スマートシティやドローン特区が話題!5Gがもたらす公共・公益分野への影響
5Gが実用化されると、超高速(10Gbps)・低遅延(1ms程度)・多接続(100万台/㎢)という通信環境が実現されます。
特に、公共/公益分野の業務における情報収集の面では、センサーやカメラを街に設置することで、膨大な量のデータが採取可能。今までになかったスマートシティの仕組みも実現できるようになり、効率化が図れると考えられています。
また、5Gを活用したドローン特区は、物流業界にとって大きな変革のきっかけになり得る施策です。
ドローン特区は国家戦略特区のひとつ。国家戦略特区とは「産業の国際競争力の強化」「国際的な経済活動拠点の形成促進」を目的として指定される特別区域です。事業が規制緩和の対象になれば、他のエリアではできない事業ができます。
分野でみると、「都市再生」「創業」「外国人材」「観光」「医療」「介護」「保育」「雇用」「教育」「農林水産業」「近未来技術」に大きく分類されます。ドローンについては「近未来技術」に分類され、2019年3月に開催された「近未来技術実装関係省庁連絡会議」にて「近未来技術等社会実装事業事例集」が公開されています。
国家戦略特区の認定区は2020年現在で、東京圏(東京都、神奈川県、千葉市、成田市)、関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)、新潟市、養父市、福岡市・北九州市、沖縄県、仙北市、仙台市、愛知県、広島県、今治市の12区域です。
ドローン特区を指定して電波法や航空法などの制限を特区限定で緩和することで、実証実験や実用化を促進するねらいがあります。
また、ドローン特区には区域ごとに国家戦略特別特区会議を設置。認可をスピードアップし、スムーズな実証実験やサービス化を可能にしています。
スマートシティは、先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化します。各種の課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出する取り組みであり、Society 5.0の先行的な実現の場です。
その内容は、行政サービス、街路灯管理、公共施設のエネルギー管理、交通、雨水再利用、スマートパーキングなど多岐にわたります。
スマートシティの具体例をひとつずつみていきましょう。
●スマートライティング
交通量のセンサー情報を小電力無線、Wi-Fiでコントローラに送り、エリアを適切な明るさに調整して点灯。省エネの実現、自治体の電力費を削減します。
●スマート信号機
監視カメラとセンサーが歩行者をモニタリング。交差点を測定時間内に渡りきれない歩行者がいる場合は信号を延長。警察車内のビデオスクリーンを通じて手動で操作もできます。
●スマートパーキング
LPWAなどを用いてセンサーから採取した駐車場の空き状況を提供。市の駐車場収入の増加、渋滞緩和。観光客の滞在時間増加による観光収入増加に貢献します。
●スマートゴミ収集
LPWAなどを利用し、ゴミ収集箱の満杯/空き状況をセンサーがWi-Fi経由で提供。市のゴミ収集の経費節減に貢献します。
これらの仕組みが実現されれば、現在よりも人々は格段に生活しやすくなるとされています。
公共/公益性の分野で今後の流れを担うのは日本政府です。
今後の5Gに対する日本政府の動向に注目し、直近の動向を踏まえて自社にとって最適な事業展開をしていける心構えが必要になってきます。
新しい事業を始めようとすると、制度や法律の壁に必ずといっていいほど阻まれるもの。ドローン特区をはじめとする国家戦略特区を活用し、世界の流れに後れをとらないように取り組む必要があります。
例えば、ドローンひとつとってみても、次のようなビジネスチャンスがあります。
●販売、レンタル
4Kカメラ搭載モデルなど、ビジネスユースに耐えるものは数十万円以上になることも。そのため使用頻度の少ない人には、レンタルのニーズがあります。
●撮影
ドローンを使った空撮は、もはや一般的になりました。ドローンの操縦ができれば参入しやすい領域ですが、既にドローンの空撮を取り扱う業者も多くあります。
●農業
1台数千万円以上する高価な無人ヘリの代替としてドローンが期待されています。用途は主に農薬の散布などです。
●建設
測量や点検といった作業は、場所によっては危険を伴うもの。ドローンに代替させることで作業リスクを減らせます。
●配送
各社で配送の実証実験が実施されています。商品配送にドローンが活用されれば、人件費の削減につながるケースも出てくるでしょう。
●防犯
ドローンに巡回させておき、侵入者を検知次第、警報の鳴動や警備員への通報、侵入者の撮影などが可能です。警備員への情報提供が的確に行われ、警備初動を支援します。
●災害や事故の調査
災害や大規模事故では、事故調査に多大な危険を伴います。そこで活躍するのが小型で機動性の優れたドローンです。事故現場の状況把握が容易になるでしょう。
このようなビジネスチャンスを逃さないためにも、情報収集を怠らず、日頃から日本政府や関連する地方公共団体の動向には注目しておきましょう。
- 経営・組織づくり 更新日:2020/11/05
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