企業が直面している経営課題の見つけ方や解決策などを紹介!
IoTやAIなど、テクノロジーの発展と新たなビジネスモデルが出現する第4次産業革命といわれる昨今。企業を取り巻く経営環境は、これまでの事業構造が通用しない変化に直面しています。バブル崩壊後のリーマン・ショック、東日本大震災、そして新型コロナと、ここ数年の間で日本企業の経営課題は複雑さを増しています。
これから先、労働人口の減少による人手不足も含め、この不確実性の高い変化に適応しつつ生き残っていくためには、社会全体の動向をしっかりと洞察したうえで、高度化かつ複雑化する企業の経営課題に向き合う必要があります。そこで、現在から未来に向けて予想される経営課題について一般社団法人日本能率協会(以下JMA)の調査結果を基に考えていきましょう。
2019年に480社を対象にJMAが実施した企業経営課題に関する調査では、“現在の課題”第1位は「収益性向上(44.4%)」、第2位は「人材の強化(41.0%)」、第3位「売り上げ・シェア拡大(33.3%)」という結果になりました。
2018年度からの増減比率では、「売り上げ・シェア拡大」が約3%減少しており、「新製品・新サービス・新事業の開発」は約4%減少。一方「高コスト体質の改善」は前年より約2%増という結果となっています。このことから、人手不足に伴う人件費の高騰や景気減速による影響が経営課題とする中で、開発による売り上げ・シェア拡大よりも、まずはコスト削減への取り組みや収益構造の改善を解決策とする傾向があるといえます。
続いて、「3年後」を見据えた経営課題の第1位は「人材の強化(40.0%)」、第2位は「新製品・新サービス・新事業の開発(31.9%)」、そして第3位が「収益性向上(30.6%)」という結果に。2018年度の増減率では「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が約3%減少しており、反対に「収益性向上」は約3%上昇して順位を上げています。このことから、優秀な人材確保に向けた採用活動が課題になることを予想している企業が多く、現在から3年経ったとしても「収益性向上」は重要課題のひとつであることが分かります。
また、前年からの増加が目立つ課題として「デジタル技術の活用・戦略的投資」と「ブランド力の向上」があり、現在の課題では10位以内に入っていなかった内容であるため、デジタル化のアップデートやブランディングの強化を意識している企業の多さがうかがえます。
2019年時点からの「5年後」を予測した経営課題の第1位は「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築(12.7%)」、第2位は僅差で「人材の強化(12.1%)」、第3位は「新製品・新サービス・新事業の開発(9.8%)」という結果になりました。
「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」は、昨年に実施された調査でも1位でしたが比率としては約4%減少しています。その一方で、「人材の強化」と「CSR、CSV、事業を通した社会課題の解決」は約2%、「ブランド力の向上」は約3%、昨対比率でそれぞれ増えており、中長期的な経営課題としても、人材不足を考慮した採用強化や、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を意味するESGへの投資、そして、多様化する社会の中で自社のブランディングをどう強化するかを重視していることが見て取れます。
売上・シェア拡大を解決するには、量と質、それぞれの観点で考える必要があります。まず、量による解決策は、例えば販売・サービス業であれば新規出店の促進や販売エリアの拡大により点だけではなく面で商品やサービスの露出度をアップさせます。また、各店舗で働く販売員や営業担当者の増員によりマンパワーを高めることも重要です。要するに、量的拡大は商品やサービスと顧客の接点を拡大することであるといえるでしょう。
次に、質による解決策は、店舗や支店などの1拠点あたりの売上と、従業員1人当たりの売上を向上させることです。そこで重要なのがナレッジの共有です。例えば、成績優秀な営業スタッフの行動や戦略などの行動様式(ベストプラクティス)を他営業スタッフに共有することで個々の業務改善に繋げたり、生産性が高いチームや部署内の取り組みを組織内で見える化を図ったり。他にも、優秀な成果をあげた個人や部門をしっかりと評価することで、パフォーマンスの質はさらに向上し、売上・シェア拡大に好影響を与えるでしょう。
以上の各解決方法を実施することで、現代社会に多い経営課題を解決することができます。
中小企業が抱える経営課題の多くは「資金」と「人材」の不足です。特に、人材に関してはダイバーシティが進んでいるとはいえ、平成20年をピークに減少する国内人口の影響により、この先の採用シーンでも大きな影響を及ぼすでしょう。マイナビが実施した転職動向調査2020年版では、転職活動を始めた理由として、仕事内容や給与に対する不満に次いで、「職場の人間関係」や「会社の将来性・安定性」「休日や残業時間」が挙げられています。このことから、退職の根本的な原因である「労働環境・条件」を見直すことで、求職者はもちろん既存の社員が意欲的に働ける社内体制を築くことができます。ぜひ、人材関連の経営課題を抱える企業は、解決策としてお役立てください。
- 経営・組織づくり 更新日:2020/12/10
-
いま注目のテーマ
-
-
タグ
-