本業+副業はもう古い!?新しい働き方「ポートフォリオキャリア」とは
IT技術の急速な発展により、当たり前のようにAIがワークフローに浸透すると考えた時に、人にしかできないスキルの線引きがより明確になります。それによって、今まで以上に知識とアイデアの合成能力や適応力に優れた人材の存在価値が高まるといえるでしょう。
企業側の視点に立てば、これらの優秀な人材の採用や育成はもちろん大切ですが、彼らの流出防止に向けた対策は必須。デロイト グローバルが行った「ミレニアル世代の意識調査(2019.05)」では、現在勤めている企業を2年以内に離職しようと考えているミレニアル世代は全体の49%に及ぶという結果も出ています。
複数の仕事やキャリアを持つことができるポートフォリオキャリアは、優秀な人材を定着させたいという企業にとって人事的な生存戦略のひとつといえます。従業員側からみても、人生100年時代といわれる社会で生き残るための価値を得られる働き方になるでしょう。これより、その価値やメリットとなるポイントをいくつかご紹介します。
「人の成長や変化に携わりたい」という想いからHR(ヒューマン・リソース)領域の企業で働き始めたAさん。出産を機に産休をとっていたのですが、復帰した時には仕事内容や働く環境などが変化しており、ただただ仕事をこなすので精いっぱいの状態でした。
仕事と子育てに追われる中で、自分のやりたいことだったはずの仕事が目的になってしまったことに気付き、「本当にやりたいこと」「大事にしたいこと」を追求した結果、人の変化に携わる「コーチング」を学び、本業では人事のポジションを担当。その後、ポートフォリオキャリアとして外部向けの「人事・採用コンサルティング」や、“自分らしく働いて生きるきっかけづくり”を提供する「ワークショップ」、コワーキングスペースでの「コミュニティ・マネージャー」と、自分のやりたいことを次々と表現しています。
新しい働き方について、日頃から研究されている企業は多いと思います。同じように、企業で働く方たちも世界の情報をスピーディにキャッチできる時代。今まで通用してきた働き方や雇用関係は「もう古い」と認識すべきところまできています。
海外を中心に広がっているポートフォリオキャリアという新しいワークスタイルは、副業のようなサブとしての働き方ではなく、自分の強みを積極的に活かして人生をより豊かにする「生き方」といえます。その生き方を受け入れることで、優秀な人材は辞めることなく、高いパフォーマンスを維持できる。つまり、企業が従業員ファーストの働き方を考えることは、変化の激しい時代を生き抜くための強い味方を得ることに繋がるのだと思います。
- 労務・制度 更新日:2020/03/18
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