尖った企業理念を持つ会社|社員皆で生み出した「SOUL」「CREED」を採用市場に発信 株式会社VOYAGE GROUP
あなたの会社には、企業理念がありますか? そう問われれば、おそらくほとんどの人が「YES」と答えるでしょう。ではもう一つ聞きます。その企業理念には、社員全員が心から共感していますか?
大企業から中小・スタートアップに至るまで、日本の会社のほとんどは企業理念を掲げています。しかし、それが「生きている」かどうかを問われると、自信を持ってうなずける企業は少ないのではないでしょうか。
会社を選ぶ立場である求職者の目線から見れば、この企業理念ほど重要なものはありません。誰もがその名を知るような大企業でない場合はなおさらです。「この会社は世の中に対してどんな責任を負っているのだろう」「この会社の事業の背景にある思いは何だろう」「この会社は社員にどんなビジョンを語っているのだろう」……。求職者個人の考えと企業理念がマッチするか否かは、仕事内容の魅力や待遇・福利厚生の充実といった採用戦略における差別化要素の手前、大前提の要素として考えるべきです。
求職者が心を惹かれる「尖った企業理念」を持ち、それが事業や組織運営と一体化している会社は、採用・育成・リテンション策といった人事戦略全般の推進でも大きな成果を残しています。その実例として、印象的な理念を持つ企業をご紹介しましょう。
たくさんの事業が誕生し、成長していく中で、VOYAGE GROUPという会社を一言で表すのは難しい。有名無実な理念やビジョンなら掲げないほうがいいのでは……。そんな経営側の思いから、一度は理念やビジョンを取り下げたといいます。しかし、社員からは「VOYAGE GROUPに新たな理念がほしい」という声が少しずつ寄せられるようになったそうです。
この流れを受け、CCO(最高文化責任者)のもとで継続的に企業文化を強化していくことをミッションとした「コーポレートカルチャー室」を設置。経営理念リニューアルに向けた動きが始動しました。
CREEDリニューアルでは全社アンケートなどを取り、プロジェクトメンバーも集めて見直しを実施。一方、経営陣でビジョンについての検討を重ね、最終的にはそれまでのビジョンをなくし、SOULに変えました。VOYAGE GROUPの想いと価値観は、社内全体を巻き込んだ議論を経て掲げられたのです。
ちなみに、「ビジョンをなくしてSOULとした」ことにも理由があります。ビジョンを描くことで変化の対応に遅れてはならない。自分たちが進む道は自分たちで決める。そんな信念のもとで、「世界を変えるようなスゴイことをやりたい」という創業時の想いを「SOUL」として掲げました。これは同社にとって、常に立ち戻るべき原点でもあるのです。それを実現するための指針として、8つのCREEDがあります。
VOYAGE GROUPのオフィスを訪れると、他社にはないようなユニークなスペースに驚かされます。こうした場所の設計にも、SOULとCREEDが深く関わっています。オフィス全体をリニューアルした際には、VOYAGE(航海)をコンセプトとして各会議室の素材やテーマにCREEDを体現しました。
また、就業時間後はアルコールが無料で飲み放題となり、社員同士や社外関係者との交流の場となっている社内バー「AJITO」(アジト)、ビジネス書や技術専門書、漫画まで、5000冊を超える蔵書を収める社内ライブラリー「OASIS」(オアシス)も特徴的です。経営陣をはじめ社内からの寄贈も多く、本を通じたコミュニケーションが活発に行われています。
SOULとCREEDに基づく独自の文化を持った人々の集団であること。そんな同社の強みは、こうした象徴的なスペースを通じて外部へも積極的に発信されてきました。採用選考を受ける求職者や学生も同社の風景を目の当たりにする。その背景を、社員たちがそれぞれの言葉で語る。採用難職種であるエンジニアが多く在籍する同社にあって、この風土は採用に大きく寄与しているそうです。
社内での意見交換を重ね、一度見れば忘れないような尖った企業理念を生み出す。それを社員が腹落ちして語ることで、強い外部発信につながる。背景には「360°スゴイ」というSOULに込めた「世界を驚かせるようなスゴイことをやる」という想いがあり、独自の事業展開につながっている−−。それを知った求職者の目に、VOYAGE GROUPが他社よりもずっとずっと魅力的な企業として写るのは想像に難くありません。
こうした事例は、簡単に真似できるのもではないでしょう。尖った理念は、一朝一夕に生まれるものでもありません。だからこそ、それを実現している企業は採用市場でも独自の立ち位置を確保できるのです。
あなたの会社の企業理念には、社員全員が心から共感していますか? もし答えが「No」であれば、採用力を高めていくための根本的な改革として、長期的視野に立って理念の見直しを検討してみるべきなのかもしれません。
- 人材採用・育成 更新日:2017/10/26
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