地方在住の学生を採用するメリットと具体的な採用手法をご紹介
新卒採用市場のいま
国内企業を対象に2020年卒採用の内定状況を調査した「2020年卒 マイナビ企業新卒内定状況調査(2019年11月発表)」によると、「採用充足率」(内定者数/募集人数)は、前年を下回る80.4%となっており、採用したいけれどもなかなか採用できない、企業側の厳しい状況が続いていることがわかります。そのため、競争率が高く自社の希望にマッチする人材を採用できないという状況に悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。 都心部や本社付近など限られたエリアを対象にした採用活動では、対象となる学生も限られるため充分な人材を確保するのが難しくなります。
このような状況下で注目されているのが地方在住の学生の採用です。以下の項目では、地方在住の学生の採用に積極的に取り組むメリット・デメリットや、具体的な採用手法についてご紹介します。
まず、地方在住の学生を採用するメリットを考えていきましょう。
ひとつは競合が少ないということです。新卒採用に限ったデータではありませんが、2019年1月の有効求人倍率は東京都の2.12に対し、全国平均は1.63です(独立行政法人労働政策研究・研修機構調べ)。
全国的に見ても都心部にしぼった求人は、より人材を集めるのが難しいということがわかります。
学生は都心部に多いですが、企業の採用意欲がそれを上回るため、地方の企業同士の競争は比べておだやかと言えます。
会社説明会の開催エリアを広げるなど、積極的なアプローチをすることで、これまで接触できていなかった層の学生を採用できるかもしれません。
また地方在住の学生は、一般的に「誰もが知る大手企業で働きたい」などの執着が少なく、中小企業にも優秀な人材が入りやすいこともあげられます。「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」によると、大手企業に就職したいと思っている人の割合は、前年より多少下がっているものの、関東が最も高く55%となっています。
それに対して、大きな都市がある関西、九州、北海道を除いた各地方は40%台にとどまっており、大手企業に就職したいという意識は薄くなる傾向にあります。このことからも、都市部で新卒採用に苦戦する企業が、地方在住学生の積極採用に乗り出すことにはメリットがあるといえそうです。
一方でデメリットとなるのが、学生と接触する機会の偏りや費用の問題を企業側が解決しなければならない点です。
インターンシップや会社説明会、選考などは都心と比べて地方での開催は少ないため、都心で学生を募集している企業との出会いの機会があまりありません。就職活動にかかる交通費や宿泊費、移動時間などの負担から、学生が応募を断念する可能性も出てきます。地方在住の学生の採用を考えている企業は、そういった問題点の解決に努める必要があります。
では、実際に地方に住んでいる学生を採用するにはどんな手法がよいのでしょうか。
まず、学生と接触する機会の創出として、地方の大学の就職課と連携する方法が考えられます。具体的には、大学の就職課を訪問し、自社の説明や地方在住の学生を積極的に採用していること、学生向けの会社説明会や選考を開催したい旨を伝えます。
就職課の協力を得ることで、学生を紹介してもらったり、会社説明会に学生を集めてもらえたりします。
企業側から地方の大学に行くことは、積極的に地方在住学生の採用を取り入れているというアピールや、都市部で働くことに興味を持ってもらうことにつながります。
また、採用実績があれば、より現実的に地方在住学生を採用しているイメージを与えられます。
次に、地方在住の学生の採用に欠かせないのがWebセミナーやWeb面接の活用です。オンラインでの会社説明会や面接は、「お金と時間をかけて都市部に行かなければならない」という応募の心理的ハードルを下げられるため、地方在住の学生を集めるには非常に有効です。
また、地元志向の学生もいるなかで、自社のことを考えてもらうためには、Webツールをうまく活用して接触回数を重ねることも重要となります。
費用面のフォローができるのであれば地方在住の学生向けインターンシップを企画するのもおすすめです。ただし、インターンシップや複数回の面接は、交通費や宿泊費など学生の費用負担や移動時間などが増えるため、実施回数や日程を考慮したり、現地での開催や、Webツールを併用したりすることも考えてみるとよいでしょう。
内定後のフォローも重要
内定を出したあとも、地方在住の内定者にはとくに念入りにフォローすることが大切です。
地方在住の内定者は初めて社会に出るうえに、知らない土地で新しい生活をしなければならないため、多くの不安を抱えています。定期的に連絡をとって状況を聞くことはもちろんですが、交通費を補助して、社内の懇親会や見学などのイベントに参加してもらうことで、その不安を少しでも取り除けるようにしましょう。もし、出張などで近くに行くことがあれば、会う時間を設けてコミュニケーションをとることも重要です。
採用担当が複数人いるのであれば、エリア制で担当を決めておく方法もあります。連絡の際に「○○エリア担当の××です」というように名乗るだけでも、親近感を持ってもらえます。
また、地方在住の内定者は入社前に住居を探さなければなりません。土地勘がないため、多くの先輩社員が住んでいるエリアや交通の便が良い駅、不動産を紹介するなど、丁寧なフォローをしてあげると非常に喜ばれます。
入社後の配属先に関しても、学生の希望を踏まえたうえで、いずれは地元に戻れる可能性があるなど、配慮のある配置を検討するのもよいでしょう。
- 人材採用・育成 更新日:2020/03/12
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