2020年6月施行「パワハラ防止法」企業が気をつけるべきポイントとは?
近年、パワハラが問題視されるようになってきたことを踏まえ、2019年5月29日に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が参議院本会議にて可決、成立しました。この法案の中には、
- 女性活躍推進法
- 労働施策総合推進法
- 男女雇用機会均等法
- 労働者派遣法
- 育児・介護休業法
の、5つの法改正が含まれています。
この5つの法改正のうち、「労働施策総合推進法」の第30条の2に、パワハラを防止するための規定ができたことにより、「パワハラ防止法」と一般に呼ばれるようになりました。
厚生労働省は、パワハラの他にも、セクハラ(セクシュアルハラスメント)やマタハラ(マタニティハラスメント)の対策についても講じるよう企業に求めています。ちなみに、セクハラについては「男女雇用機会均等法第11条」が根拠法令となり、マタハラについては、「男女雇用機会均等法第11条の2」と「育児・介護休業法第25条」が根拠法令となります。
このように、より良い職場環境の実現に向けて、パワハラだけでなくセクハラやマタハラなどの対策も含めて、予防策や対応策を講じるべきであるとしています。
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「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については 、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。」
出典:厚生労働省|厚生労働省告示第5号労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
「何でもパワハラだと言われたら、上司は部下に指導ができなくなってしまう」という意見もあるかもしれません。しかし、先ほどの厚生労働省が定めたパワハラの定義には「客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導は該当しない」と記載されています。つまり、適正な方法で、必要な範囲内での業務指示や指導であればパワハラではないということです。ただし、重要なのは「自分が必要だと思ったから」というのではなく、「客観的にみてどうだったのか」という点です。
厚生労働省がパワハラをはっきりと定義したことで、指導をしにくくなったのではなく、むしろ気をつけるべきポイントがわかりやすくなったと言えます。
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「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については 、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。」
出典:厚生労働省|厚生労働省告示第5号労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
「何でもパワハラだと言われたら、上司は部下に指導ができなくなってしまう」という意見もあるかもしれません。しかし、先ほどの厚生労働省が定めたパワハラの定義には「客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導は該当しない」と記載されています。つまり、適正な方法で、必要な範囲内での業務指示や指導であればパワハラではないということです。ただし、重要なのは「自分が必要だと思ったから」というのではなく、「客観的にみてどうだったのか」という点です。
厚生労働省がパワハラをはっきりと定義したことで、指導をしにくくなったのではなく、むしろ気をつけるべきポイントがわかりやすくなったと言えます。
- 「職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。」
(例)就業規則などで、パワハラをおこなった者への懲戒規定を定めて労働者に周知する。現在の就業規則において、パワハラを行うと懲戒規定の対象となることを周知する。
- 「職場におけるパワーハラスメントの内容及び職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。」
(例)社内報やパンフレットなどで、パワハラの内容や発生原因などを、労働者に対して周知・啓発をする。
- 「相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、労働者に周知すること。」
(例)相談に対応するための制度を作ったり、相談担当者を配置したりすること。
- 「相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること」
(例)パワハラの相談を担当者が受けた場合、相談窓口と人事部門が連携できるような仕組みを作ること。相談窓口の担当者に、相談を受けた場合の研修を行うこと。相談者のプライバシーの保護に関する周知や研修をすることも含みます。
- 労務・制度 更新日:2020/09/17
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