新入社員研修で押さえるべきポイント
新入社員研修の目的は、大きく二つあります。
一つ目の目的は「自社に対する理解を深めること」です。
事業内容や会社のルール、企業理念、将来のビジョンなど自社に対する理解を深めることによって、組織における新入社員自身の役割を理解させるとともに、働く目標を持たせます。この点を正しく理解させられなければ、仕事に対するモチベーションの低下や配属後のギャップなどが生じ、早期離職につながるおそれがあります。
二つ目の目的は「社会人として必要なスキルを習得すること」です。
基本的なビジネスマナーをはじめ、社会人として必要なスキルを身につけるのも新入社員研修の大切な役割です。挨拶や身だしなみ、電話応対、名刺交換などの習得を通じて、自立した社会人としての自覚を促します。最近では、コンプライアンスに関する研修に注力する企業も多くなっているようです。個人情報の管理やSNSの利用ルールなど、社会人としての常識や心構えが求められる場面が増えています。特にSNSについては近年、社員の不用意な投稿によって取引先や自社に被害をもたらす事件が後を絶ちません。顧客や業務に関する情報など守秘義務に違反する内容はSNSに投稿しない、ビジネス用とプライベート用で分けて使うなど、学生時代と同じ感覚で利用してはいけないことも啓蒙しましょう。
右も左もわからない新入社員に、業務上のルールや社会人として必要なスキルを習得させるには時間を要します。そこで、入社後1年程度を目途とした教育プログラムを作成し、効率的に習得させる「オンボーディング」という考え方が近年注目を集めています。これは、新たに組織に加わったメンバーを組織全体で継続的にサポートし、早期戦力化していくことを指します。船や飛行機に乗せる(on-boarding)ように、社内ルールや必要なスキルをある程度習得できるまで対象者を運ぶことが、その言葉の由来です。
オンボーディングを導入した研修は、部署の垣根を越えて組織全体で継続的にサポートしながら新入社員の早期戦力化を促すのが特徴です。新入社員が新しい環境や仕事に一日でも早くなじむために、研修でおさえておきたいポイントを紹介しましょう。
新入社員研修では、仕事の進め方やマナーなどが身に付くメニューに対し、段階的な目標とその達成時期を設定するのが一つ目のポイントです。週単位や月単位の達成目標を掲げることで新入社員のやる気を引き出し、段階を踏みながら確実に成長させていきます。
成長度合いは一人ひとり異なるため、教えたことがいつまでも身に付かないなど想定通りに進まないこともあるでしょう。この場合、個別メニューを用意して個人課題を解決していくことも、オンボーディングの取り組みの一つです。たとえば、社会人としての意識を高めたい新入社員にはビジネスマインドやマナーの教育が必要でしょうし、自分で考えないですぐに質問をするような新入社員には思考力を身に付けるロジカルシンキング研修が有効です。OJTや外部研修機関のサポートを受けながら、達成目標にあわせて着実にスキルアップしていく研修を提供しましょう。
会社や仕事に対する理解不足からイメージのギャップが生じたり、努力しても思うように成果が出なかったりと、新入社員には悩みや不安が尽きないものです。これが続くとモチベーションが下がり、場合によっては早期離職につながることもあります。モチベーションの下がった社員にいち早く気付き適切にフォローできる体制作りも、新入社員研修の重要なポイントです。
オンボーディングの基本的な考え方は、組織全体でサポートできる体制を作ることです。近年は、仕事の教育担当者にあたる直接の上司や先輩とは別に、メンターを配置する企業が増えています。また、新入社員の疑問や不安に回答するバックオフィス部門を設け、チャットなどで対応している企業もあるようです。こうした体制が新入社員に安心感を与え、早期離職を防ぎ人材の定着化の効果も期待できます。
新入社員が既存社員と打ち解けやすい組織の雰囲気づくりも大切です。既存社員との人間関係が早期に築ければ、仕事上の疑問や不安があっても相談しやすくなるでしょうし、仕事上で不明な点があってもすぐに解決できるなど、新入社員の早期戦力化につながります。
- 人材採用・育成 更新日:2020/07/30
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