ディーププラクティスで才能を伸ばす!優れた人材の育て方
私達の脳の中には、ニューロンと呼ばれる細胞があります。ひとつのニューロンは、他のニューロンとシナプスで結ばれ、人間がどんな行動をしているときにもニューロンからニューロンへ電気的な信号(インパルス)が伝わっています。
歌を歌ったり、本を読んだり、ゴルフクラブをスイングしたりするときにも、脳の中では電気的な信号が猛スピードで伝達されているのです。
そして才能の開花に影響を与えるのがミエリン鞘(しょう)。これは、ニューロンから伸びる軸索を覆う脂肪質の組織です。このミエリン鞘の成長を促すトレーニングこそ才能を伸ばす秘けつ。ミエリン鞘の形成が進むと脳内でインパルスの伝達スピードと強度が向上します。その結果、知能や身体能力も高まるといわれているのです。
主なミエリン鞘の形成は子供の頃に自然に起こりますが、大人でもあきらめることはありません。本書には神経科学者のジョージ・バーゾキス博士の言葉から、30歳くらいで自然なミエリン鞘の形成(髄鞘化)は終わりを迎えるものの、全体的なミエリン鞘のボリュームは50代まで増えると説明されています。またミエリン鞘は高齢になると徐々に割れはじめますが、トレーニングを続けることで現状を保持する効果が期待できます。
脳のメカニズムに合ったトレーニング法を世界各国で見てきたコイル氏は、この法則に従って成功した日本企業を組織づくりの例としてあげています。
その企業とはトヨタ自動車。30年前には中堅クラスだったトヨタ自動車が、世界でも有数の自動車メーカーとして知られるようになったのは「改善」という戦略のおかげだと本書には記されています。
トヨタ自動車のケンタッキー工場には、「なぜを5回くりかえせ」という有名な言葉が掲げられているそうです。なぜその問題が起きているのか粘り強く考え、小さな変化を重ねることで常に前進することを目指す取り組み。
日本人にとってはなじみ深い「改善」が、ミエリン鞘の形成を促し才能を開花させるディーププラクティスだったのです。この例を見ると、本書の内容がぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。
- 人材採用・育成 更新日:2017/08/10
-
いま注目のテーマ
-
-
タグ
-