  • 福利厚生が充実している
  • 仕事に集中しやすいオフィス環境

風通しが良い会社は、従業員の声が上層部に届きやすく、必要に応じて業務のスタイルを変えやすいといえます。このような会社では、自然と社内の人間関係も良くなるため、社内の雰囲気も良好です。

「休暇が取りやすい」「短時間勤務が可能」など、福利厚生が充実している会社ならば仕事と家庭の両立もしやすいため、子育てや介護をしている社員も無理なく働けます。

使いやすいデスクやチェアなどのオフィス家具や適度な明るさの照明が設置され、温度・湿度が適切な空調が設定された職場ならば、快適な環境の中で仕事にどんどん集中できます。

従業員にとって働きがいがある職場は魅力的

厚生労働省のデータによると、自己都合による離職の理由ランキングは以下のようになりました。

【自己都合による離職の理由ランキング】
1位 労働条件(賃金以外)がよくなかった
2位 満足のいく仕事内容でなかった
3位 賃金が低かった
4位 会社の将来に不安を感じた
5位 人間関係がうまくいかなかった

参考:厚生労働省「離職理由 」を参考に筆者作成

このように、賃金が低いなどお金の問題より仕事内容が良くないために離職する人の方が多い状況です。そのため、企業としては、従業員が働きがいがあると思える会社にすることが重要といえます。

具体的には以下のような取り組みを始めると良いでしょう。

  • 適切な評価処遇や配置の実施
  • 人材育成
  • 業務・組織管理 *3

従業員の能力や仕事内容が適切に評価される制度や、本人の希望ができるだけ尊重される配置が実施されていると、従業員のモチベーションが高まるため定着率がアップします。

特定のスキルや知識を学べる研修が用意されていると、自分の能力が上がるため、仕事に対する意欲もさらに増してくるものです。

各自に与えられた仕事の意義や重要性について説明すると、従業員の存在意義が高まるので、仕事をしていく上で喜びややりがいを感じられるようになります。
「自分は会社にとって重要な一員なのだ」と思えるようになると、真剣に仕事に向き合うため、自然な流れで業績アップへとつながります。

魅力ある職場づくりを実践する企業例

近年ではさまざまな企業が、社員を大切にする取り組みを始めています。
ここでは、魅力ある職場づくりを実践する企業を2つ、ご紹介しましょう。

はごろもフーズ株式会社

はごろもフーズ株式会社は、本社所在地が静岡市にある「シーチキン」で有名な会社です。
平成24年度の業績不振をきっかけに業務改善の取り組みを始め、静岡県から表彰されました。

取組内容は以下の通りです。

「早がえり」運動
  • 平成29年度から全国の事業所で21時までには退館
  • 従業員が自身の業務を見直し、上司と話し合って退館時間を決める
年に一度の連続有休制度
  • 平成29年度からプライベートの充実を目的に3日間連続での有休取得が可能
  • 部署ごと業務を見直し、全員が取得できるよう、それぞれの業務分担を的確に把握

出典:厚生労働省 静岡労働局「はごろもフーズ株式会社」

取り組み後は、「時間外労働時間の削減」「業務効率アップ」などの良い効果を得られました。21時までには退社しなければならないという意識づけにより、社員一人ひとりの生産性が上がっています。年に1度の連続休暇を楽しみに仕事を頑張る社員が続出し、プライベートの充実も図っています。

ヤマハ株式会社

ヤマハ株式会社は、本社所在地が浜松市にある、老舗の楽器・オーディオなどを製作している会社です。「新しい働き方」が求められる状況があったことから、柔軟で自律的な働き方を推進しています。

取組内容は以下の通りです。

所定外労働時間の削減
  • 所定外労働のガイドライン(40時間以内/月)を順守するよう徹底
  • 毎月第二、第四金曜日は17:30(始業の遅い営業事業所地域は18:30)までに完全退社する「一斉カエルDay」を実施
  • それ以外の金曜日でも、部門ごとに「カエルDay」か「No残業Day」を選択し、実施
個々の社員の多様な事情に対応可能な両立支援制度の充実
  • 育児短時間勤務の適用期間延長やEAP(従業員支援プログラム)の導入
  • 従業員個々の事情に合わせた両立支援制度を構築

出典:厚生労働省 静岡労働局「ヤマハ株式会社」

取り組み後は、時間外労働の削減や有給休暇の取得促進が進みました。
社員の意識改革が進むにつれて、所定外労働時間の上限基準超過者数が大幅に減少しています。そのため、無理な残業がないため、心身ともに健やかな状態で働ける職場環境です。

育児休職がしやすい環境のため、社員の定着率が高くなる効果も得られています。女性の場合は育児休職取得率および復職率はほぼ100%で、男性の育児休職も利用が進んでいます。
これからは女性だけが子育てをするのではなく、夫婦で力を合わせていく時代です。女性が働きやすい会社は将来的にも期待が持てます。

まとめ

仕事内容に「働きがい」があり、従業員に「働きやすい」環境を提供する会社は、従業員の意欲と定着率が上がります。従業員を大切にすることで、自然と業績アップも実現します。
顧客だけでなく、従業員の満足度を高めようとする会社が、これからも発展していくことでしょう。

  • Person 矢口 美加子

    矢口 美加子 -

    ライター・宅地建物取引士・整理収納アドバイザー。宅建・整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を取得済みです。不動産・リフォーム・不動産投資・転職・整理収納関連の記事を複数のメディアで執筆。ライター業の他に、家族が経営する投資用物件の入居者管理もこなしています。

  • 経営・組織づくり 更新日:2024/04/09
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