人事のスキルアップ術。「社労士」の資格で労務管理のプロフェッショナルに
労務管理や社会保険を専門とする社会保険労務士。人事や労務担当としてのスキルアップを目指すなら、そのプロフェッショナルである社労士の資格勉強を始めてみるのもひとつでしょう。難関といわれますが、仕事で役立つうえ独立も目指せる資格です。
そこで、社労士の仕事内容や、資格取得に必要とされる知識などを確認しながら、企業の労務担当が社労士資格を取得するメリットを探ります。
労務管理のプロ、社労士とは?
社会保険労務士の仕事は、社会保険労務士法第2条に書かれている順に、1号・2号・3号業務と大きく3種類に分かれています。1号・2号業務が社労士だけに認められている「独占業務」、3号はさまざまなコンサルティング業務です。
1号業務・2号業務(労働関係法令、社会保険法令に基づく各種書類の作成、代理代行)
- 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の加入・給付などの手続き
- 労働者名簿、賃金台帳の作成
- 就業規則の作成
- など
3号業務(人事や労務に関するコンサルティング)
- 従業員の募集、採用、退職など雇用に関する相談・指導
- 賃金管理、労働時間などについての相談・指導
- 企業内教育についての相談・指導
- 人員配置、人事考課など人事に関わる相談・指導
- など
いずれも、企業で人事や労務を担当されている方にはなじみのある業務内容ではないでしょうか。特に3号業務については日常的に行っている可能性が高く、企業で人事や労務を担当されている方は、社労士業務の下地となる経験を日々積み重ねているといえます。スキルアップのために資格取得を目指し、独立という道も考えられるのです。
難易度高し!取得に必要な内容とは?
とはいえ、社労士は難易度の高い資格として知られています。2014年実績では、受験者数4万4,546人、合格者数4,156人、合格率9.3%。合格率は毎年10%を切る難関で、試験は年に1回、8月の第4日曜日に行われます。
試験科目は、
- 労働基準法及び労働安全衛生
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
と多岐にわたり、それぞれ択一式と選択式の試験が実施されます。科目ごとの得点、総得点両方に合格基準点が設けられているので、すべての科目をバランスよく勉強することが必要です。
社労士は、独立開業も夢じゃない!活かせる資格
どんな企業でも、人を雇用すれば労務管理に関する手続きや問題が発生します。そうした各種手続き、問題解決に、社労士は欠かせない存在です。
だからといって、あえて難易度の高い資格の勉強をするメリットはどこにあるのか? と疑問に思われるかもしれません。その答えは、社労士業界の実情から浮かび上がってきます。
社労士業界をのぞけばわかる!企業の労務担当が資格を取得するメリット
開業している社労士によると、「もう手続き業務だけでは食べていけない、これからは3号業務だ!」という声が多く聞かれるといいます。というのも、1号・2号の定型業務はまとめて安価に処理してくれるアウトソーシング企業や会計事務所などに流れてしまう傾向があり、社労士としての勝負は、いかに質の高い3号のコンサルティング業務ができるかにかかっているからです。
3号業務を日々仕事として行っている企業の労務担当は、すでに社労士としての研鑽を積んでいるともいえます。加えて、社労士の勉強で得られる法律的な専門知識があれば、より質の高いコンサルティング業務を提供できるようになるでしょう。企業の労務担当としての業務そのものが、稼げる社労士に必要とされる貴重な経験なのです。
人事業務のスキルアップを兼ねて、勉強を始めてみては?
労務管理の仕事に関心が深まり、スキルアップ・自己啓発を考えているなら、社労士の資格勉強はうってつけです。最近はEラーニングをはじめとする通信講座も充実しているので、工夫次第で効率的に勉強できる環境が整ってきています。
社労士の資格勉強で得られる知識は日々の仕事に役立つうえ、見事合格できた場合には将来的に独立・開業できる可能性も。10年先、20年先のキャリアはまだまだ未知数という方も多いでしょう。自身の置かれた環境を活かし、社労士という専門資格を目指すのも、ひとつのキャリアアップの形ではないでしょうか。
- 労務・制度 更新日:2015/08/28
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