内定式直前!23年卒の新卒採用の振り返りと24年卒の展望
そもそも、新卒採用は、将来にわたって存在していく組織を形成するために、約3~5年後を見越して実施されることが多く、景況感の影響を直接的に受けづらい雇用形態です。そのため、コロナ禍においても継続する企業が多かったのですが、今後、日本の若者人口が減少傾向にあることも、新卒採用を重視する理由になっているかもしれません。これらのことからわかるように、23年卒の新卒採用においては、企業側の競争は激しく、他社より少しでも先に内定を出したい企業の多くは、「広報活動開始時期」である3月から採用選考を開始していました。
学生の内定率の進捗を見ると、各月とも前年を約5.0pt程度、上回って推移していることがわかります。採用選考開始時期といわれる6月よりも前の段階(5月末時点)で内定率は65.5%とコロナ禍前の20年卒よりも高い値になっていました【図2】。また、23年卒を語るうえでポイントとなるのは「複数内定」保有者の増加です。6月末時点で「2社以上」の内定を保有している人の割合は59.6%(前年比5.8pt増) となっており、こちらもコロナ禍前よりも高い割合になっています【図3】。
学生の内定率の進捗を見ると、各月とも前年を約5.0pt程度、上回って推移していることがわかります。採用選考開始時期といわれる6月よりも前の段階(5月末時点)で内定率は65.5%とコロナ禍前の20年卒よりも高い値になっていました【図2】。また、23年卒を語るうえでポイントとなるのは「複数内定」保有者の増加です。6月末時点で「2社以上」の内定を保有している人の割合は59.6%(前年比5.8pt増) となっており、こちらもコロナ禍前よりも高い割合になっています【図3】。
では、「学生が複数内定を持つ」ということは何を意味しているのでしょうか。
採用選考を実施している間は企業が学生を選ぶ立場にあります。しかし、学生が複数の内定を持っているということは、企業が内定を出したあと、今度は学生が「入社する1社を選ぶ」フェーズに入ります。「内定者フォロー」と聞くと、なんとなく内定出しから入社までのつなぎ止めというような、守りの姿勢に感じられるかもしれませんが、実際にはそうではありません。入社予定先として選ばれるために、積極的に採りに行く施策が求められます。
学生に「内定者フォローを通じてどのようになりたいか」について自由記入で回答してもらった結果を見ると、「最後の『入社する1社』を決めるための自信と覚悟が持てる状態」を求めていることがわかります【表1】。
採用選考を実施している間は企業が学生を選ぶ立場にあります。しかし、学生が複数の内定を持っているということは、企業が内定を出したあと、今度は学生が「入社する1社を選ぶ」フェーズに入ります。「内定者フォロー」と聞くと、なんとなく内定出しから入社までのつなぎ止めというような、守りの姿勢に感じられるかもしれませんが、実際にはそうではありません。入社予定先として選ばれるために、積極的に採りに行く施策が求められます。
学生に「内定者フォローを通じてどのようになりたいか」について自由記入で回答してもらった結果を見ると、「最後の『入社する1社』を決めるための自信と覚悟が持てる状態」を求めていることがわかります【表1】。
このなかで特に注目しているのは「職種別採用」です。コロナ禍で広がった「WEB面接」に次いで、「23年卒で実施したこと」「23年卒で初めて実施したこと」で回答割合が2番目に高くなっています。先ほど、「学生個人と企業との個別の関係性を築いていく」とお伝えしましたが、こうした個別の関係性を形成するために、さらに踏み込んで「学生個人と仕事内容」まで落としこんでいこうという動きが見られます。職務経験のない学生を採用する新卒採用においてはジョブ型雇用の導入までは難しいケースが多いと思われますが、入社後の異動がある可能性を含んだうえで、初職配属先を確約するような「職種別採用」の導入が広がっているようです。「入社後、自分が何をするかクリアにイメージできない」ことが原因となる内定ブルーを防ぎ、より具体的な内定者フォローが可能となるため、このような 「職種別採用」の導入が広がっているようです。
旧来の日本型雇用に対する批判からジョブ型雇用の導入が叫ばれるなか、新卒採用においても「職種別採用」が広がりつつあることは自然な流れだと思いますし、これまで言われていたように「就社でなく就職」という考え方も、個人がよりクリアに自分のキャリアに対して働きかける意味でも歓迎すべき潮流のように感じます。
ただ、新卒採用においては懸念事項もあります。それは、学生には職務経験がないという点です。転職活動の場合、求職者には職務経験があるので、自分の能力・スキルの把握や求人企業側の仕事内容への理解、自分と仕事内容とのマッチング度合いなど、ある程度、前提知識を持って臨むことができます。しかし、学生は職務経験のない中で、自己分析や業界・仕事・企業研究を通じて、それらの情報を構築していくことになるので、自分ひとりでそれを成し遂げる困難さは想像に難くありません。ここに、大学1,2年生に実施した調査結果がありますが、「現時点において、大学卒業後に自分が就きたい仕事・キャリアの方向性が定まっていますか」の問いに対して、「決まっていない(全く+どちらかといえば)」と回答したのは57.4%でした【図8】。半数以上の学生は大学3年生になってから、キャリアの方向性を決めていることがわかります。
ただ、新卒採用においては懸念事項もあります。それは、学生には職務経験がないという点です。転職活動の場合、求職者には職務経験があるので、自分の能力・スキルの把握や求人企業側の仕事内容への理解、自分と仕事内容とのマッチング度合いなど、ある程度、前提知識を持って臨むことができます。しかし、学生は職務経験のない中で、自己分析や業界・仕事・企業研究を通じて、それらの情報を構築していくことになるので、自分ひとりでそれを成し遂げる困難さは想像に難くありません。ここに、大学1,2年生に実施した調査結果がありますが、「現時点において、大学卒業後に自分が就きたい仕事・キャリアの方向性が定まっていますか」の問いに対して、「決まっていない(全く+どちらかといえば)」と回答したのは57.4%でした【図8】。半数以上の学生は大学3年生になってから、キャリアの方向性を決めていることがわかります。
仕事軸で就職先を選ぶ際に、学生が企業だけでなく、仕事内容の見極めを行い、さらに自分とのマッチング度合いを判断できるようにするためにも、できるだけ早い段階からキャリア観、職業観を涵養するためのキャリア教育が求められると思います。そのためにも「インターンシップ・ワンデー仕事体験」は有用な手段だといえます。
少し先の話になりますが、25年卒以降は、一定の条件を満たせば、“インターンシップ” に参加した際の情報を採用選考に利用してもよいというように方針が変更されています。そうなると、低学年時のキャリア教育の重要性がさらに増すでしょう。これまで見てきたような様々な観点から、ここ数年は 新卒採用においても大きな転換点になると言えるでしょう。
少し先の話になりますが、25年卒以降は、一定の条件を満たせば、“インターンシップ” に参加した際の情報を採用選考に利用してもよいというように方針が変更されています。そうなると、低学年時のキャリア教育の重要性がさらに増すでしょう。これまで見てきたような様々な観点から、ここ数年は 新卒採用においても大きな転換点になると言えるでしょう。
- 人材採用・育成 更新日:2022/09/29
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