2020年卒 インターンシップは就職活動にどのような影響を与えたか
まずはインターンシップの実施状況をまとめます。
マイナビ2020では、のべ掲載社数10,956社(前年比134%)となり、2019年6月に実施した「企業採用活動調査」では55.2%(前年比+6.6pt)の企業がインターンシップを実施したと回答しており、直近5年間の間ではずっと右肩あがりで上がり続けています。一方、学生の参加状況はというと、2019年2月に実施した「2020年卒マイナビ大学生広報活動開始前の活動調査」によると「インターンシップに参加した」と回答した割合は79.9%(前年比+.1.2pt)となっており、やはり、こちらも直近5年の間、常に上がり続けています。下記のグラフからもわかるように、企業のインターンシップ実施率、学生の参加率ともにここ数年は増加の一途を辿っており、インターンシップの実施や参加が一般的になってきているといえるでしょう。
「【学生】6/15時点 内々定率比較」 出所:2020年卒マイナビ大学生内定率調査(6月臨時調査と6月末実施調査の結果を再集計)
本調査の結果のみによって、インターンシップに参加したことが内々定率の向上に影響があったと結論づけることはできないですが、学生がインターンシップに参加したことで得られた経験や知見がそのあとの就職活動において役立たったであろうことは十分に推察されます。
次に、企業側の採用活動への影響については、6月に実施した「2020年卒企業採用活動調査」で聞いた『採用予定充足率(採用予定数に対して現在採用が確定している割合)』で調べました。採用予定充足率が「10割(予定数以上含む)」と回答した企業は、インターンシップを実施した企業では18.3%となり、これは未実施の企業における9.1%から9.2pt高くなりました。
インターンシップを実施したことのみが採用予定充足率の向上に寄与したとは、本調査の結果のみで結論づけることはできないですが、一定の時間をかけて学生の企業理解を促した結果、採用成功につながったのではないかと推察される結果といえるのではないでしょうか。
インターンシップとは「学生が在学中に自らの専攻、将来 のキャリアに関連した就業体験を行うこと(※)」であり、学生の職業間涵養ならびにキャリア教育・専門教育としての意義が求められており、採用選考とは関係ないものとして実施されることとされています。(※)文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」
しかしながら、学生にとっては、”インターンシップ”が初めての「個人的なつながりのない社会人と接する場」であり、ビジネスの現場を見たり、参加したりする機会であるというケースは多いと思われますし、その経験から学習したことの影響がその後のキャリアを考え、就職活動を行っていくなかで十分影響を持つことは想像に難くありません。
ただ、どのような形式のインターンシップ(プログラム内容・実施形態・時期・期間など)が、学生の職業観涵養またキャリア教育において、もっとも効果的に良い影響をもたらすのか、その問いに対する答えは、まだ模索中だと言わざるを得ません。おそらく、たった一つの正解があるというわけではないでしょう。学生であれば個人ごとの志向や志望内容、また学んでいることによっても異なると思いますし、企業側にとっても、それは同じことだと思われます。「学生・企業の双方にとって望ましい”インターンシップ”とは何なのか」また「インターンシップは一連の採用活動や就職活動のプロセスに対して、どのような影響をもたらすのか。」については、各所で議論が続いているところではありますが、私たちもこの課題を解明するために今後も引き続き、調査を続けていきます。
とはいえ、「インターンシップ」がもたらす一定の効果は明らかです。もし、まだインターンシップに関わったことがないという場合は、まずはゼロをイチにする、という意味で、学生であれば「インターンシップに参加してみる」、企業であれば「インターンシップを実施してみる」というところから始めていただけますと幸いです。
- 人材採用・育成 更新日:2019/07/30
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