2020年卒活動継続学生の特徴と今後の活動意向―企業に求められていること
夏も終わりに差し掛かり、2020年卒新卒採用活動の内定解禁となる10/1まで残すところ1ヶ月となりました。
2020年卒の採用におけるここまでの学生・企業の動向を簡単にまとめますと、7月末時点の2020年卒学生においては、内々定率が80.0%(前年79.7%、前年比0.3pt増)である一方、「就職活動を継続する」とした学生は、36.8%でした(「2020年卒マイナビ大学生内々定率調査(7月末)」)。
企業においては、採用数確保に向けての感触について、「採用予定数を確保できそう」と回答した企業は25.9%でした(「マイナビ企業採用活動状況調査(2019年6月)」)。
本コラムでは、「2020年卒マイナビ大学生内定率調査(6月、7月)」のデータを用いて、主に以下3つの項目で活動継続学生の特徴および今後の就職活動意向をお伝えします。
【1】7月末時点の2020年卒学生活動状況
【2】2020年卒活動継続学生の特徴2つ
【3】今後の活動意向と企業に求めること
(1)活動継続・活動終了ではインターンシップ経験の有無に差がある
活動継続学生を内々定保有者・未内々定者に分けて、内々定保有活動終了学生と比較します。
2019年7月時点で、2020年卒学生にインターンシップ参加経験の有無を問うたところ、インターンシップに参加したことがあると回答した学生は、内々定保有活動終了学生で81.0%、内々定保有活動継続学生で73.6%、未内々定活動継続学生で57.5%となりました。
現在の就職環境において、インターンシップは「就業体験の場」であると同時に業界研究・企業研究および自己分析を進めるきっかけとなっています。このことを考慮すると、インターンシップは、学生自身と組織・仕事の相性や就業に対する具体的なイメージを確かめるための手段として、就職活動準備の一端を担っているとも考えられます。
2020年卒活動継続学生が見込んでいる行動量および活動終了予定はいつ頃までなのでしょうか。また、企業は今後活動する学生に何を求められているのでしょうか。
(1)今後の行動量見込み
内々定保有活動継続学生について、「内々定先に不満なので続行する(以下、不満継続)」「内々定先に不満ではないが、他の企業も見たいので続行する(以下、不満でないが継続)」に分けて解説します。
「今後の選考受験予定社数」を見ると、内々定先に不満でないが活動継続する学生は「1社以上」選考受験すると回答した割合は75.1%であるのに対し、内々定先に不満である学生は90.7%、未内々定活動継続学生は92.4%であった。
内々定先に不満であり活動を継続する学生と未内々定活動継続学生は、内々定先に不満でないが活動を継続する学生と比較して、今後予定している活動量が多いことが窺えます。
(3)企業に求めること
今後活動を継続するにあたり、企業に求めることは何かを問うたところ、学生の内々定状況に関わらず、「合否に関わらず、選考のフィードバックがほしい」と回答する割合が最も高い結果となりました。他項目においては、未内々定活動継続学生は 内々定保有活動継続学生と比較して、エントリーシートや説明会、面接選考のWEB化を求める割合が高く、今後の活動を見越して「時間・費用の短縮化」を希望する様子が窺えました。また「採用ホームページをアップデートしてほしい」と回答した学生も、未内々定活動継続学生で31.8%、内々定保有活動継続学生で24.0%となっており、採用情報の更新を求める声が挙がりました。一方で「内定承諾をせかさないでほしい」と内々定保有活動継続学生の50.2%が回答しており、入社予定先について十分に検討したいという意向が窺えます。
【1】~【3】を通して活動継続学生のこれまでとこれからについて解説しました。
内々定保有活動継続学生については、73.6%がインターンシップに参加したことがあるものの、およそ2人に1人が「入社予定先の比較検討が十分であったかどうか」を不安に思っていました。今後の活動量および就職活動の継続期間については、内々定先に不満である学生の方が、内々定先に不満でない学生よりも多く選考を受験し、活動継続期間が長期になると見込んでいる学生が多い傾向でした。
また、今後企業に求めることとしては「内定承諾をせかさないでほしい」と50.2%が回答しており、「十分に比較検討をして自分の選択に自信を持ちたい」という意向が窺えました。
採用担当の方は学生が具体的にどのような点において検討をしているのか、面談や懇親会、若手社員からのヒアリング等で把握・フォローをすることで、学生が自ら決断をすることを後押しできるでしょう。
一方、未内々定活動継続学生について、インターンシップに参加したことがある学生は57.5%にとどまり、内々定保有活動継続学生と比較して行動量は多く、活動期間はより長期を見込んでいることがわかりました。また、今後企業には提出書類のWEB化や採用ホームページのアップデートを望む傾向がありました。
採用担当の方は今後の学生向けに採用情報を更新し選考期間を明示する、また学生が選考受験に要する時間・負担を軽減する工夫をすることで、学生が選考に進みやすくなると考えられます。
企業・学生ともに納得度の高い結果が得られるよう、本コラムが学生の心情を理解する一助となれば幸いです。
- 人材採用・育成 更新日:2019/09/02
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